- PERTってなに?
- 工程管理でどう使うの?
- ガントチャートとの違いがよく分からない
- PERT図ってどう書くの?
- 最早開始時刻・最遅完了時刻ってなに?
- 現場で本当に使える手法なの?
上記の様な悩みを解決します。
PERTは、工程の前後関係をネットワーク図で見える化して、最も時間がかかる経路(クリティカルパス)を見つけるための工程管理手法です。建設現場の工程会議で「ここがクリティカルだから先行して…」という会話の根っこにあるのがPERT。基礎を押さえると、工程表の読み方が一段深くなります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
PERTとは?
PERT(パート)とは、結論「作業の前後関係をネットワーク図で表して、全体の所要時間とクリティカルパスを求める工程管理手法」のことです。
PERTは “Program Evaluation and Review Technique”(プログラム評価・レビュー技法)の頭文字。1958年にアメリカ海軍が潜水艦ミサイル「ポラリス」の開発工程を管理するために編み出した手法で、その後ゼネコンの大規模工事や宇宙開発、ITプロジェクト管理にも広がりました。
建設現場では「ネットワーク工程表」という呼び方の方が一般的かもしれません。実態としてはほぼ同じものを指していて、
- PERT=手法の名前(考え方・計算ロジック)
- ネットワーク工程表=PERTで書かれた工程表の呼び方
くらいに考えてもらってOKです。
ちなみによく似た用語に「CPM(Critical Path Method)」がありますが、PERTが「作業時間を確率的に扱う(楽観・標準・悲観の3点見積もり)」のに対し、CPMは「作業時間を1点で見積もる」点が原典上の違い。ただ、現代の実務では両者は事実上一体運用されていて、ネットワーク工程表=PERT/CPMと総称されることが多いですね。
クリティカルパス自体については別記事で詳しく書いているので、合わせてどうぞ。
ガントチャート・バーチャートとの違い
工程表には3つの代表的な書き方があり、それぞれ得意なことが違います。
| 工程表の種類 | 表現方法 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| バーチャート工程表 | 横棒で作業期間を表現 | 視覚的に分かりやすい | 作業の前後関係が見えにくい |
| ガントチャート工程表 | 棒グラフ+進捗率 | 進捗管理が直感的 | クリティカルパスが分からない |
| PERT(ネットワーク工程表) | 矢線とイベントで前後関係を図示 | クリティカルパス・最早最遅の把握 | 作成・更新の手間が大きい |
ざっくり言うと、
- 「いつから・いつまで」を見たい → バーチャート
- 「どこまで進んだか」を見たい → ガントチャート
- 「どこを優先すべきか」「遅れたら工期にどう響くか」を分析したい → PERT
という使い分け。中規模以上の建設工事では、現場事務所の壁にバーチャートを貼って日常運用しつつ、節目の工程会議でPERTを使ってクリティカルパスを再確認する、という二刀流が定番です。
PERT図の書き方
PERT図は、矢線(アロー) と イベント(丸) で作業の前後関係を表します。書き方には大きく2方式あって、
- アロー型(AOA:Activity On Arrow):矢線が作業を表す。日本の建設業で標準
- プレシデンス型(AON:Activity On Node):丸が作業を表す。ITやMS Project等のソフトで標準
ここでは日本の建設現場で見ることが多いアロー型で説明します。
基本ルール
- 作業(アクティビティ)は矢線で書き、矢線の上に作業名と所要日数を記入
- イベント(丸)は作業の開始・完了を表す節点。番号を振る
- すべての作業はネットワークの始点(最初のイベント)と終点(最後のイベント)で結ばれる
- 同じ2つのイベント間には1本の作業しか書かない(重複時はダミー作業を使う)
- ループ(戻り)は作らない
簡単な例
「外構工事」を例にすると、
- A:基礎掘削(3日)
- B:配筋(2日、Aの後)
- C:配管埋設(2日、Aの後)
- D:コンクリート打設(1日、BとC両方の後)
- E:仕上げ(2日、Dの後)
この場合、AからBとCに分岐し、BとCがDで合流、DからEへ進むネットワーク図ができます。Aは3日、B+Dで3日、C+Dで3日、最後にEで2日。最も長い経路は A→B(またはC)→D→E=3+2+1+2=8日。これがクリティカルパスです。
最早開始・最遅完了の計算
PERTの本領は、各作業の 最早開始時刻(EST) と 最遅完了時刻(LFT) を求めることで、「どれだけ余裕があるか」を数字で出せる点にあります。
| 用語 | 略号 | 意味 |
|---|---|---|
| 最早開始時刻 | EST | その作業を最も早く始められる時刻 |
| 最早完了時刻 | EFT | EST + 所要日数 |
| 最遅開始時刻 | LST | その作業を最も遅く始めても工期に間に合う時刻 |
| 最遅完了時刻 | LFT | LST + 所要日数 |
| トータルフロート | TF | LFT – EFT=余裕日数 |
クリティカルパス上の作業は トータルフロート=0。つまり、ここが1日でも遅れると工期全体が遅れます。逆に余裕(フロート)がある作業は、多少の遅れを吸収できる作業ということ。
現場で言うと、トータルフロート2日の作業に職人を1人余計に投入するより、フロート0日のクリティカル作業に増員した方が工期短縮に直結する、という判断ができるようになります。
建設現場でのPERTの使いどころ
実務でPERTをそのまま手書きで運用している現場は減ってきました。代わりに MS Project、ASTAGE、SiteBox、現場クラウド系の工程ソフトが普及していて、入力したガントチャートからクリティカルパスを自動算出してくれます。
ただ、ソフトを使っても「PERTの考え方」が分かっていないと、
- どの作業を「先行作業」として登録すべきか判断できない
- フロートが赤く表示されたとき、何をすべきか判断できない
- 工期短縮の打ち手として、どこを縮めるか優先順位を付けられない
という残念な状況になりがち。ツールはあくまで計算機で、頭の中にPERTの考え方を持っている施工管理者がいて初めて活きてきます。
具体的に効くのは次のような場面です。
1. 工程会議でのクリティカルパスの共有
「今ここがクリティカルだから、明日の天候次第では工期に影響します」と数字で説明できる。
2. 工期短縮の打ち手検討
増員・並行作業・夜間工事のどれを選ぶかを、フロート分布を見ながら決める。
3. 遅延発生時のリカバリープラン
クリティカル上で1日遅れた場合、「並列作業を増やす」「後工程の余裕を削る」のどちらが効くかを定量比較できる。
PERTは「頭で持っておいて、ソフトで動かす」のが現代的な使い方ですね。
PERTに関する情報まとめ
- PERTとは:作業の前後関係をネットワーク図で表す工程管理手法
- 略称:Program Evaluation and Review Technique
- ガントチャートとの違い:PERTは前後関係とクリティカルパス分析が得意
- 書き方:矢線(作業)とイベント(節点)でネットワークを構成
- 主要指標:EST・LFT・トータルフロート(フロート0がクリティカルパス)
- 現場での使い方:工程会議・工期短縮検討・遅延リカバリープラン
以上がPERTに関する情報のまとめです。
ネットワーク工程表は最初は取っつきにくいですが、一度書き方を覚えると工程の見え方が立体的になります。最初は小さな工程(数日〜1週間程度の部分工程)でPERT図を手書きしてみると、感覚が掴みやすいですよ。工程・図面まわりの周辺記事も合わせてどうぞ。






