- ゼネコン決算って、結局どこが一番儲かってるの?
- 数字の羅列じゃなくて要点だけ先に知りたい
- 8年ぶりの過去最高益って本当?
- 売上減ってるのに利益は増えてるって、どういうこと?
- なんで急に儲かり出したの?
- で、結局「俺の給料」は上がるの?
- うちみたいな下請・サブコンにも回ってくる?
- 今って建設業に転職するなら「買い」のタイミング?
- 来期はまた落ちるって聞いたけど、いつまで続く?
上記の様な悩みを解決します。
「大手ゼネコンが8年ぶりの過去最高益」というニュースを見て、「へえ景気いいんだ」で終わっている人が多いと思います。でも本当に気になるのは、その好決算が自分の給料・ボーナス・会社選びにどう跳ね返ってくるか、ですよね。今回は2026年最新の大手5社の決算を売上・利益ランキングでサクッと押さえたうえで、「なぜ儲かったのか」「現場や下請にも回ってくるのか」「来期はどうなるのか」まで、現場目線で翻訳して整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、決算書を読んだことがない方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ゼネコン決算とは?
ゼネコン決算とは、結論「大手建設会社が1年間でいくら売り上げて、いくら儲けたかをまとめた“成績表”」のことです。
会社は年に1回、1年間の経営成績をまとめて公表する義務があります。これが決算で、上場しているスーパーゼネコン(鹿島・大林組・大成建設・清水建設)は毎年5月ごろに「決算短信」という書類でその中身を発表します。ニュースで「ゼネコン決算」と話題になるのは、たいていこのタイミングです。
現場の人間が決算を見るときに、最低限これだけ押さえればいいという数字が3つあります。
- 売上高:1年間で工事などを通じていくら稼いだか(会社の規模)
- 営業利益:本業(工事)でいくら儲けたか。ここが会社の実力を一番素直に映す
- 当期純利益:税金や一時的な損益まで全部差し引いた、最終的に手元に残った利益
ざっくり言うと、売上高が「会社の大きさ」、営業利益が「本業の稼ぐ力」、純利益が「最終的な儲け」です。決算書全体の見方をもう少し詳しく知りたい方は、こちらが参考になります。

僕の感覚だと、現場の人間は営業利益だけ見ておけば十分です。売上がいくら大きくても営業利益が薄い会社は「たくさん工事してるけど儲かってない」わけで、逆に売上が減っても営業利益が伸びていれば「採算のいい仕事に絞って賢く儲けている」と読めます。この1点を押さえるだけで、決算ニュースの解像度がかなり変わります。
【2026年最新】大手ゼネコン5社の決算ランキング
まずは結論の数字から。2026年3月期(竹中工務店のみ2025年12月期)の大手ゼネコン5社の決算を、売上高順に並べたのが下の表です。
| 順位 | 会社 | 売上高(前期比) | 営業利益(前期比) | 当期純利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鹿島建設 | 3兆672億円(+5.3%) | 2,407億円(+58.5%) | 1,773億円 | 7.8% |
| 2 | 大林組 | 2兆5,862億円(-0.2%) | 1,946億円(+36.6%) | 1,737億円 | 7.5% |
| 3 | 大成建設 | 2兆890億円(-3.0%) | 1,879億円(+56.4%) | 1,700億円 | 9.0% |
| 4 | 清水建設 | 2兆578億円(+5.8%) | 1,186億円(+67.1%) | 1,266億円 | 5.8% |
竹中工務店は非上場かつ12月決算のため単純に横並び比較できませんが、当期純利益は過去最高を更新しています。この5社が、業界で「スーパーゼネコン」と呼ばれる最大手グループです。
数字から読み取れるポイントを、現場目線で3つだけ挙げておきます。
- 売上トップは鹿島建設。建設業界で初めて売上3兆円を突破しました
- ただし「稼ぐ効率」=営業利益率のトップは大成建設の9.0%。売上4位・清水の5.8%とは差がある
- 5社合計の営業利益は約8,347億円で、前期比なんと約55%増。全社そろって大幅増益
各社の数字はすべて決算短信として公式に公表されています。売上規模では鹿島が頭一つ抜けていますが、利益の効率で見ると大成建設が一番うまく稼いでいる、という構図です。「一番大きい会社」と「一番賢く儲けている会社」が別、というのは覚えておくと決算ニュースが面白く見えてきます。
なぜ8年ぶりの過去最高益なのか?
