- BIM確認申請ってなに?
- 普通の確認申請とどう違うの?
- メリットはあるの?
- 対象になる建築物はどれ?
- 今どこまで進んでいるの?
- 施工管理として何に気をつければいい?
上記の様な悩みを解決します。
BIM確認申請はBIM(Building Information Modeling)モデルを用いて建築基準法上の建築確認申請を行う取り組みのことで、国交省が推進する建設業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の柱の1つです。従来の紙図面ベースの確認申請からBIMモデル経由の申請への移行は段階的に進んでいて、設計段階から施工段階までの情報を一気通貫でつなぐ重要なテーマでもあります。「施工管理には関係なさそう」と思われがちですが、設計BIMが施工BIMに引き継がれて施工図や干渉チェックに直結する話なので、現場側にとっても無視できない動きです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
BIM確認申請とは?
BIM確認申請とは、結論「BIMで作成した3次元モデルを建築確認申請に活用する仕組み」のことです。
建築基準法第6条に基づく建築確認申請を、従来の2次元図面(PDFや紙)中心の運用から、BIMモデル中心の運用へ切り替える取り組みで、国交省と建築確認検査機関が連携して進めています。BIM(Building Information Modeling)は3次元モデルに属性情報(部材・材料・性能)を持たせて建築物を表現する仕組みで、設計・施工・維持管理の全フェーズで活用されます。代表的なソフトはRevit、Archicad、Vectorworks、GLOOBEで、国際標準のIFC(Industry Foundation Classes、ISO 16739)形式で相互運用されるのが基本構造です。
雑にいえば、これまで「2次元の図面の束」で建築確認していた仕組みを、「3次元モデルに情報を全部入れて、そこから図面や数量を抜き出して審査」する方式に切り替えていこう、という話ですね。
僕としては、BIM確認申請は「DXの中で一番設計と施工をつなぐインパクトが大きい話」だと捉えていて、設計図書の整合や数量算出が自動化されるぶん、施工側の手戻りも減ってくる将来性の高い動きだなと感じます。
なお「BIM確認申請」と「BIMによる確認申請」は厳密には別物で、広義はBIMを活用した確認申請全般、狭義はBIMモデルそのものを正式な申請図書とする方式、を指します。実務の過渡期としては、BIMから出力したPDF図面で申請しつつ、BIMモデルを参考資料として添付する運用が中心、というのが現実です。
| 項目 | 従来の確認申請 | BIM確認申請 |
|---|---|---|
| 主な提出図書 | 2次元図面(PDF・紙) | BIMモデル+出力図書 |
| 整合性チェック | 人手で目視確認 | BIMモデル内で自動整合 |
| 数量・面積 | 拾い計算 | モデルから自動算出 |
| 法規チェック | 手計算・チェックリスト | 一部自動化(高さ・建ぺい率等) |
| 修正対応 | 図面ごとに差し替え | モデル更新で全図書連動 |
| 提出方法 | 紙・PDF | オンライン提出(一部対応) |
図面同士の整合や数量算出を人間が手でやっていた部分が、モデル上で自動化される、というのが最大の構造変化です。BIM/CIM全体の中での位置づけはこちらに整理しています。


BIM確認申請の仕組み
実際の運用は、完全BIMネイティブの確認申請にはまだ届いていない発展途上段階です。段階的な移行のロードマップは4段階で整理されています。
- 第1段階:BIMから出力したPDFで申請(従来運用+BIM活用)
- 第2段階:BIMモデルを参考資料として添付(審査側もBIMで確認)
- 第3段階:BIMモデルが正式な申請図書(紙図面が補助に回る)
- 第4段階:BIMネイティブ審査(法規チェックの自動化まで踏み込む)
現在は第1〜第2段階の真ん中あたりで、第3段階以降は対応機関や対象建築物がまだ限定的、というのが業界の現状感ですね。
