- 高所作業ってなに?
- 法律ではどう定義されてるの?
- 高所作業にはどんな種類があるの?
- どんな事故が発生しやすい?
- どう安全対策をすればいいの?
上記の様な悩みを解決します。
建築現場において、高所作業を行うタイミングは必ず出てきます。高所作業には危険がつきものですから、正しい知識を身につけなければ自分のことも周りのことも危険にさらしてしまう可能性があります。
この記事では高所作業に関する知識を解説します。
正しい知識を身に着け、日々の現場での作業に活かしていってください!
高所作業とは?(労働安全衛生法での定義)
高所作業とは、結論「2m以上の高さで行う作業のこと」です。
高いところで作業することが高所作業であり「高いところ」は2m以上を指します。この2mというのは労働安全衛生法にて定められています。
現場には危険が多く潜んでいますが、高いところで作業をするとなると、より危険性が増します。
例えば、4mの高さで作業していて転落してしまったら怪我をしてしまいますよね。この様なことがないように、普通の高さで行う作業以上に安全対策をする必要があったりします。
高所作業は工種によりません。建築、土木、設備、どの工種においても発生するので、ほとんどの施工管理に関係があります。
安衛法における高所作業の定義は、一般に「高さ2メートル以上の場所での作業」とされています。この定義により、以下のような具体的な作業が高所作業に分類されます。
具体的には下記の様な作業が高所作業に分類されます。
作業の種類 | 具体例 |
---|---|
建設作業 | 足場の組立、解体 |
電気工事 | 電柱や電線のメンテナンス |
塗装作業 | 建物の外壁塗装 |
清掃作業 | ビルの窓拭き |
高所作業の種類
1. 建設作業
建設現場での高所作業は、建物の鉄骨組み立てやコンクリート打設など多岐にわたります。特に高層ビルの建設では、その高度な技術と安全対策が求められます。
2. 屋根工事
屋根の補修や新規取り付け作業は、特に古い建物や自然災害後の修繕が多く、転落や落下物の危険があります。安全対策としては、安全帯やヘルメットの使用が推奨されます。
3. 塗装作業
ビルや橋の塗装作業は、塗料の飛散防止やローラーやスプレーガンの使用が求められる高度な技術作業です。特に高所での作業は足場の安全確保が不可欠です。
4. 電気工事
電線の設置や修理は、高圧電流が流れる中で行われるため、絶縁工具や安全帯の使用が必須です。停電対策や緊急時の連絡手段も重要です。
5. 看板設置
高層ビルや建物に看板を設置する作業は、大型のクレーンや高所作業車が必要です。設置後の定期的な点検とメンテナンスも重要です。
6. 足場設置
建設現場での足場の組み立てや解体作業は、高所での作業が中心となります。安全確認や各部材の点検が重要です。
7. ガラス清掃
高層ビルの窓ガラス清掃は、ゴンドラやロープアクセス技術を用いることが一般的です。作業中の風速や天候も考慮する必要があります。
8. 煙突清掃
工場や発電所の煙突の清掃は、内部のすすや灰を除去する作業が中心です。内部作業のため、酸素供給装置の使用や定期的な休息が推奨されます。
9. 舞台設営
催し物やイベントでの舞台設営は、天井に取り付ける照明や音響設備の設置が含まれます。安全ネットや安全ハーネスの使用が重要です。
10. 電波塔の点検・修理
電波塔の点検と修理は高度な技術と安全意識が求められます。定期的な点検と適切な保守が行われることが必要です。
11. 通信設備の設置
通信設備のアンテナ設置は、電波の受信状態を確認しながら行う作業です。迅速な対応と正確な技術が求められます。
12. 太陽光パネルの設置
建物の屋上に太陽光パネルを設置する作業は、省エネ対策として注目されています。設置場所の環境や天候の変化に応じた対応が必要です。
13. 樹木の伐採
高所での樹木の伐採や枝打ち作業は、特に森林地帯や住宅地で行われます。安全装備としては、チェーンソーやロープの正しい使用が重要です。
14. 発電所メンテナンス
発電所でのメンテナンス作業は、設備の点検や修理を行います。特に放射線や高熱に対する対策が必要です。
15. 照明装置の取り付け
高い場所に取り付けられる照明装置の設置は、特に夜間作業が多く、光源の確認と安全な作業環境が必要です。
