住宅瑕疵担保責任とは?10年の範囲、契約不適合責任との違いなど

  • 住宅瑕疵担保責任って、結局どこまでの責任?10年って何が10年なの?
  • 対象になる部分ってどこまで?
  • 瑕疵担保責任と契約不適合責任って何が違う?
  • いつまでに言えば直してもらえる?
  • 保険か供託って、どっちを選ぶんだ
  • 基準日の届出を忘れたらどうなる?
  • 会社が潰れたら誰が直してくれるの?
  • 中古住宅やリフォームは対象外?揉めたときはどこに持ち込む?

上記の様な悩みを解決します。

住宅瑕疵担保責任は、新築住宅を建てる側にとっては10年間ついてくる義務であり、買う側にとっては最後の砦になる制度です。ただ「新築は10年保証」という言い方が広まりすぎていて、実際の条文がどう組み立てられているかを説明した記事は意外に少ないです。10年が効くのは政令で列挙された部位だけですし、2020年の民法改正で言葉そのものも変わりました。

さらに事業者側には、保険加入か供託かを選ぶ義務と、基準日ごとの届出義務があり、こちらを怠ると新しい契約が結べなくなるという罰則まで用意されています。今回は品確法・民法・住宅瑕疵担保履行法の3つを条文ベースで整理し、対象部位、通知の期限、供託額、届出のスケジュール、保険金の計算方法まで通しで押さえます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

住宅瑕疵担保責任とは?

住宅瑕疵担保責任とは、結論「新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間、請負人または売主が負う法律上の責任」のことです。

根拠は住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法/平成11年法律第81号)の第94条と第95条です。第94条が住宅新築工事の請負人の責任、第95条が新築住宅の売主の責任を定めています。どちらも「引き渡した時から10年間」と書かれていて、この10年は当事者の合意で短くすることができません。第94条2項と第95条2項に「これに反する特約で注文者(買主)に不利なものは、無効とする」と明記されています。

逆に長くする方向は認められていて、第97条で「引き渡した時から20年以内」まで伸長できます。ハウスメーカーの「20年保証」「30年保証」といった商品は、この第97条を使った伸長分と、法律とは無関係な自社アフターサービスの組み合わせです。この2つは根拠がまったく違うので、施主に説明するときは分けて話す必要があります。

「新築住宅」の定義は意外と狭い

品確法の10年が効くのは「新築住宅」に限られます。定義は第2条第2項にあり、次の3つを同時に満たすものだけが新築住宅です。

  • 新たに建設された住宅であること
  • まだ人の居住の用に供したことがないこと
  • 建設工事の完了の日から起算して1年を経過していないこと

3つ目が落とし穴です。完成後に売れ残って1年を過ぎた未入居物件は、法律上は新築住宅ではなくなります。この場合、品確法の10年も履行法の資力確保義務も外れて、民法の契約不適合責任だけが残ります。「未入居だから新築同様」という営業トークが法的にはまったく別物になる、というのはこの条文が理由です。

なお品確法第2条第5項は瑕疵を「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態」と定義しています。2020年の民法改正に合わせて定義自体が契約適合性ベースに書き換えられているので、「隠れた欠陥」という古い理解は今の条文とずれています。

また、一時使用のため建設されたことが明らかな住宅には第94条・第95条が適用されません(第96条)。仮設の宿舎などが該当します。

建築関係の法令全体の見取り図はこちらで整理しています。

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瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

「瑕疵担保責任と契約不適合責任って何が違う?」という疑問は非常に多いです。結論「2020年4月1日施行の改正民法で名前と考え方が変わったもので、責任の中身が広がった」というのが答えです。

項目 旧民法(2020年3月31日までの契約) 改正民法(2020年4月1日以降の契約)
呼び方 瑕疵担保責任 契約不適合責任
主な条文 570条(隠れた瑕疵)、566条 562条〜564条、566条
要件 「隠れた」瑕疵であること(買主の善意無過失が必要) 「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」こと。隠れた要件は撤廃
買主・注文者の手段 損害賠償、契約解除(目的を達成できない場合のみ) 追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除の4つ
期限 事実を知った時から1年以内に請求 不適合を知った時から1年以内に通知

