ポストモダン建築とは?特徴、代表建築、建築家、歴史や違いなど

  • ポストモダン建築って結局なに?
  • いつ、なぜ生まれたの?
  • モダニズムと何が違うの?
  • 特徴を一言で言うと?
  • 代表的な建物と建築家は?
  • 日本にもポストモダン建築ってあるの?
  • なんだか派手で変わった建物が多いのはなぜ?
  • 建築史の試験でどう出る?

上記の様な悩みを解決します。

ポストモダン建築は、名前のとおり「モダニズムのあと(ポスト)」に生まれた様式です。装飾を捨てて機能一辺倒になったモダニズムに対して、「四角い箱ばかりでつまらない」「街に個性がなくなった」という反発から、装飾・色彩・歴史的なモチーフを大胆に取り戻したのがポストモダン。1980年代のバブル期の日本にも派手な建物が数多く建ち、今も街に残っています。今回は定義・特徴・代表建築・建築家・モダニズムとの違いといった基本を押さえた上で、意匠と構造の目線で「なぜこういう建物が量産されたのか」という背景まで掘り下げて整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ポストモダン建築とは?

ポストモダン建築とは、結論「モダニズムの反動として、装飾・歴史的引用・遊び心を取り戻した1960〜80年代の建築様式」のことです。

モダニズム建築は、装飾を排し機能と合理性を追求して世界中に「白い箱」を広げました。ところが普及するほどに、「どこの国の建物も同じ顔」「街の個性や歴史が消える」という批判が高まります。この「機能一辺倒への飽き」に対する反発として、1960年代から装飾性・折衷性・過剰性を回復しようとする動きが起こりました。それがポストモダン建築です。

近代建築がモダニズムに行き着くまでの流れは、こちらで年表とともに整理しています。

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キーワードになるのが「二重のコード化」という考え方です。建築批評家のチャールズ・ジェンクスは、ポストモダン建築を「専門家にも一般大衆にも、それぞれ違うレベルで意味が伝わる建築」と定義しました。つまり、建築の専門家には「これは古典のペディメント(三角破風)の引用だ」と分かり、一般の人には「なんだか神殿っぽくて楽しい」と伝わる、という二層の読み取りを狙ったわけです。僕の感覚だと、ポストモダンは「建築で真面目にジョークを言う」ような姿勢の様式で、モダニズムの禁欲に対する「遊び」の反乱だったと捉えると分かりやすいです。

ポストモダン建築の特徴

ポストモダン建築の特徴は、結論「装飾の復活・歴史的モチーフの引用・折衷主義」です。

モダニズムが直線と無装飾を貫いたのに対し、ポストモダンは曲線・色彩・装飾を復活させ、過去のさまざまな様式のモチーフを自由に引用して組み合わせます。ギリシャ神殿の三角破風、古典の柱、アーチといった要素を、あえて文脈から切り離して現代のビルに貼り付ける、という手法が典型です。

代表的な特徴を並べると次のようになります。

  • 装飾・色彩・曲線の復活(無装飾のモダニズムへの反発)
  • 過去の様式(古典・歴史建築)のモチーフの引用
  • 複数の様式を混ぜ合わせる折衷主義(ハイブリッド)
  • 遊び心・ユーモア・皮肉といった意味の重層化(二重のコード化)
  • 地域の文脈や歴史との結びつきの回復
  • 象徴性・記号性を重んじたデザイン

これらは「建築は機能を満たすだけでなく、意味や物語を語るべきだ」という主張につながっています。個人的には、ポストモダンの面白さは「正解を1つに決めない」ところだと感じます。モダニズムが「機能から導かれる唯一の正解」を目指したのに対し、ポストモダンは「引用も皮肉も何でもあり」で多様性を肯定した。良く言えば自由で豊か、悪く言えば節操がない。この振れ幅の大きさこそがポストモダンの個性です。

ポストモダン建築の代表建築と建築家

ポストモダン建築は、代表作と建築家をセットで押さえると理解が早いです。海外と日本の双方に象徴的な作品があります。

建築物 場所 建築家 ポイント
ヴァンナ・ヴェンチューリ邸 アメリカ ロバート・ヴェンチューリ ポストモダンの出発点。あえて崩した破風
AT&Tビル(現550マディソン) ニューヨーク フィリップ・ジョンソン 頂部に古典の三角破風。象徴的な一棟
ポートランド市庁舎 アメリカ マイケル・グレイヴス 色彩と装飾を大胆に使った公共建築
つくばセンタービル 茨城 磯崎新 歴史的様式を引用した日本の代表作
東京都庁舎 東京 丹下健三 ゴシック的な形態を思わせる巨大庁舎

