- ハイベストウッドって結局MDF?家具のMDFと何が違うの?
- 図面に4.0倍と4.3倍が混ざってる。どっちが本当?
- 4.0倍の釘ってN50でいいんだよね?
- 釘ピッチは外周と中間で何mm?告示と認定で違うの?
- 準耐力壁に使えるって聞いたけど、条件はある?
- 目地は突き付けでいい?階をまたぐ継ぎ目は?
- モルタル直塗りの下地に使っていいの?
- ダイライト・モイスと比べて、防火やシロアリは大丈夫?
上記の様な悩みを解決します。
大壁に直張りする場合、ハイベストウッドの壁倍率は大臣認定なら4.0倍(釘はCN65)、告示仕様なら4.3倍(釘はN50)で、同じ面材でも釘の種類とピッチが変わります。工務店ブログの比較記事では省かれがちなこの違いと、目地・通気工法・透湿防水シートといった施工要領を、大工さんにそのまま指示できる粒度で整理しました。図面に「HBW 4.0」と「HBW 告示」が混在していても、読み終えたら指示書に書き写せる状態を目指します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
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ハイベストウッドとは?
ハイベストウッドとは、結論「株式会社ノダが製造している、構造用として作られた高耐水・高耐久のMDF」のことです。正式には構造用ハイベストウッド(HBW)と呼ばれ、木造住宅の外壁下地に張って耐力壁にする面材として使われます。
「MDFって家具の板じゃないの?」と引っかかる方も多いと思います。ノダの資料でも、HBWは一般的な家具用・木工用のMDFとは異なる、構造用として作られた高耐水・高耐久のMDFだと説明されています。つくり方は、木材チップを繊維状にして接着剤を加え、熱圧成型するというもので、製品としてはJIS A5905(繊維板)に規定される工業製品という位置づけです。
現場で役立つのが、製品にJISマークとホルムアルデヒド放散等級(F☆☆☆☆等級)が印刷されている点です。搬入時や検査のときに、面材そのものを見て規格品かどうかを確認できます。型番の末尾にも「F4」が付いているので、納品書と現物の照合もしやすいです。
面材を張った壁が建物の中でどんな役割を持つのか、前提になる考え方は耐力壁の基本で整理しています。
僕の整理では、ハイベストウッドは「木質繊維でできた構造用の面材で、告示にも大臣認定にも載っている材料」と押さえておくと、このあと出てくる壁倍率の話がすっと入ってきます。
ハイベストウッドの種類・寸法・重さ
「重さは何kg?3m物はある?」「長期優良住宅だとどれを選ぶの?」という疑問には、製品表を見るのが一番早いです。ハイベストウッドはM・P・PATの3タイプがあり、全品とも厚さ9mm、幅は908mmと998mmの2種類です。
| タイプ | 位置づけ | 型番 | 寸法(幅×長さ×厚さ) | 重量 |
|---|---|---|---|---|
| Mタイプ | 一般住宅対応品 | MSP-399 F4 | 908×2,730×9mm | 17.1kg |
| Mタイプ | 一般住宅対応品 | MSP-3109 F4 | 908×3,030×9mm | 19.1kg |
| Mタイプ | 一般住宅対応品 | MSP-1M99 F4 | 998×2,730×9mm | 18.9kg |
| Mタイプ | 一般住宅対応品 | MSP-1M109 F4 | 998×3,030×9mm | 21.0kg |
| Pタイプ | 長期優良住宅対応品(現場で薬剤処理などが必要) | PSP-3109 F4 | 908×3,030×9mm | 19.3kg |
| Pタイプ | 長期優良住宅対応品(現場で薬剤処理などが必要) | PSP-1M109 F4 | 998×3,030×9mm | 21.2kg |
