- 施工要領書ってなに?
- 表紙にはどんなことを記載するの?
- 施工要領書と施工計画書の違いって?
- 作業手順書とはどう違うの?
- 施工要領書の種類って?
- 雛形へのリンクが欲しい
上記のような悩みを解決します。
施工要領書は施工を進める上で必ず必要になってくる書類です。似たような書類も多く、その違いについて理解しているのといないのでは、作成の仕方も変わってきます。
この記事では、施工要領書に関する情報を網羅的に解説します。
下の目次から読みたい分だけ読んでもオーケーですので、参考にしてみてください。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
施工要領書とは?
施工要領書とは、結論「施工のやり方を示す書類のこと」です。
具体例として、新築の現場を考えてみましょう。
ゼネコンが一括で工事を受注をしたとしたら、電気設備関係の工事は電気設備工事の業者に発注することになります。
ここでもし電気設備に異常があった場合、ゼネコンが責任を負うことになります。
というのも、元請けはゼネコンで、建築物の品質責任を負っているのはゼネコンだからです。実際に工事をしたのは電気工事業者でも、責任はゼネコンに行きます。
このように元請けは建築物に対する品質責任を持っているので、下請けである電気工事会社がきちんとした施工をしているか注視しなければなりません。
そこで施工要領書の登場です。
下請けである電気工事会社はゼネコンに対して施工要領書を提出します。「こういう風に施工を進めますよ」という書類をゼネコンは受け取り、書類を確認することで建築物の品質を担保します。
もし施工要領書が無ければ、電気屋が好き勝手に施工して、品質が損なわれる可能性があります。
工事を始める前に施工のやり方を示し、必要があれば改善して工事を進めていかなければなりません。そこで必要になってくるのが施工要領書という訳です。
施工要領書の記載事項
施工要領書の記載事項
- 工事概要
- 工事業者
- 施工する時期
- 施工場所
- 使用する材料や部材
- 施工の進め方
- 安全対策
5W1H
- Who:誰が
- When:いつ
- Where:どこで
- What:なにを
- Why:なぜ(これはあまり関係ないかも)
- How:どうやって
施工要領書と施工計画書の違い
施工要領書に似た書類で、施工計画書という書類があります。内容としては大して違いませんが、微妙な違いがあるんです。違いを抑えましょう。
施工要領書と施工計画書の違いは、結論「作成者と提出先」です。
具体的には、下記のような違いになります。
施工要領書と施工計画書の違い
- 施工要領書:下請けが作成し、元請けに提出する
- 施工計画書:元請けが作成し、施主に提出する
つまり、元請けも下請けも「施工のやり方を示す書類」を作成しなければなりません。
その書類を、下請けは元請けに、元請けは施主に提出する必要があります。ただ前者の場合は施工要領書と呼ばれ、後者は施工計画書と呼ばれます。
あと正確なことを言えば、書式も異なります。
施工要領書は元請けに対する書類ですから、元請けが理解できるように作成しなければなりません。対して施工計画書は施主に対する書類です。
相手によって書類の作成方法は異なりますので、注意が必要です。
施工要領書と作業手順書との違い
作業手順書も施工要領書と同様に「施工のやり方を示した書類」です。施工計画書と同様に内容は同じですが、役割が違います。
施工要領書と作業手順書のとの違いは、結論「品質に重きを置いているか、安全に重きを置いているか」です。
要は下記になります。
施工要領書と作業手順書の違い
- 施工要領書:品質に重きを置いた書類
- 作業手順書:安全に重きを置いた書類
パトロールをする人が「この施工方法で事故は起こらないか?」「事故が起こりそうならどこを注意すれば良いのか?」を考える為の書類です。
品質の面も入ってきはしますが、重きが置かれるのは品質です。
対して施工要領書は安全担当ではなく、施工者が確認します。
「具体的に、どのように施工すれば良いか」「この施工で品質に問題はないか?」を確認する為の書類です。安全の面も考慮しますが、あくまで安全の項目は一部であり、特段重きが置かれている訳ではありません。
内容に大きな違いはありませんが、役割にちょっとした違いがあります。
施工要領書の種類
結論、全ての工事に施工要領書が必要です。
施工要領書の種類
- 溶接工事
- 電気工事
- 空調工事
- 衛生工事
- 溶接工事
- 配管工事
- 塗装工事
- 鉄骨工事
- 左官工事
- 基礎工事
- 躯体工事
- 内装工事
施工要領書の雛形へのリンク
施工要領書の雛形は、会社によって異なります。
各社がサーバーに施工要領書を持っていると思うので、そちらを確認するのが早いです。まずは過去サーバーで施工要領書を確認しましょう。
例えば電気工事会社なら配管工事を複数現場で何度もやってるんです。その現場ごとに新しい施工要領書を作成するとか、面倒が過ぎますよね。
大抵サーバーに各工事の施工要領書がありますので、それをちょちょっと編集して完成させてしまうのが近道です。
それも無い場合は下記リンクにある雛形を使いましょう。
本当に施工要領書通りに施工しなければならないの?
そう思う方もいるかもしれません。
結論、施工要領書通りに施工しなければなりません。
熟練の職人さんがいると「こっちのやり方の方が早いし、品質面も問題ないよ。」と言って、勝手に施工方法を変えてしまう人もいます。これはマズイです。
職人さんのやり方で失敗したとして、職人さんが責任取ってくれるんですか?って話です。
その職人さんの言ってることが正しい正しくないは関係ありません。誰が施工に対する責任を持つのかという話ですので、元請けに提出した通りの施工をしなければなりません。
もし違う施工方法に変えるなら、施工要領書の変更が必要です。
施工管理が職人のいいなりだと、職人さんの言う通りになってしまいます。常日頃から職人さんとの関係性の構築が大切になってくるので、注意しましょう。
施工要領書に関する情報のまとめ
施工要領書に関する情報のまとめ
- 施工要領書とは:施工のやり方を示す書類のこと
- 施工要領書の記載事項:工事概要、工事業者、施工時期、施工場所、安全対策、他
- 施工要領書と施工計画書の違い:作成者と提出先
- 施工要領書と作業手順書の違い:品質に重きを置いているか、安全に重きを置いているか
- 施工要領書の種類:設備工事関係、溶接工事、内装工事、他
- 施工要領書の雛形リンク:一般社団法人 施工計画書ひな形集
- 施工要領書通りの施工:必ず要領書通りに施工し、変えるなら書類に変更が必要
以上が施工要領書に関する情報のまとめとなります。
施工要領書を作成してしまったら、その通りに施工を進めなければなりません。変更するにしても多くの人からハンコを貰わないといけないので、かなり面倒です。
最初に施工要領書を作る段階で、詳細な部分まで作り込む必要があります。