大きな変化は2つです。ひとつは「隠れた」という要件が消えたこと。旧法では買主が知り得た欠陥は請求しにくかったのですが、今は契約内容に合っているかどうかで判断します。もうひとつは請求できる手段が増えたことです。

買主・注文者ができる4つの請求

  • 追完請求(民法562条):修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを求める
  • 代金減額請求(563条):追完がされない場合などに、不適合の程度に応じて代金を減額させる。請負では報酬の減額(637条)
  • 損害賠償請求(415条):契約不適合によって生じた損害の賠償を求める
  • 契約解除(541条・542条):契約そのものを解除する

このうち代金減額請求は旧法の売買にはなかった手段です。実務では「直してくれないなら値引き」という主張が成り立つようになったのが一番大きい変化だと思っています。

通知は「売買が566条、請負が637条」で書き分ける

期限の話でよく混乱するのが、売買と請負で条文が違う点です。売買は民法566条で「買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないとき」は各請求ができなくなります。請負は637条で、注文者が不適合を知った時から1年以内の通知が必要です。

注意したいのは、これが「請求」ではなく「通知」でよくなったこと。旧法では1年以内に請求まで済ませる必要がありましたが、今は不適合の内容を伝えておけば足ります。逆に言えば、雨漏りを見つけて「様子を見よう」と1年放置すると、それだけで権利を失いかねません。

そして品確法第94条3項・第95条3項は、この民法637条・566条を「瑕疵」と読み替えて使う規定です。つまり構造耐力上主要な部分等については、10年間のあいだに瑕疵を知って、知った時から1年以内に通知する、という二段構えになります。10年という期間だけを覚えて通知期限を忘れると、期間内なのに権利を失うことがあります。

なお請負については、旧法にあった「引渡しから5年(石造等は10年)」という期間制限の条文(旧638条〜640条)が削除されています。古い教科書のままだと誤ります。

住宅瑕疵担保責任の10年が及ぶ範囲

「対象になる部分ってどこまで?」が一番のつまずきポイントです。結論「構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分。この2つに限られ、部位は政令で列挙されている」です。

根拠は住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令第5条です。多くの解説が「基礎、柱、壁など」で止めていますが、実際の条文はここまで細かく書かれています。

区分 政令が列挙する部位
構造耐力上主要な部分(施行令5条1項) 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版、横架材(はり、けたその他これらに類するもの)。ただし住宅の自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧・地震その他の震動もしくは衝撃を支えるものに限る
雨水の浸入を防止する部分(施行令5条2項) 屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸・わくその他の建具、雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

斜材に方づえと火打材まで入っているところ、横架材にけたが含まれているところは、実務で瑕疵の該当性を判断するときに効きます。逆に、排水管は「屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分」に限定されているので、屋外に露出した竪樋は対象外という読み方になります。

構造の各部位の役割はこちらが参考になります。

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10年の対象から外れやすい不具合

  • 屋外に露出した排水管や外構、造成した土地そのものの不具合
  • クロスの剥がれ、建具の調整、設備機器の故障といった仕上げ・設備の不具合
  • 対象部位の瑕疵であっても、構造耐力または雨水の浸入に影響のないもの(第94条・第95条の括弧書きで除外)
  • 増改築や補修工事を行った部分の瑕疵

3つ目は条文にはっきり書かれています。たとえば基礎に髪の毛程度のひび割れがあっても、構造耐力に影響しなければ品確法の10年の対象にはなりません。ここが施主と揉めやすいところで、「基礎だから10年」ではなく「基礎の、構造耐力に影響する瑕疵だから10年」という言い方をしないと説明が破綻します。

なお仕上げや設備は品確法の対象外ですが、契約や自社アフターサービスでカバーされるのが一般的です。法律の10年と契約上の保証を混ぜて説明しないことが大事です。

雨水の浸入という論点は防水の工法選定と直結するので、あわせて押さえておくといいです。

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住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置は保険か供託