| PATタイプ | 防腐防蟻認定品(工場で防腐防蟻処理) | PAT-3109 F4 | 908×3,030×9mm | 19.3kg |
| PATタイプ | 防腐防蟻認定品(工場で防腐防蟻処理) | PAT-1M109 F4 | 998×3,030×9mm | 21.2kg |
出典:ノダ 構造用ハイベストウッド製品ページ(2026年10月確認)
表から読み取れる、発注と段取りで効くポイントは次のとおりです。
- 型番に「1M」が付くものが幅998mm、付かないものが幅908mm
- 長さ2,730mmがあるのはMタイプだけで、P・PATは3,030mmの2品番
- 同じ幅なら3,030mm物は2,730mm物より約2kg重い(Mタイプ908幅で17.1kg→19.1kg)
- Pタイプは長期優良住宅対応品だが、現場での薬剤処理などが必要
- PATタイプはJIS Pタイプを使い、工場で防腐防蟻処理を済ませた認定品
旧来「910×2730」と書かれた資料を見かけることがありますが、公式の製品表では幅は908mmです。数量を拾うときや割付を描くときは、型番と寸法を製品表で確かめてから発注するのが確実です。
個人的には、PとPATの違いは「薬剤処理を現場でやるか、工場で済んでいるか」の一点で覚えておけば十分だと思います。現場で処理する手間と、その処理を誰がいつやるかまで段取りに入れられるかで選ぶと迷いにくいです。
ハイベストウッドの壁倍率と釘の仕様(大臣認定と告示の2系統)
「図面によって4.0倍だったり4.3倍だったりする。どっちが本当なの?」。ハイベストウッドで一番多い迷いはここです。結論、どちらも本当で、ハイベストウッドの壁倍率には「ノダが取得している大臣認定の仕様」と「告示に構造用MDFとして載っている仕様」の2系統があり、系統ごとに釘の種類とピッチが決まっています。
ノダの資料では、HBWは木造軸組工法で2.5倍・4.0倍、枠組壁工法で3.0倍の大臣認定を持つ構造用面材と説明されています。一方で、告示(軸組=昭和56年建設省告示第1100号、枠組=平成13年国土交通省告示第1541号)に構造用MDFが追加されたことで、告示仕様でも高い壁倍率が取れるようになりました。使う釘はJIS A5508に規定されたN50・CN50・CN65で、どれをどのピッチで打つかは系統と倍率で変わります。
大臣認定仕様の壁倍率と釘
まずノダの大臣認定仕様です。認定番号は資料の中で表記にゆれがあるため、ここでは倍率・釘・木口からの距離・ピッチだけを並べます。
| 工法 | 張り方 | 壁倍率 | 釘 | 木口からの距離 | 釘ピッチ |
|---|---|---|---|---|---|
| 木造軸組工法 | 直張り(大壁) | 4.0倍 | CN65 | 12mm以上 | 外周部100mm以下/中間部200mm以下 |
| 木造軸組工法 | 直張り(大壁)・受材・受材真壁床勝ち | 2.5倍 | N50またはCN50 | 10mm以上 | 外周部100mm以下/中間部200mm以下 |
| 枠組壁工法 | ― | 3.0倍 | CN50 | 10mm以上 | 外周部100mm以下/中間部200mm以下 |
出典:ノダ 構造用ハイベストウッド製品ページ(2026年10月確認)
認定仕様で押さえたいのは、4.0倍の釘がCN65だという点です。2.5倍はN50でも打てるので「ハイベストウッドの釘はN50」と覚えてしまいがちですが、N50で打った大壁は認定の4.0倍の仕様を満たしません。木口からの距離も4.0倍だけが12mm以上で、2.5倍と枠組壁工法の10mm以上より大きく取る必要があります。また、認定仕様の2.5倍は外周100mm以下・中間200mm以下で、ピッチだけ見れば4.0倍と同じです。表の上で4.0倍と2.5倍の違いとして出てくるのは、釘の種類と木口からの距離です。