16. 建物の点検
建物の点検や修理は、特に老朽化した建物で重要です。屋根や外壁の状態を確認し、必要に応じて修繕を行います。
17. 胸郭作業
トンネルや地下鉄の設置工事は、高所作業とは異なり、地下作業が中心です。しかし、安全対策としては、酸素供給装置や緊急避難経路の確認が必要です。
18. ダムのメンテナンス
ダムでのメンテナンス作業は、水位の変動や大規模な構造物の点検が中心です。特に高所作業となる場合は、安全帯やクレーンの使用が必要です。
19. 橋梁の点検・修理
橋の点検や修理は、高所での作業が多く、特に橋脚や支柱の状態を確認します。安全ロープや専用の作業車の使用が求められます。
20. クレーン操作
高所でのクレーンの操作は、大型物件の搬入や組み立てに欠かせません。クレーンオペレーターの技術と安全管理が重要です。
種類 | 作業内容 |
---|---|
建設作業 | 建設現場での高所作業。 |
屋根工事 | 屋根の補修や取り付け作業。 |
塗装作業 | ビルや橋の塗装作業。 |
電気工事 | 電線の設置や修理。 |
看板設置 | 高層ビルや建物に看板を設置する作業。 |
足場設置 | 建設現場での足場の組み立てや解体作業。 |
ガラス清掃 | 高層ビルの窓ガラス清掃。 |
煙突清掃 | 工場や発電所の煙突の清掃。 |
舞台設営 | 催し物やイベントでの舞台設営。 |
電波塔の点検・修理 | 電波塔の点検と修理。 |
通信設備の設置 | 通信設備のアンテナ設置。 |
太陽光パネルの設置 | 建物の屋上に太陽光パネルを設置する作業。 |
樹木の伐採 | 高所での樹木の伐採や枝打ち作業。 |
発電所メンテナンス | 発電所でのメンテナンス作業。 |
照明装置の取り付け | 高い場所に取り付けられる照明装置の設置。 |
建物の点検 | 建物の点検や修理。 |
胸郭作業 | トンネルや地下鉄の設置工事。 |
ダムのメンテナンス | ダムでのメンテナンス作業。 |
橋梁の点検・修理 | 橋の点検や修理。 |
クレーン操作 | 高所でのクレーンの操作。 |
高所作業で発生しやすい事故と安全対策
転落事故
高い場所からの転落は最も一般的な高所作業における事故の一つです。これは足元の不安定さや、適切な安全対策の欠如が原因で発生します。
- 足場の崩壊
- 安全ベルトの使用不備
- 不安定な作業台
安全対策
- 足場の定期的な点検と補修
- 適切な安全装備の利用
- 安定した作業台の使用
現場で働いていると、各現場で発生した労働災害が「水平展開」という形で共有されます。
筆者も施工管理の経験がありますので、実際に労働災害を数多く共有されてきたのですが、やはり高所からの転落事故は多かったです。高所で作業しているのに、安全帯をつけていないことが原因で起こった事故などです。
本来、安全帯を取り付けることは難しいことではありません。
ただ、職人さんは面倒くさがりですので、省いて作業をしてしまうこともありますし、良くない施工管理はそれを黙認してしまいます。必ず高所では安全帯をつけさせるのが施工管理の仕事です。
落下物事故
高所作業中の機器や工具の落下によって地上にいる人々に危害が及ぶ場合があります。
- 工具の固定不良
- 保護ネットの欠如
- 不適切な荷上げ・荷下し作業
安全対策
- 工具類の確実な固定
- 保護ネットの設置
- 荷上げ・荷下し手順の徹底
この事故も多いです。
高所で作業していて、工具や部材を下に落としてしまい、下にいる人が被災するパターンです。
落としやすい工具は腰道具にバネの様なもので固定することができます。こういった道具を用意するのも施工管理が現場で安全管理をする上での仕事の一つです。
感電事故
高所作業中に電気に触れることで感電事故が発生することがあります。特に電気工事の場合、感電のリスクは非常に高いです。
- 高圧電線に接触
- 絶縁装備の不備
- 作業環境の整備不良
安全対策
- 高圧電線周辺での作業では適切な警告標識の設置
- 絶縁用具の定期点検と使用
- 作業環境の安全確認
特に活線作業では計画書を作成して工事をすることが多いです。
危険すぎる作業の場合は計画書を作るので、むしろ自己が起こらない可能性が高い。ただ、危険性は少ないが、気が緩んでしまうような作業の場合は自己を起こしてしまうことが多いです。
