- プルボックスってなに?
- どんな種類があるの?
- 記号は?
- サイズ表を知りたい
- 選定方法を知りたい!意味不明!
- 施工方法はどんな流れ?
- メーカーは?
上記のような悩みを解決します。
プルボックスは電気工事に必須の部材です。基礎知識について理解しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
プルボックスとは?
プルボックスとは、結論「ケーブルの分岐部分に施工される箱のこと」です。
ケーブルは度々ジョイントして分岐します。
例えば、負荷が10個あったとして、配電盤から10本のケーブルを持っていくのは大変ですよね。近くまで1本のケーブルで持っていって、そこから分岐して各負荷にケーブルを送ります。
1本のケーブルから、負荷に分岐する部分に施工されるのがプルボックスです。
まず配電盤から負荷は距離が離れています。ここを一本で通していこうとすると、ケーブルを通すのが大変だったりします。
「配電盤→負荷」を直接的に施工するのではなく、「配電盤→プルボックス」と「プルボックス→負荷」とと行った格好で、中継地点的な役割を果たします。
また、メンテナンスにもプルボックスは使えます。
例えば、ケーブルに何かしら不具合が発生した場合(絶縁不良とか)、その原因を調査しなければなりませんよね。プルボックスがなければ、負荷側と配電盤側しか確認することができません。
プルボックスを施工することによって、ジョイント部分の調査も可能になります。
ケーブルを敷設していく際、分岐部分には何かしらのボックスが施工されます。その1種がプルボックスという訳です。
プルボックスの種類
プルボックスの種類
- 一方出
- 二方出
- 三方出
- 四方出
プルボックスには上記のような種類があります。
要するに何方向にケーブルの出口があるか?ということです。
1本のケーブルが入ってきて、2方向に分岐する場合は、合計3つの出入り口が必要ですよね。この場合は3方出のプルボックスが採用されます。
図面でケーブルの出口が何方向必要なのかを読み取り、適切なプルボックスを選定しましょう。
素材別プルボックスの種類
- 鋼板製プルボックス:一番メジャーなプルボックス
- ステンレス製プルボックス:屋外使用可能だが値段が高い
- 高耐食性メッキ鋼板製プルボックス:軽くて安い
選定の仕方としては、まず屋外か?屋内か?という視点があります。
屋外使用の場合は耐候性が必要ですので、ステンレス製のものが多く採用されます。対して、屋内ならば鋼板製のものが採用されますね。
あとは値段です。値段は安ければ安いほうがいいです。
ただ安すぎて機能がよくなかったりするので、品質の担保が前提になります。
プルボックスの記号
施工図などでよく出てくる記号ですね。場所としては配管の分岐部分に施工されます。逆に、分岐部分にはなにかしらのボックスが必ずあります。
他にも似たようなボックスが数多くあるので、間違えないようにしましょう。
また、電気工事士の試験にも出てきますね。図記号を出して「これなーんだ?」というのが筆記試験でありますので、電気工事士の試験を受ける人も覚えておきましょう。
プルボックスのサイズ
タテ(mm) | ヨコ(mm) | 深さ(mm) |
100 | 100 | 75 |
100 | 100 | 100 |
150 | 150 | 75 |
150 | 150 | 100 |
150 | 150 | 150 |
200 | 200 | 100 |
200 | 200 | 150 |
200 | 200 | 200 |
250 | 250 | 100 |
250 | 250 | 150 |
250 | 250 | 200 |
250 | 250 | 250 |
300 | 300 | 100 |
300 | 300 | 150 |
300 | 300 | 200 |
300 | 300 | 250 |
300 | 300 | 300 |
350 | 350 | 200 |
350 | 350 | 300 |
350 | 350 | 350 |
400 | 400 | 200 |
400 | 400 | 300 |
400 | 400 | 400 |
500 | 500 | 200 |
500 | 500 | 300 |
500 | 500 | 400 |
500 | 500 | 500 |
600 | 600 | 300 |
600 | 600 | 400 |
600 | 600 | 500 |
600 | 600 | 600 |
プルボックスの選定方法
プルボックスの選定方法は、結論「適当」です。