10年の責任があっても、事業者が倒産すれば絵に描いた餅になります。「会社が潰れたら誰が直してくれるの?」という不安に応えるのが住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律/平成19年法律第66号)です。結論「保険加入か保証金の供託のどちらかが義務」です。

構造計算書偽装問題を契機に平成19年に成立し、平成21年(2009年)10月1日以降に引き渡される新築住宅から資力確保措置が義務になりました。対象は建設業法の許可を受けた建設業者と、宅地建物取引業法の免許を受けた宅地建物取引業者です。引渡先が宅建業者である場合は対象外になります。

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供託額は引渡戸数で決まる

供託を選ぶ場合の金額は、基準日前10年間に引き渡した新築住宅の合計戸数に応じて別表で決まります。代表的なところを抜くとこうなります。

基準日前10年間の供給戸数 供託の基準額
1戸以下 2,000万円以下
10戸超50戸以下 3,800万円超7,000万円以下
100戸超500戸以下 1億円超1億4,000万円以下
1,000戸超5,000戸以下 1億8,000万円超3億4,000万円以下
30万戸超 45億9,000万円超120億円以下

床面積の合計が55㎡以下の住宅は、2戸をもって1戸として数えます(履行法第3条3項および政令)。小規模な戸建てや狭小住宅を多く供給している事業者にとっては効いてくるルールです。

供託と保険のどちらを選ぶか

  • 年間の供給戸数が多く、キャッシュを寝かせられる規模なら供託。戸数あたりのコストは下がる
  • 供給戸数が少ない、または資金を動かしたくないなら保険。1棟ごとに保険料を払う形になる
  • 保険は現場検査が入るので、第三者チェックが品質管理の実効性を持つという副次効果がある

僕の感覚だと、中小の工務店はほぼ保険を選びます。供託は数千万円を法務局に預けたままにする話なので、資金効率で勝負にならないケースが多いです。逆に大手分譲は供託と保険を併用して、物件の性格で振り分けている例もあります。

保険を引き受けるのは国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人です。事業者からの引受けを行っているのは、株式会社住宅あんしん保証、住宅保証機構株式会社、株式会社日本住宅保証検査機構、株式会社ハウスジーメン、ハウスプラス住宅保証株式会社の5法人です。

住宅瑕疵担保責任の基準日の届出と罰則

事業者側で一番事故が起きやすいのが届出です。結論「基準日ごとに供託・保険の状況を届け出ないと、新しい請負契約や売買契約を結べなくなる」という制度になっています。ここに触れている解説記事はほとんど見当たりませんが、実務では最も痛い論点です。

基準日は条文上「3月31日」です。以前は3月31日と9月30日の年2回でしたが、令和3年(2021年)の住宅瑕疵担保履行法の改正により年1回に変更されました。古い資料を見て9月末の届出を待っていると、そもそも制度が変わっているという状態になります。

届出のスケジュールと効果は次の通りです。

  • 基準日は3月31日(年1回)。届出期間は4月1日から4月21日まで(行政機関の休日に当たる場合は翌開庁日まで)
  • 届出先は建設業の許可行政庁または宅建業の免許行政庁
  • 届出は引渡しの年だけでなく、引渡し後10年間、毎年の基準日ごとに必要
  • 基準日前10年間に引渡実績があるなら、その年の引渡しが0件でも「0件である旨」の届出が必要
  • 供託と届出をしないと、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後は新たな契約を締結できない(履行法第5条・第13条)

3つ目と4つ目が事故の温床です。「今年は新築を1棟も引き渡していないから届出は不要」という判断は誤りで、過去10年に引渡しがあれば0件の届出が必要になります。

罰則は2段構えです。届出をしなかった、または虚偽の届出をした場合は50万円以下の罰金(履行法第42条)。そして供託・届出をせずに新たな契約を締結した場合は1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科と定められています(同法第40条)。「届出は事務作業」と軽く見られがちですが、違反すれば営業そのものが止まり、刑事罰まで用意されている義務です。