運用の枠組みとしては、国交省の「BIM/CIMモデル要領」がデータ作成の標準、「建築確認申請における設計BIMモデル受入要領」が申請時のデータ形式、指定確認検査機関の独自対応が機関ごとの受け入れ体制、オンライン申請システムがデータ提出のプラットフォーム、という4層構造で整理されています。モデル受入要領の中身は、データ形式(IFCまたはBIMネイティブ形式)、モデル詳細度(LOD200〜LOD300相当)、属性情報(部材種別・材料・寸法・性能)、モデルチェックの責任(設計者・建築士)の4点が要点です。
BIMモデルから抜き出して提出する図書は、付近見取図・配置図・各階平面図、立面図・断面図・矩計図、構造図・設備図、求積図・面積表・建ぺい率算出、法規チェック関連の図書、といった2次元図書群。モデルさえあれば、これらを再生成できるのが従来との大きな違いです。
オンライン申請プラットフォームと審査ビュワー
オンライン申請の場は、指定確認検査機関の専用ポータル、国交省の電子申請システムとの連携、データの暗号化・改ざん防止、審査者と申請者のチャットベース対応、という形で整備が進んでいます。審査側には無償BIMビュワーが導入されつつあり、属性情報の確認、断面切断・3Dウォークスルー、モデル上の特定箇所へのコメント・ピン留めができるようになってきています。ただし現状は、正式な申請図書は紙またはPDFとして継続し、BIMモデルは参考資料という扱いが主流です。
国際的な動向
国際的にはシンガポール(CORENETでBIM電子申請が先行)、イギリス(政府発注工事でBIM Level 2必須)、アメリカ(GSAがBIM活用推進)が先行していて、日本はシンガポール型電子審査を参考に検討を進めている段階。データの相互運用性は、IFC形式(ベンダー中立)、ネイティブ形式(機能豊富だがソフト依存)、業界標準分類(UniClass・Omniclass・JIS A 0017)、属性情報の標準化(BCS/BIM/CIM Standard)といった枠組みで整理されています。
IFCの詳細はこちら。

BIM確認申請のメリット
BIM確認申請を採用することで、設計者・審査機関・施工者・発注者の各立場で恩恵があります。主なメリットを並べると以下のとおり。
- 図面の整合性チェック(平面・立面・断面のずれが自動解消)
- 数量・面積算出の自動化(求積図・面積表をモデルから自動生成)
- 法規チェックの一部自動化(建ぺい率・容積率・斜線制限)
- 設計→施工→維持管理の一気通貫の情報連携
- MEP干渉チェック(建築・構造・設備の3D干渉検出)
- 審査時間の短縮(モデル上の指摘ピン留めで修正ループ高速化)
最大のメリットは整合性チェックと数量算出の自動化です。平面図・立面図・断面図のずれがモデル更新で自動解消されるので、「平面では描かれているが立面に出ていない」ようなミスが激減して、整合エラーの目視チェックから解放されます。求積図・面積表もモデルから自動算出されるので、数量拾いの精度が向上し、設計変更時の数量再算出も即時で対応できます。
法規チェックの一部自動化も大きい。建ぺい率・容積率の自動算出、斜線制限・日影規制の3D検討、天井高・廊下幅などの自動チェックが可能になり、避難経路の自動チェックも発展途上ながら実装が進んでいます。審査側でも3Dビュワーで立体的に確認でき、属性情報で性能・材料が即時確認できて、指摘箇所をモデル上にピン留めして修正と確認のループを高速化、と審査時間そのものが短縮されます。
BIMの真価は、設計→施工→維持管理の一気通貫の情報連携にあります。設計BIMから施工BIMへの引継ぎ、施工図作成の基礎データとしての活用、施工計画の精度向上、手戻りの削減、というのが施工側で享受できる効果。竣工後はBIM as-built(竣工BIM)を維持管理に引き継いで、設備の更新時期の見える化、大規模修繕計画の精度向上、長寿命化の支援、まで広がります。MEP干渉チェック(建築・構造・設備の干渉を3Dで自動検出、配管・ダクト・電気配線の重複回避、施工順序の事前検証)も、現場手戻り削減に直結する重要な効果ですね。