ここが今回の決算の一番のキモです。「売上はほとんど増えていないのに、利益だけが5割以上も伸びた」──この一見おかしな現象こそ、2026年決算の本質です。
大林組は売上がほぼ横ばい(-0.2%)、大成建設にいたっては減収(-3.0%)です。それでも営業利益は両社とも大幅増。つまり「たくさん工事を取って売上を伸ばした」のではなく、「1件1件の工事で、ちゃんと利益が残るようになった」ということです。この“減収増益”のカラクリは、次の流れで理解できます。
- ここ数年、資材費と人件費(労務費)が急騰し、工事の採算がどんどん悪化していた
- その値上がり分を、発注者(不動産会社や官公庁)への見積もり価格に転嫁する交渉が進んだ
- 数年前に安く受注した「採算の悪い工事」を消化し終え、適正価格で取り直した工事に入れ替わった
- 結果、工事の粗利(工事でどれだけ利益が残るか)がそろって改善した
要するに「安く請けて数をこなす」時代から「採算の合う仕事を適正価格で取る」時代へ、業界全体が舵を切ったわけです。報道各社が伝えた通り、4社合計の利益は8年ぶりの高水準となりました。
ただし、利益の「質」には各社で差があります。ここは少し踏み込んで見ておく価値があります。
僕としては、増益の中身を「本業で稼いだのか」「一時的な要因で盛れているのか」で分けて見るのが大事だと思っています。大成建設や鹿島建設の増益は、現場での価格転嫁と原価管理を積み上げた“本業の実力”です。一方、清水建設の純利益が5社で一番伸びた(+91.8%)のには、保有していた株式を売った特別利益が大きく効いています。株の売却益は来年また出るとは限らない一過性の利益なので、「純利益が一番伸びた清水が一番強い」と単純には言えないわけです。決算を見るときに営業利益(本業の儲け)を重視すべき、と最初に言ったのはこのためです。
この好決算、現場の給料・ボーナスに回ってくる?
さて、ここからが多くの人が本当に知りたいところだと思います。「会社は過去最高益。で、俺の給料は?」という話です。
結論から言うと、方向としては追い風です。ただし現場の実感には必ずタイムラグがあります。国土交通省と建設業の主要4団体は2026年に「賃上げ6%」で申し合わせを行い、業種別の賃上げ率でも建設業は7.63%と全業種で上位に入りました。大手ゼネコンはベースアップを4年連続で実施しており、月あたり約3.5万円規模の賃上げに動いた会社もあります。決算が良い=賃上げの原資がある、というのは間違いなく効いています。
現場の人間が押さえておくべきポイントを整理すると、こうなります。
- ボーナス(賞与)は業績連動なので、好決算の翌年は比較的反映されやすい
- 基本給のベースアップは会社全体の方針で決まるため、決算の良さがそのまま届くまで半年〜1年ずれる
- 初任給の引き上げ競争が激しく、若手・新卒ほど恩恵を受けやすい構図になっている
- 「会社は儲かってるのに現場はカツカツ」という実感は、この時間差と、人手不足による業務量増が原因
正直なところ、「過去最高益」の見出しと、日々の現場の忙しさや手取りの感覚が噛み合わないのは当然です。決算はあくまで会社全体・1年の結果で、そこから個人の給料に落ちてくるまでには賞与査定・昇給・評価という何段階もの工程があります。とはいえ「業界全体に賃上げ余力がある局面」であることは事実なので、昇給交渉や転職の材料としては、今の決算は強い後押しになります。年収の相場観そのものを確認したい方は、こちらも参考になります。

下請・サブコン・一人親方への波及は?