供託を選んでいる場合、瑕疵によって損害を受けた発注者や買主は、供託された保証金について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を持ちます(還付請求)。倒産時に一般債権者と横並びにならない、という点が供託制度の核心です。

正直なところ、この届出の存在を知らずに新築を請けている小規模事業者は一定数いる印象です。年1回に減ったぶん忘れやすくなったので、4月の定例業務としてカレンダーに固定してしまうのが確実です。

住宅瑕疵担保責任保険の保険金はどう支払われるか

保険に入っていた場合、実際にいくら出るのかを押さえておきます。結論「補修費用から免責金額を引いた額に支払割合を掛けた金額で、事業者が倒産していれば全額が住宅取得者に支払われる」仕組みです。

代表的な商品の条件を例に取ると、支払額の計算はこうなります。

項目 内容
支払額の計算 (補修費用等 − 10万円)× 80%
支払限度額 1住宅あたり2,000万円
事業者が倒産等の場合 支払割合は100%。免責金額10万円分は住宅取得者の自己負担
保険期間 一戸建ては引渡日から10年間
そのほか支払われる費用 調査費用、仮住居・移転費用(1住宅あたり50万円など)

通常時は免責10万円と支払割合80%の差分を事業者が負担し、事業者が補修を行います。事業者が倒産などで補修できない場合は、発注者・買主が保険法人へ直接請求でき、支払割合が100%になります。この「直接請求」が履行法の存在意義そのものです。

保険金が出ない代表的なケース

  • 洪水、台風、地震、噴火、津波などの自然災害による損害
  • 火災、落雷、爆発による損害
  • 土地の沈下・隆起・土砂崩れ、土地造成工事の瑕疵による損害
  • 増改築や補修工事を行った部分の瑕疵

地震が免責というのは重要です。地震で建物が損傷した場合、原因が施工の瑕疵なのか地震そのものなのかで争いになります。ここは地震保険の領域なので、施主には「瑕疵保険と地震保険は別物」と最初に伝えておくのが親切です。

なお保険は履行法第19条1号に基づく1号保険(資力確保義務の対象になる新築住宅)と、同2号に基づく2号保険(義務対象外の任意加入)に分かれます。建設業許可が不要な規模の新築請負、宅建業者でない個人が売主になる場合、未入居のまま1年を過ぎた住宅の売買などは2号保険の領域です。

中古住宅・リフォームの場合と紛争処理の使い方

「中古住宅やリフォームは対象外?」という問いには、結論「品確法の10年は新築住宅だけ。中古とリフォームは民法と特約、そして任意加入の保険で組み立てる」というのが答えです。

中古住宅の売買は民法の契約不適合責任が原則で、期間は特約で決められます。実務の相場感はこうです。

売主 期間の実務
個人(個人間売買) 2〜3か月が一般的。免責特約も有効
宅地建物取引業者 宅建業法第40条により、引渡しの日から2年以上でなければならない。これより買主に不利な特約は無効

宅建業法第40条は、民法566条の「知った時から1年以内の通知」を「引渡しの日から2年以上」に置き換える特約だけを許容し、それより買主に不利な特約を無効とする規定です。売主が業者か個人かで期間が1桁変わるので、中古を買うときはここを最初に確認することになります。

リフォーム工事には品確法の10年の適用がありません。特約がなければ民法637条の請負人の担保責任、つまり注文者が不適合を知った時から1年以内の通知で処理されます。

任意加入の保険は5類型ある

  • リフォーム瑕疵保険(リフォーム工事が対象。検査と保証がセット)
  • 大規模修繕工事瑕疵保険(マンションの大規模修繕が対象)
  • 既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅が対象。宅建業者販売タイプと個人間売買タイプ)
  • 延長保証保険(新築引渡しから10年の期間が経過した後。現況検査とメンテナンス工事が前提)
  • 新築2号保険(資力確保義務の対象外となる新築の請負・売買)