一応明確な計算方法はあるらしいのですが、ぶっちゃけ理論上の話になります。実際の現場からしたら「入ればオッケー!」といった感じです。
それだとザックリすぎるので、少し詳細に解説します。
まずプルボックスに接続する配管がありますよね。どのサイズの配管が何本入るのか?を把握する必要があります。
例えば、厚鋼電線管のG70がプルボックスに接続されるとしたら、配管の外径は75mmくらいですから、プルボックスの幅と高さは100mmくらい必要です。
もし一方向から三本の配管が入るとしたら、二段構えになりますよね。するとその分、プルボックスのサイズも大きくなります。
それぞれの面において、どれくらいの面積が必要かを考えれば、プルボックスのサイズは出てきます。
一応決められたサイズはありますが、注文すれば表にないプルボックスを作ってもらえますからね。メーカーに頼めばなんとかなります。
プルボックスの施工方法
*プルボックスの施工方法は現場によって異なります。あくまで一例と考えてください。
墨出し
プルボックスを取付けるには、プルボックスが付く位置を明確にしなければなりませんよね。墨出しで位置を明確にします。
予定通りの位置に収まれば何の問題もありませんが、現場ではイレギュラーが発生することもあります。(物が置いてあってプルボックスを直せない等)
その場合はプルボックスの位置を再検討しましょう。
もしプルボックスの位置を動かしたなら、それは竣工図に反映しなければなりません。違う施工をした場合はメモを忘れないようにしましょう。
アンカー打ち
プルボックスを固定する方法は様々ですが、アンカーを打つのが多い印象です。
注意点は騒音問題です。
アンカー打設は音が出ます。改修の現場だとお客様がいたりするので、クレームが来ることもあります。基本的に平日夜もしくは休日にやりましょう。
また、粉が飛び散るので片付け清掃も必要になりますね。
プルボックス取付
アンカーはめねじですので、ボルトを差し込むことができますよね。ボルトにナットとワッシャーを付けて締めればプルボックスを固定することができます。
ボルトは若干出っ張りますから、おめかしキャップを付けるとより丁寧ですね。あまりに長すぎる場合はボルトカッターで切りましょう。
配管接続
そもそもプルボックスはケーブルの分岐部分に採用されるものです。ケーブルが通る配管が接続されなければ、ケーブルは分岐できません。
ブッシング等の部材を使用して、配管接続を行いましょう。
ジョイント
「配電盤→プルボックス」と「プルボックス→負荷」のケーブルがあると思いますが、これらを適切にジョイントしましょう。
ワゴだったり圧着スリーブなどが使用されますね。
ちなみにFPケーブルをジョイントする場合は「マイカテープ・エフコテープ・ビニールテープ」の三種類が必要になります。
プルボックスのメーカー
プルボックスのメーカー
- 未来工業
- カナフジ電工
- 日動電工
- 日東工業
以上がプルボックスを作っているメーカーです。
未来工業とカナフジが有名どころですね。ウチの現場は未来工業です。
プルボックスにJIS規格はありませんから、どのメーカーも全く同じプルボックスという訳ではありません。ただある程度名のある会社なら、製品も信頼できますね。
もしプルボックスを発注するなら、どのような加工をしたいか?を伝えるようにしましょう。
例えば、海岸沿いの現場だったら塩害対策をしなければなりません。塩害対策をするとなると、納期も価格も変動してきます。自分が想像している納期と価格とは異なるかもしれません。
営業の人としっかり打ち合わせして、問題が起こらないようにしましょう。
もし営業のレスポンスが遅かったり、対応が悪かったりしたら、別の会社に変えちゃっていいと思いますよ。プルボックスを作っている会社なんて山ほどありますからね。
プルボックスに関する情報まとめ
プルボックスに関する情報まとめ
- プルボックスとは:ケーブルの分岐部分に施工される箱のこと
- プルボックスの種類:一方出、二方出、三方出、四方出
- プルボックスの記号:上図参照
- プルボックスのサイズ:上表参照
- プルボックスの選定方法:適当
- プルボックスの施工方法:墨出し→アンカー→取付→配管接続→ジョイント
- プルボックスのメーカー:未来工業、カナフジ電工、他
以上がプルボックスに関する情報のまとめです。
一通りプルボックスの基礎知識は網羅できたと思います。
現場ではプルボックス以外にもアウトレットボックスやジョイントボックスなども頻繁に使用されます。それぞれ役割が異なるものですので、違いについて抑えておきましょう。
下に詳細な記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。