施工管理DX全体の流れの中では、施工要領書・出来形管理へのBIM活用、写真管理アプリとの連携、遠隔臨場・遠隔検査の質向上、施工管理者の働き方改革、という形で施工側のDXも進みます。補助金面では建築BIM加速化事業や国交省の関連補助金、DX投資促進税制、発注者からのBIM対応企業優先評価、といった追い風もあります。
施工要領書との連携イメージはこちらが参考になります。

BIM確認申請の対象・現状
「結局のところ、自分の現場でBIM確認申請ができるのか?」という現状感覚を整理します。
法令上、BIM活用に制限はなく、すべての建築物が対象になりえます。実際に先行しているのは、延べ床面積1万㎡超の大規模建築物、複雑な形状や特殊建築物、MEP(機械・電気・配管)が複雑な建築物、長寿命化が前提の公共建築物、発注者がBIM活用を推奨する民間プロジェクト、といった特徴を持つ案件。オフィス・ホテル・複合施設、国交省・地方自治体が発注する公共工事、戸建てよりは大規模な集合住宅で導入が先行していて、戸建住宅のBIM活用はコスト面でまだ限定的、というのが現状の温度感です。
指定確認検査機関の対応は、大手機関でBIM受入の試行・実施が進み、地方の検査機関の対応は順次本格化、建築主事(特定行政庁)は先進自治体で導入、というばらつきがあるので、案件着手前に対応可否を機関ごとに事前確認するのが必須です。
国交省側の施策は4本柱で進んでいます。
- 建築BIM推進会議:産官学連携の検討の場
- 建築BIM加速化事業:BIM導入補助金、年度ごとに公募
- BIMモデル受入要領:データ形式の標準を整備
- BIM/CIM原則適用:公共工事での段階的義務化
BIM/CIM原則適用は国交省直轄の公共工事で段階的に進められていて、大規模工事から開始して対象を拡大、建築工事は土木よりやや遅れて展開、民間工事への波及は発注者次第、というペースで広がっています。
民間工事のBIM導入は、大手ゼネコンで標準化、中堅ゼネコンで進行中、専門工事会社で施工BIM活用が広がり中、地方の建設業はこれから本格化、というのがざっくりの分布。設計事務所側は大手組織設計事務所でBIMが標準、アトリエ系は物件によって導入、中堅・地方の事務所は段階的に導入、若手建築士のBIMスキルは急速に向上、という傾向ですね。戸建住宅では大手ハウスメーカーが自社BIMシステムを保有、中堅工務店がパッケージ型BIMを導入、地場工務店はほぼ未導入が主流で、戸建てBIM確認申請はまだレアケース、というのが正直な現実です。
電子申請システムは徐々に整備されてきていますが、完全オンライン確認申請はまだ発展途上で、紙とPDFの併用が主流。BIMモデルの公式提出は対応機関のみ、という温度感です。今後の見通しとしては、BIM確認申請の対象機関・対象建築物の段階的拡大、法規チェックの一部自動化(高さ・面積などの簡易自動チェック)、データ標準化の進展(IFC・属性情報)、AI連携による自動法規チェック・整合チェック、パッケージBIMによる戸建住宅への波及、という方向性が見えてきています。
施工管理者の立場では、設計BIM受領→施工BIM作成の流れに巻き込まれる位置、施工BIMの作成スキルが一部現場で必須化、BIMオペレーターやBIMマネージャーの専門ロールの登場、BIMを使えなくてもBIMから出力された図面で十分動ける現場が大半、というのが正直な現状感です。
なお「電子申請」と「BIM確認申請」は混同されがちですが、電子申請は紙の代わりに電子データで申請(PDFも含む)する仕組み、BIM確認申請はBIMモデルを活用した申請(電子申請の一形態)、という関係。BIM確認申請は電子申請の進化系として理解するのが分かりやすいです。
ICT建機やマシンガイダンスといった土木のDXの動きと並行して、建築でもBIM活用が広がっています。


BIM確認申請の注意点
実務でBIM確認申請を扱う際の注意点を整理します。「BIMだから万能」ではないところがミソです。
機関・ソフト・LODの整合
最初に確認すべきは、指定確認検査機関のBIM対応状況です。全機関がBIM受入対応ではないので、対象機関・対応範囲を事前確認して、案件着手前に機関選定を済ませるのが先決。BIMソフト・ファイル形式は、設計者と審査機関のソフトが異なるケースがあるため、IFC形式での提出が現実的な選択肢になりますが、モデルの読込み・変換でデータ欠損が起きやすいので属性情報の保持を事前確認しておきます。LOD(モデル詳細度)はLOD200・LOD300・LOD400で意味が違うので、申請段階に求められるLODを発注者・審査機関と合意しておくこと。過剰なLODはコスト増、不足のLODは審査時の差し戻しを招きます。