いずれも履行法第19条2号に基づく保険で、資力確保措置としての義務はなく任意加入です。

揉めたときは住宅紛争審査会

「揉めたときはどこに持ち込めばいい?」への答えは、指定住宅紛争処理機関です。運営は公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)が国土交通大臣の指定を受けて担っています。実際のあっせん・調停・仲裁は、全国52の弁護士会に設置された住宅紛争審査会が行います。

使えるのは、建設住宅性能評価書が交付された評価住宅と、瑕疵保険が付いている住宅です。2号保険が付いた住宅は2022年10月1日から対象になりました。扱う紛争は保険対象部位に限られず、工事代金や工期の争いも含めた請負契約・売買契約に関する紛争全般です。請負人・売主の側から申し込むこともできます。

現場目線で言えば、保険に入っている物件は「揉めたときの出口が用意されている物件」でもあります。保険料を単なるコストと見るか、紛争処理の入場券と見るかで、社内の説明の仕方も変わってくるはずです。

住宅瑕疵担保責任に関する情報まとめ

  • 定義:新築住宅の構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間、請負人または売主が負う法律上の責任
  • 根拠:品確法第94条(請負人)・第95条(売主)。買主・注文者に不利な特約は無効(各2項)。第97条で20年まで伸長可
  • 新築住宅の定義:新たに建設され、未入居で、建設工事完了の日から1年を経過していないもの(第2条第2項)。1年超の未入居物件は新築住宅ではない
  • 民法改正:2020年4月1日施行で瑕疵担保責任から契約不適合責任へ。「隠れた」要件が撤廃され、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除の4つが使える
  • 通知期限:売買は民法566条、請負は637条。いずれも不適合を知った時から1年以内の通知。品確法94条3項・95条3項で読み替えて適用
  • 対象部位:施行令第5条で列挙。基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい・方づえ・火打材)、床版、屋根版、横架材(はり・けた)/屋根、外壁、その開口部の建具、屋根・外壁の内部または屋内にある排水管
  • 対象外:屋外露出の排水管や外構、仕上げ・設備の不具合、構造耐力または雨水の浸入に影響しない瑕疵、増改築・補修部分の瑕疵
  • 履行法:平成21年10月1日以降に引き渡す新築住宅で資力確保措置が義務。建設業許可業者と宅建業者が対象(引渡先が宅建業者の場合を除く)
  • 資力確保は2択:保証金の供託か、住宅瑕疵担保責任保険への加入。供託額は供給戸数別の別表で決まり、55㎡以下は2戸で1戸として数える
  • 保険法人:事業者から引受けを行うのは住宅あんしん保証、住宅保証機構、日本住宅保証検査機構、ハウスジーメン、ハウスプラス住宅保証の5法人
  • 届出:基準日は3月31日の年1回(2021年改正で年2回から変更)。届出期間は4月1日〜4月21日。引渡し後10年間続き、引渡実績0件の年も届出が必要
  • 罰則:届出をせず・虚偽の届出は50万円以下の罰金(第42条)。供託・届出をせずに新たな契約を締結すると1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金または併科(第40条)
  • 保険金:(補修費用等−10万円)×80%、限度額は1住宅2,000万円。事業者倒産時は支払割合100%で住宅取得者へ直接支払
  • 免責:自然災害、火災・落雷・爆発、土地の沈下や造成工事の瑕疵、増改築・補修部分の瑕疵
  • 中古・リフォーム:品確法の10年は適用外。個人売主は2〜3か月、宅建業者売主は宅建業法40条で引渡しから2年以上
  • 任意保険:リフォーム瑕疵保険、大規模修繕工事瑕疵保険、既存住宅売買瑕疵保険、延長保証保険、新築2号保険の5類型
  • 紛争処理:評価住宅と保険付き住宅は住宅紛争審査会のあっせん・調停・仲裁が使える。2号保険付き住宅は2022年10月1日から対象

以上が住宅瑕疵担保責任に関する情報のまとめです。

「新築は10年保証」という一言は便利ですが、実務ではその中身を条文で言えるかどうかで説明の説得力が変わります。10年が効くのは政令で列挙された部位だけ、期間内でも知ってから1年以内の通知が必要、事業者側には保険か供託と年1回の届出義務がある。この3点を押さえておけば、施主への説明でも社内の管理でも迷わなくなるはずです。

住宅瑕疵担保責任に関するよくある質問

Q1:住宅瑕疵担保責任の10年は、住宅のどこまでが対象ですか?