高所作業車を運転している際の事故
高所作業車両の移動中や作業現場周辺での交通事故も発生しやすいです。特に屋外での高所作業では注意が必要です。
- 作業車両の操作ミス
- 道路交通による妨害
- 視界不良
安全対策
- 作業車両操作の訓練
- 交通整理員の配置
- 作業場所周辺の視界確保
筆者が現場で聞いたのは、高所作業車を上にあげているときに、上を確認しておらず、鉄骨と作業者のバケットの間に首を挟んでしまった、、、、というおぞましい事故を聞いたことがあります。
作業者には安全装置がついているので、バケットを上にあげた状態で運転はできません。
ただ、バケットを上下する際に事故が発生する可能性があるのは覚えておきましょう。
熱中症
高温環境下での作業により、熱中症のリスクが高まります。特に夏季には特別な対策が必要です。
- 適切な水分補給の欠如
- 過度な作業負荷
- 作業環境の通気不良
安全対策
- 定期的な水分補給
- 休憩時間の確保
- 作業環境の改善(通気性の確保)
夏は非常に熱中症が多いです。
特に高所は熱がこもりやすく、熱いので熱中症の可能性が高まります。筆者はサブコンで働いていて、熱中症の人が出てしまったのですが、自社の支社長レベルがゼネコンへと謝りにいっていました、、、、
熱中症になって幸せになる人は一人もいません。熱中症にならないように、熱中症にさせないように施工管理として働くのが大事です。
統計データ
以下は高所作業における主要な事故原因別の統計データです。
事故の種類 | 発生件数 | 死亡者数 | 重傷者数 |
---|---|---|---|
転落事故 | 120件 | 30名 | 60名 |
落下物事故 | 80件 | 10名 | 40名 |
感電事故 | 20件 | 5名 | 10名 |
交通事故 | 50件 | 15名 | 20名 |
熱中症 | 30件 | 0名 | 10名 |
詳細な情報は厚生労働省 労働基準局の公式サイトで確認できます。
高所作業に従事する際に大事な心構え
高所作業において発生しやすい事故と安全対策について紹介しましたが、筆者としては、高所作業に従事する上で大事なのは「知識よりも心構え」だと思います。では具体的にどの様な心構えが必要なのか。
高所作業に従事する上で大事なのは「高所作業は危険である認識を常に持つこと」です。
高所作業における安全対策はそこまで難しいことではありません。
- 安全帯をつける
- 工具を固定する
- 安全ネットの使用
- 人払い
- 熱中症にならないようにこまめな水分補給をする
それでも建設業では多数の高所作業による事故が発生しています。気が抜けているからです。
多くの人は、初めて高所作業をすると危険意識を持ちます。
それが徐々に慣れてくると「事故なんて起こらない」と思うようになり、徐々に緩くなっていきます。安全帯はしなくていいや。あとでいいや。うるさい施工管理がいるときでいいや、、、と。他現場の労働災害の事例を見ても他人事になっていきます。
だからこそ、施工管理は職人に対して「高所作業は危険である」という認識を持たせることが大事です。
施工管理が安全帯をしない、というのは言語道断。職人さんも高所で作業するときは危険意識を持つようにしましょう。
労働災害が起こって幸せになる人は一人もいません。自分も周りの仲間も事故を起こさないように注意しながら高所作業をするようにしましょう!
高所作業に関する情報まとめ
- 高所作業とは(法律上の定義):2m以上の高さで行う作業のこと
- 高所作業の種類:転落、落下物、感電、熱中症
- 発生しやすい事故と安全対策:上章参照
- 作業時の心構え:高所作業は危険である認識を常に持つ
施工管理として働いていく上で、高所作業の重要性とリスクを理解することは必須です。
職人さんは作業車に乗って作業することが多々ありますし、施工管理も作業車にのって施工写真を撮影したり、足場上で職人さんに指示を出したりします。
現場では、高所からの転落災害で命を落としてしまう人もいます。
自分自身を守るためにも、職人さんを守るためにも、高所作業について正しく理解しておきましょう。一つ一つ正しい知識をつけると、施工管理としてキャリアアップできます。今後も適切な知識を学んで成長していきましょう!
それでは!