大手が儲かっても、「どうせ元請だけでしょ」と冷めた見方をしている下請・サブコン・一人親方の方は多いと思います。ここは正直に、良い面と限界の両方を書いておきます。
まず良い面として、価格転嫁は制度として下請まで流すよう国が強く後押ししています。改正建設業法や国交省の指導で、資材費・労務費の上昇分を下請の見積もりにも反映するよう元請に求める流れが強まっており、以前より「下に回ってこない」構造は改善方向にあります。元請・下請・孫請という重層構造そのものを整理して理解したい方は、施工体系図の記事が分かりやすいです。

一方で、限界も現実として存在します。現場目線で見ておくべき点はこのあたりです。
- 価格転嫁は「進んではいるが、末端の一人親方まで完全には届ききっていない」段階
- 大手の好決算は主に「元請が適正価格で受注できるようになった」結果で、下請の単価改善はそこから遅れて波及する
- 労務費(人件費)の転嫁は資材費より交渉が難しく、置いてけぼりになりやすい
- 手持ち工事が増える=仕事量は確保しやすいが、その分の人手不足はむしろ下請にしわ寄せされやすい
僕の感覚だと、「大手の好況が下まで完全に回る」のを待つより、上昇局面の“今”だからこそ単価交渉のカードが切りやすい、と捉えるのが現実的です。元請が過去最高益を出している年は、「資材も人件費も上がっている、御社も過去最高益なら単価を見直してほしい」という交渉の説得力が普段より高いタイミングでもあります。良い決算のニュースは、下請にとっては“交渉材料”として使える情報でもあるわけです。
来期(2026年度)の見通しと会社選び
「今が良いのは分かった。で、来期は?転職するなら今?」という視点で、各社の来期見通しを見ておきます。
2027年3月期(来期)について、各社は「高い利益水準は維持するが、今期ほどの伸びはない」という慎重な見通しを出しています。ポイントはこうです。
- 増収(売上増)を見込む会社は多い(大型案件が本格稼働するため)
- 利益は前年度の反動もあり、増益予想は清水建設が中心で、他社は横ばい〜やや減益見通し
- 共通のリスクとして、中東情勢の緊迫化による資材の供給遅れ・コスト上昇を各社が警戒
- 公共投資(防災・減災、国土強靱化)は堅調で、業界全体の仕事量は当面は確保される見込み
転職・会社選びの視点で言えば、業界全体が「採算重視・賃上げ局面」にあるのは追い風です。ただし決算の数字だけで会社を選ぶのは危ないと思っています。売上規模(鹿島がトップ)と稼ぐ効率(大成がトップ)は別物ですし、純利益の大きさには株売却のような一時的な要因が混ざることもあるからです。
個人的には、会社を選ぶときは「営業利益率が安定して高いか(=本業が強いか)」と「どの分野が伸びているか(建築か、土木か、洋上風力のような新分野か)」の2軸で見るのがおすすめです。決算はその会社が“何で食っているか”を映す鏡なので、就活・転職の面接前に志望先の決算を営業利益ベースでざっと眺めておくと、それだけで話に説得力が出ます。土木系の現場でどんな仕事があるのか全体像を知りたい方は、こちらも合わせてどうぞ。

ゼネコン決算に関する情報まとめ
- ゼネコン決算とは:大手建設会社の1年間の“成績表”。現場の人間は営業利益(本業の儲け)だけ見れば十分
- 2026年最新ランキング:売上トップは鹿島建設(初の3兆円超)、稼ぐ効率トップは大成建設(営業利益率9.0%)
- 8年ぶり過去最高益の理由:売上ではなく「価格転嫁による採算改善」。減収でも増益という会社が続出
- 給料への影響:賃上げ局面で追い風。ただしボーナスは反映されやすく、ベースアップはタイムラグあり
- 下請・一人親方:価格転嫁は下へも波及中だが末端までは道半ば。好決算は単価交渉の材料として使える
- 来期の見通し:高水準は維持だが伸びは鈍化見込み。中東情勢による資材リスクを各社が警戒
以上がゼネコン決算に関する情報のまとめです。
現場目線で言えば、決算は「遠い会社の話」ではなく、自分の給料交渉・単価交渉・転職判断の材料になる身近な情報です。過去最高益という数字を「へえ」で終わらせず、「じゃあ自分はこの局面で何を交渉できるか」まで落とし込めると、決算ニュースの使い道が一気に増えると思います。建設業という仕事そのものの全体像や年収の相場も、合わせて押さえておくと判断の精度が上がるはずです。