構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の2つだけです。施行令第5条で部位が列挙されています。前者は基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい・方づえ・火打材)、床版、屋根版、横架材(はり・けた)です。後者は屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸やわくなどの建具、そして雨水を排除する排水管のうち屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分です。クロスの剥がれや設備機器の故障、屋外に露出した竪樋などは対象外で、契約や自社アフターサービスの範囲になります。

Q2:瑕疵担保責任と契約不適合責任は、どちらが有利ですか?

買主・注文者にとっては契約不適合責任の方が有利です。2020年4月1日施行の改正民法で「隠れた」瑕疵という要件が撤廃され、契約内容に適合しているかどうかで判断されるようになりました。また請求できる手段が追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除の4つに整理され、旧法にはなかった代金減額請求が使えるようになりました。ただし期限は「不適合を知った時から1年以内の通知」なので、気づいたら早めに書面で伝えることが前提になります。

Q3:10年以内なら、いつ言っても直してもらえますか?

いいえ。10年という期間の中で「瑕疵を知った時から1年以内に通知する」という別の期限がかかります。品確法第94条3項・第95条3項が民法637条・566条を読み替えて適用する形になっているためです。たとえば引渡し3年目に雨漏りを見つけて、直すかどうか迷って1年以上放置すると、10年の期間内であっても請求権を失うおそれがあります。まず通知だけでも早く出しておくのが安全です。

Q4:完成から1年以上売れ残った未入居の家は「新築」として10年保証されますか?

されません。品確法第2条第2項の新築住宅は「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く)」と定義されています。そのため、完成から1年を超えた未入居物件は法律上の新築住宅ではなくなります。品確法の10年と住宅瑕疵担保履行法の資力確保義務が外れ、民法の契約不適合責任と特約だけが残ります。このケースは任意加入の新築2号保険でカバーする形になります。

Q5:資力確保措置は保険と供託のどちらを選ぶべきですか?

供給戸数と資金の余裕で決まります。供託は基準日前10年間の供給戸数に応じた金額を法務局に預ける方式です。1戸以下で2,000万円以下、100戸超500戸以下で1億円超1億4,000万円以下という水準なので、資金を寝かせられる規模でないと現実的ではありません。年間数棟から数十棟の事業者はほぼ保険を選びます。保険は1棟ごとに保険料がかかりますが、現場検査が入るぶん第三者チェックが働くという副次的な効果もあります。

Q6:基準日の届出を忘れるとどうなりますか?

まず届出をしなかったこと自体に50万円以下の罰金が定められています(履行法第42条)。そのうえで、供託・届出をしないままだと基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後は新たな契約の締結が禁止されます(同法第5条・第13条)。違反すれば1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科です(同法第40条)。基準日は2021年の改正で年2回から3月31日の年1回に変わり、届出期間は4月1日から4月21日までです。過去10年に引渡実績があれば、その年の引渡しが0件でも届出が必要です。

Q7:施工会社が倒産したら、保険金は誰にいくら支払われますか?

住宅取得者が保険法人へ直接請求できます。通常は(補修費用等−10万円)×80%という計算で、差分は事業者負担ですが、事業者が倒産等で補修できない場合は支払割合が100%になり、住宅取得者へ直接支払われます。免責金額の10万円分は住宅取得者の自己負担です。支払限度額は1住宅あたり2,000万円で、補修費用に加えて調査費用や仮住居・移転費用も対象になります。供託を選んでいた事業者の場合は、供託所に対して他の債権者より優先して還付請求ができます。

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