- MVRDVって読み方どうするの?人名?会社名?
- 何の略なの、どこの国の事務所?
- あの突き出た集合住宅やアーチ型の市場ってここ?
- なんでこんな奇抜な形が許されるの、奇をてらってるだけ?
- リサーチ重視って、何をリサーチしてるの?
- 有名な代表作を一通り知りたい
- 日本にMVRDVの建物ってあるの?見に行ける?
- こんな形、施工的にどうやって成立させてるの?
上記の様な悩みを解決します。
MVRDVは、突き出した集合住宅やアーチ型の巨大市場など、思わず二度見する建物で知られるオランダの建築家集団です。「ただ奇抜なだけでしょ」と思われがちですが、実はあの形、徹底したリサーチとデータ分析から論理的に導かれた結果なんです。今回は読み方・名前の由来・代表作・日本の作品といった基本を押さえた上で、「なぜあの形になるのか」という一番おもしろいポイントまで、現場目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
MVRDVとは?
MVRDVとは、結論「オランダ・ロッテルダムを拠点とする建築・都市設計の集団(設計事務所)」です。読み方は「エム・ブイ・アール・ディー・ブイ」。一人の建築家の名前ではなく、複数の建築家が集まったチームの名前だ、という点がまず押さえどころです。
1993年に設立されて以来、集合住宅から図書館、超高層ビル、都市計画まで、規模もジャンルも問わず幅広く手掛けてきました。世界中にプロジェクトを持ち、現代建築を語る上で外せない存在になっています。
最大の特徴は、「これがMVRDVのスタイル」という決まった形を持たないことです。毎回、その敷地・用途・条件を徹底的に分析し、そこから最適な解を導く。だから作品ごとに見た目が大きく違います。ここが、一つの様式で語れる古典的な建築家とは根本的に異なるところです。
現代建築の流れの中での位置づけは、建築史とあわせて見ると分かりやすいです。

僕の感覚だと、MVRDVは「スタイルではなく、考え方(メソッド)で勝負するオランダの設計集団」と捉えると、全体像がつかみやすいです。
MVRDVという名前の由来と設立者
MVRDVという名前は、結論「設立した3人の建築家の名字の頭文字」を並べたものです。
設立メンバーは、ウィニー・マース(Maas)、ヤコブ・ファン・ライス(van Rijs)、ナタリー・デ・フリース(de Vries)の3人。この「Maas」「Van Rijs」「De Vries」の頭文字をつなげて「MVRDV」となっています。暗号のように見える社名にも、ちゃんと理由があるわけです。
3人はデルフト工科大学で建築を学んだ仲間で、独立前にはそれぞれオランダの設計事務所で経験を積んでいます。とくにマースとファン・ライスは、レム・コールハース率いるOMAで実務を経験しました。コールハースは「建築はリサーチだ」という考え方で知られる建築家で、この「まず徹底的に調べ、分析から設計を組み立てる」という姿勢は、MVRDVの仕事にも色濃く受け継がれています。
つまりMVRDVは、オランダ現代建築の系譜(ダッチ・デザイン)の中でも、とりわけ「リサーチ型建築」を突き詰めたチームだと位置づけられます。
MVRDVの設計手法(リサーチとデータスケープ)
MVRDVの設計手法は、結論「感覚やスタイルではなく、リサーチとデータから形を導く」点にあります。ここが他の設計事務所と一線を画すところです。
彼らはプロジェクトごとに、周辺環境・建物の密度・法規制・人の動き・日照といった条件を徹底的に調べ上げます。そして、その膨大な条件(データ)を空間の形に翻訳していく。この「データを風景・建築の形に変換する」考え方は、MVRDV自身が「データスケープ(datascape)」と呼んで打ち出した概念で、彼らの代名詞になっています。
設計手法のポイントを整理すると、こんな感じです。
- 敷地・法規・密度・日照などの条件を数値的に徹底分析する
- 分析した条件(データ)を、直接ボリュームや形状に変換する
- 決まったスタイルに当てはめず、条件ごとに最適解を組み立てる
- 「これ以上詰め込むとどうなるか」という限界(極限density)まで検証する
要するに、MVRDVの奇抜に見える形は、デザイナーの気まぐれではなく「条件をとことん突き詰めた計算の結果」なんです。この前提を知っているかどうかで、彼らの建物の見え方がガラッと変わります。
条件から形を導く発想は、現代のパラメトリックデザインとも通じます。

MVRDVの代表的な建築作品
MVRDVの代表作を知っておくと、彼らの幅広さと発想力が一気に伝わります。押さえておきたい作品は次のあたりです。
- WoZoCo(1997年/アムステルダム郊外):高齢者用集合住宅。壁から13戸分を大きく突き出させた衝撃的な外観
- シロダム(2002年/アムステルダム):コンテナ船のようなカラフルなファサードの水上集合住宅
- マルクトハル(2014年/ロッテルダム):巨大なアーチ状の建物の中に市場と住宅が同居する複合施設
- 天津濱海図書館(2017年/中国):吹き抜けを埋め尽くす波打つ本棚と球体で「目」のように見える図書館
- Valley(2022年/アムステルダム):緑があふれる段状の超高層複合ビル
とくにマルクトハルは、市場の屋根を巨大なアーチにして、そのアーチ部分を集合住宅にするという大胆なアイデアで、ロッテルダムの新しい顔になりました。用途をただ並べるのではなく「重ねて一つにする」発想が、いかにもMVRDVらしい一作です。
緑をまとった超高層は、都市の高層建築の新しい方向性としても注目されています。