ポストモダンの旗手といえるのがロバート・ヴェンチューリで、モダニズムのミースが掲げた「Less is more(より少ないことは豊かだ)」をもじって「Less is bore(より少ないことは退屈だ)」と言い放ったことで知られます。この一言が、ポストモダンの姿勢を象徴しています。日本でも磯崎新や、後述する多くの建築家が独自のポストモダン建築を生み出しました。ハイテクな高層ビルという方向に進んだ流れもあり、超高層建築の技術ともつながっています。

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モダニズム建築との違い

ポストモダンは、直前のモダニズムと並べて比べると性格が一気にはっきりします。結論、「モダニズム=機能・無装飾・普遍、ポストモダン=意味・装飾・個性」です。

比較項目 モダニズム建築 ポストモダン建築
時代 20世紀前半〜中盤 1960〜80年代
装飾 排除する 復活させる
直線・幾何学・箱型 曲線・折衷・自由
姿勢 機能から唯一の正解を導く 引用や皮肉で意味を重ねる
標語 Less is more Less is bore
街との関係 普遍的(どこでも同じ) 地域や歴史と結びつく

見分け方のコツは「装飾や過去の引用があるか」です。装飾のない白い箱ならモダニズム、古典のモチーフや派手な色・形が混ざっていればポストモダン。ただし両者は敵対関係というより、「モダニズムがやり尽くした後の、次の一手」という連続した流れで捉えるのが正確です。個人的には、様式は前の時代への反発で動くという点で、ルネサンス→バロックの関係とよく似ていると感じます。端正さを極めた反動で装飾と劇性が戻ってくる、という構図は建築史でくり返し起きているんですね。

日本のポストモダン建築とその後

日本のポストモダン建築は、1980年代のバブル経済と深く結びついているのが大きな特徴です。結論、「好景気の潤沢な予算が、実験的で派手な建築を大量に生んだ」時代でした。

地価と建設投資が急上昇したバブル期には、企業や自治体が「目立つこと」「話題になること」を狙って、個性的なデザインの建物を次々に発注しました。磯崎新のつくばセンタービルをはじめ、独創的な形態のビルや商業施設が全国に建ち、良くも悪くも「時代の空気」を色濃くまとった建築群が生まれます。バブル崩壊後は、過剰な装飾性への揺り戻しが起き、より抽象的で幾何学的な「脱構築主義(ディコンストラクティビズム)」や、素材や環境を重視する方向へと建築の関心が移っていきました。

今の視点で見ると、この時代のポストモダン建築は「街の記憶」として再評価される一方で、老朽化にともなう改修や取り壊しの対象になっているものも少なくありません。派手なデザインゆえに維持管理が難しく、時代の変化とともに評価が揺れ動く、という点も含めて、ポストモダンは「時代を映す鏡」のような様式だと言えます。

施工管理・意匠の視点で見るポストモダン建築

ここが他の解説記事ではあまり触れられない部分です。ポストモダン建築を「作り方(構造・意匠)」の目線で見ると、モダニズムとの本質的な違いがよく分かります。

ポイントは、ポストモダンは「構造の革命」ではなく「意匠の革命」だったということです。モダニズムがラーメン構造という新しい構造技術によって様式そのものを生み出したのに対し、ポストモダンは構造自体はモダニズムと同じ(鉄骨造・RC造のラーメン構造)まま、その外側の「見た目・装飾」で遊んだ様式です。つまり、構造と意匠が完全に分離し、ファサードは構造から独立した「表現の場」として扱われるようになりました。柱と梁で支えるラーメン構造の仕組みは、こちらが参考になります。

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この「構造とは別に外装で表現する」という発想は、現代の建築にもそのまま受け継がれています。外装のタイル、装飾パネル、ルーバー、カーテンウォールといった「構造を支えないが建物の顔を作る要素」の考え方は、ポストモダンが押し広げたものと地続きです。意匠図と構造図が別々に役割を持つ実務の感覚は、こちらでも触れています。