申請図書の正本と法規チェックの責任
正式な申請図書は紙またはPDFが現状の主流で、BIMモデルは参考資料の位置付けが多いです。モデルとPDFの整合性を必ず確認して、モデル更新後の図面再出力を忘れないことが基本動作。法規チェックは、BIMが自動チェックしても最終責任は建築士にあるという原則を忘れないこと。「自動チェックでOKだから安心」は危険で、手計算・目視チェックとの併用が必要で、改正法規対応にはBIMソフトのアップデートが追いつかないこともある、というのが現実的な認識です。
データ管理・著作権・体制
BIMモデルは何度も更新されるので、どのバージョンが申請正本かを明確化して、共通データ環境(CDE)でバージョン管理、設計変更時のモデル更新の責任所在を決める必要があります。著作権はBIMモデルが設計者に帰属するのが原則で、発注者へのデータ引渡し、施工者がモデルを編集する権利、維持管理段階での利用権は契約で明確化しておくこと。設計BIMは設計意図を表現、施工BIMは施工方法を表現、というように役割が違うので、設計BIMをそのまま施工BIMに転用できないケースが多く、施工側での補足・詳細化が必要になります。
モデル容量・体制整備・紙併存
大規模建築物のBIMモデルは数GBになることがあり、オンライン提出時の通信時間、審査側のPC性能(開けないモデルが出ることも)、モデルの軽量化・分割、といった工夫が必要です。体制整備としては、BIM作成の専門人員、設計者と施工者間のBIMコーディネーター、品質保証担当のモデルチェッカー、教育・研修の継続、という4ロールの整備が前提。当面は紙とBIMの併用が続くので、二重作業の負担、発注者の好み(紙ベースを希望されるケース)、全社的な切替時期の判断、といった過渡期特有の論点も残ります。
施工管理者として現場で押さえる視点は次の5点が中心ですね。
- 設計BIMが届いたら施工BIMへの再構築計画を立てる
- 設計変更時のBIM更新を契約で明確化する
- BIMから施工図への流用時の精度確認を必ず通す
- 干渉チェック結果を工程会議に活かす
- 完了検査時のBIM活用に関する発注者要求を事前確認する
BIM加速化事業など補助金の活用も、公募時期・要件・書類整備・交付後の実績報告のタイミングを押さえて進めるのが安全です。
施工図と設計BIMの連携理解はこちらも合わせてどうぞ。

BIM確認申請に関する情報まとめ
- BIM確認申請とは:BIMモデルを建築確認申請に活用する取り組みのこと
- 基本構造:設計者がBIM作成→出力図書(PDF)またはBIMモデル提出→建築主事・指定確認検査機関が審査
- 段階的な姿:第1段階(PDF出力で申請)→第4段階(BIMネイティブ自動審査)まで発展見込み
- メリット:図面整合性の自動確認、数量・面積算出、法規チェック一部自動化、設計と施工の情報連携、MEP干渉チェック
- 対象建築物:すべて対象になりうる、現状は大規模・公共・複雑形状で先行
- 国交省の施策:建築BIM推進会議、建築BIM加速化事業、BIM/CIM原則適用、モデル受入要領
- 注意点:機関のBIM対応確認、LODの合意、申請図書の正本、データ管理の責任
- 施工管理視点:設計BIM→施工BIMの引継ぎ、施工図作成への活用、干渉チェック
- 見通し:対象機関・建築物の段階的拡大、法規チェックの自動化、戸建てへの波及
以上がBIM確認申請に関する情報のまとめです。
BIM確認申請は建設業全体のデジタル化の象徴的な動きで、設計→確認→施工→維持管理を一気通貫でつなぐ情報基盤の入口です。現場の施工管理者にとっては「設計BIMが届く前提でどう施工に活かすか」という視点が当面のテーマで、完全BIMネイティブな運用に到達するには業界全体の試行錯誤がまだ続く段階。指定確認検査機関のBIM対応状況・補助金の活用・自社のBIM体制整備を意識しながら、段階的に取り入れていくのが現実的なアプローチですね。
合わせて読みたい記事はこちら。