日本にあるMVRDVの建築(農舞台・GYRE)
MVRDVの建築は、実は日本でも見ることができます。海外まで行かなくても実物を体験できるのは嬉しいポイントです。
日本にある主なMVRDV作品は、次の2つです。
- 松代雪国農耕文化村センター「農舞台」(2003年/新潟県):越後妻有アートトリエンナーレのために作られた、白いボリュームが浮かぶ文化施設。日本での第1作
- GYRE(2007年/東京・表参道):5つの箱型フロアを少しずつ回転(ひねり)させて積み上げた商業ビル
表参道のGYRE(ジャイル)は、名前が「渦(うずまき)」を意味していて、各階を少しずつねじりながら積むことで、来訪者が渦を巻くように上層へ導かれる構成になっています。表参道を歩く機会があれば、あのねじれた外観を「これがMVRDVか」と思って見上げると、また違った面白さがあります。
新潟の農舞台は、日本におけるMVRDVの記念すべき第1作で、屋根の上に岩山の風景と展望デッキを設けたユニークな施設です。
なぜMVRDVの建物は奇抜な形なのか
MVRDVの建物が奇抜に見えるのは、結論「奇をてらったからではなく、厳しい条件を正面から解いた結果、あの形になったから」です。ここが本記事で一番伝えたいところです。
分かりやすいのが、代表作WoZoCoです。この集合住宅は当初100戸を計画していましたが、日照や斜線などの法規制を守ると、敷地内には87戸しか収まりませんでした。普通ならここで戸数を減らして終わりです。ところがMVRDVは、残り13戸分のボリュームを建物の北側の壁から大きく片持ちで突き出す、という解決を選びました。つまり、あのインパクトのある「突き出し」は、規制と戸数という矛盾を両立させるための、極めて論理的な答えだったわけです。
同じことが他の作品にも言えます。
- 密度の限界を突き詰めた結果、用途を重ねる(マルクトハル)
- 環境データから緑と眺望を最大化した結果、段状になる(Valley)
- 動線の意図を形にした結果、各階がねじれる(GYRE)
このように、MVRDVの形は「見た目のインパクト」から出発しているのではなく、「条件を解いた結論」として現れます。だから彼らの建物は、奇抜でありながら、ちゃんと住めるし機能もする。ここが「ただ変な形の建築」とは決定的に違うところです。
施工・構造と現代建築での位置づけ
MVRDVの作品は、施工・構造の目線で見ると、そのチャレンジングさがよく分かります。壁から13戸を突き出すWoZoCoのような形は、当然ながら大きな片持ち(キャンチレバー)の構造が必要で、通常の集合住宅より格段に難しい構造計画とディテールが求められます。
大きく張り出したボリュームを安全に支えるには、鉄骨やプレストレスを使った入念な構造設計と、それを現場で成立させる施工技術が欠かせません。MVRDVの建築は、奇抜なアイデアを実現するために、構造エンジニアと施工者が相当な工夫を重ねている、という点も見逃せない魅力です。アイデアだけが先行しているのではなく、それを工学的に成立させ切っているからこそ、批評家からも評価されているわけです。
現代建築におけるMVRDVの位置づけは、「リサーチとデータから設計を組み立てる建築(リサーチ型建築)」の代表格、と整理できます。コールハースのOMAの流れをくみつつ、それを密度・データという切り口でさらに先鋭化させた。感覚や作家性に頼らず、条件から論理的に形を導く姿勢は、コンピュテーショナルな設計が広がる今の時代とも相性が良く、だからこそ改めて注目を集めています。
環境データを設計に取り込む姿勢は、サステナブルな建築の潮流とも重なります。

MVRDVに関する情報まとめ
- MVRDVとは:オランダ・ロッテルダム拠点の建築家集団(設計事務所)。読み=エム・ブイ・アール・ディー・ブイ
- 名前の由来:設立者3人(マース/ファン・ライス/デ・フリース)の名字の頭文字
- 設計手法:リサーチとデータから形を導く「データスケープ」。決まったスタイルを持たない
- 代表作:WoZoCo、シロダム、マルクトハル、天津濱海図書館、Valley
- 日本の作品:農舞台(新潟・第1作)、GYRE(東京・表参道)
- 奇抜な形の理由:奇をてらったのではなく、規制や密度の条件を解いた論理的な結果
- 位置づけ:OMAの系譜をくむ「リサーチ型建築」の代表格
以上がMVRDVに関する情報のまとめです。
MVRDVの建物は「なぜこの形なのか」を知って見ると、奇抜さの裏にある論理が見えてきて、一気に面白くなります。表参道のGYREなら日本でも実物を見られるので、この記事を読んだ後にぜひ「これは条件を解いた結果だ」という目で眺めてみてください。建築という営みの奥行きを感じられると思います。