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一方で、現場目線で正直に言うと、装飾を「貼る」設計は施工・維持管理の負担が増えます。複雑な形状の装飾は納まりが難しく、後年の改修では「そのデザインをどう直すか」で悩まされることも多い。バブル期のポストモダン建築が持て余されがちなのは、この維持管理のしにくさも一因です。建築士や施工管理技士の学科試験でも、近代・現代建築史は計画分野で問われます。ポストモダンなら「ヴェンチューリ=Less is bore」「AT&Tビル=古典の引用」「磯崎新=つくばセンタービル」「モダニズムへの反動」あたりがキーワードになります。

ポストモダン建築に関する情報まとめ

  • ポストモダン建築とは:モダニズムの反動として、装飾・歴史的引用・遊び心を取り戻した1960〜80年代の様式
  • 背景:機能一辺倒のモダニズム(世界中が同じ白い箱)への飽きと批判
  • 特徴:装飾の復活・歴史的モチーフの引用・折衷主義・二重のコード化
  • 代表建築:AT&Tビル、ポートランド市庁舎、つくばセンタービル、東京都庁舎
  • 代表的建築家:ヴェンチューリ(Less is bore)、フィリップ・ジョンソン、グレイヴス、磯崎新
  • モダニズムとの違い:機能・無装飾・普遍(モダニズム)に対し、意味・装飾・個性(ポストモダン)
  • 意匠と構造:構造革命ではなく意匠革命。構造と意匠の分離が進み、外装表現の源流に

以上がポストモダン建築に関する情報のまとめです。

ポストモダン建築は、「派手で節操のない建物」と誤解されがちですが、「モダニズムへの反動」「二重のコード化という遊び」「構造と意匠の分離」という3つの軸で捉え直すと、現代の外装デザインにまでつながる重要な転換点だったことが分かります。モダニズムとセットで、「機能へ振れて、意味へ揺り戻す」という流れで理解しておくと、20世紀後半の建築史がすっきり整理できるはずです。

ポストモダン建築に関するよくある質問

Q1:ポストモダン建築はいつ、なぜ生まれたのですか?

1960年代から80年代にかけて、モダニズム建築への反動として生まれました。装飾を排し機能を追求したモダニズムが世界中に普及した結果、「どの街も同じ顔になった」「歴史や個性が消えた」という批判が高まり、その揺り戻しとして装飾・色彩・歴史的モチーフを取り戻す動きが起こりました。これがポストモダン建築です。

Q2:ポストモダン建築の特徴を一言で言うと?

「装飾と歴史的引用を取り戻した、折衷的で遊び心のある建築」です。過去の様式(古典の柱や三角破風など)のモチーフを自由に引用して組み合わせ、色彩や曲線も大胆に使います。専門家と一般の人にそれぞれ違うレベルで意味が伝わる「二重のコード化」を狙う点も特徴です。

Q3:モダニズム建築とポストモダン建築の違いは何ですか?

モダニズムが「機能・無装飾・普遍性(どこでも同じ白い箱)」を追求したのに対し、ポストモダンは「意味・装飾・個性」を重んじます。標語で言えば、モダニズムのミースが「Less is more(少ないほど豊か)」なら、ポストモダンのヴェンチューリは「Less is bore(少ないほど退屈)」。装飾の有無と、街の歴史・文脈との結びつきが大きな分かれ目です。

Q4:日本にもポストモダン建築はありますか?

数多くあります。磯崎新のつくばセンタービル、丹下健三の東京都庁舎などが代表例です。とくに1980年代のバブル経済期には、潤沢な予算を背景に個性的で実験的なデザインの建物が全国に建てられました。日本のポストモダン建築は「バブルの時代の空気」を色濃くまとっているのが特徴です。

Q5:ポストモダン建築のあとはどうなったのですか?

バブル崩壊後は、過剰な装飾性への揺り戻しが起こり、より抽象的で幾何学的な「脱構築主義(ディコンストラクティビズム)」や、素材・環境・地域性を重視する方向へと建築の関心が移りました。バブル期のポストモダン建築の一部は、老朽化にともなう改修や取り壊しの対象になりつつありますが、「街の記憶」として再評価される動きもあります。

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