告示仕様の壁倍率と釘
次に告示仕様です。こちらは釘がN50・NZ50(枠組壁工法はCN50・CNZ50)で、倍率ごとにピッチが細かく決まっています。
| 工法 | 張り方 | 壁倍率 | 釘 | 釘ピッチ |
|---|---|---|---|---|
| 木造軸組工法 | 直張り(大壁・床勝ち大壁) | 4.3倍 | N50・NZ50 | 外周部75mm以下/中間部150mm以下 |
| 木造軸組工法 | 直張り(大壁・床勝ち大壁) | 2.5倍 | N50・NZ50 | 外周部150mm以下/中間部150mm以下 |
| 木造軸組工法 | 受材(真壁・床勝ち真壁) | 4.0倍 | N50・NZ50 | 外周部75mm以下/中間部150mm以下 |
| 木造軸組工法 | 受材(真壁・床勝ち真壁) | 2.5倍 | N50・NZ50 | 外周部150mm以下/中間部150mm以下 |
| 枠組壁工法 | ― | 4.8倍 | CN50・CNZ50 | 外周部50mm以下/中間部200mm以下 |
| 枠組壁工法 | ― | 3.0倍 | CN50・CNZ50 | 外周部100mm以下/中間部200mm以下 |
出典:ノダ 構造用ハイベストウッド製品ページ、昭和56年建設省告示第1100号(軸組)・平成13年国土交通省告示第1541号(枠組)(2026年10月確認)
告示仕様の4.3倍は、釘がN50(またはNZ50)で、外周75mm以下・中間150mm以下と、認定の4.0倍(外周100mm以下・中間200mm以下)よりピッチが細かくなります。「釘はN50、ピッチは75/150」が告示4.3倍、「釘はCN65、ピッチは100/200」が認定4.0倍、と対にして覚えると取り違えにくいです。告示の2.5倍は外周も中間も150mm以下で、認定の2.5倍(外周100/中間200)と比べると外周は粗く、中間は細かくなっている点も見落としやすいところです。
もうひとつ紛らわしいのが、「4.0倍」という数字が2か所に出てくることです。認定仕様の大壁4.0倍(CN65・外周100/中間200)と、告示仕様の受材真壁4.0倍(N50・NZ50・外周75/中間150)は、倍率は同じでも釘もピッチも張り方も違います。図面に「4.0」とだけ書かれていたら、大壁なのか受材真壁なのかまで確かめないと、打つ釘が決まりません。枠組壁工法の告示4.8倍は外周50mm以下とさらに細かいので、2×4の現場ではこれも別物として扱ってください。
釘の種類が混ざらないようにする
「大工さんがN50とCN50を一緒に持ってきたらどうする?」という不安もよく聞きます。ここまで見てきたとおり、同じハイベストウッドでも、認定の大壁4.0倍はCN65、告示の4.3倍はN50・NZ50、認定の2.5倍はN50またはCN50と、壁ごとに使ってよい釘が違います。釘の種類が混ざった状態で張り始めると、どの壁にどの釘が入ったかを後から追えなくなります。
対策はシンプルで、張り始める前に搬入された釘の箱の表示を確認し、壁の系統ごとに使う釘を分けて渡しておくことです。同じ系統・同じ倍率の壁だけなら釘を1種類にそろえられるので、設計段階で倍率と系統をそろえられないか相談しておくのも有効です。
準耐力壁として数えられるのは告示仕様の大壁2.5倍だけ
「準耐力壁にも使えるって聞いたけど、条件は?」という疑問にも、系統の違いがそのまま効きます。ノダの資料では、告示第1100号の構造用MDF(大壁壁倍率2.5倍)が準耐力壁として使用できる材料に追加されたこと、準耐力壁とする場合は告示仕様の設計・施工とすること、そして大臣認定仕様は準耐力壁とはならないことが明記されています。
つまり、認定仕様で張った壁を準耐力壁として壁量に数えることはできません。設計が準耐力壁を見込んでいるなら、その壁は告示仕様の大壁2.5倍(N50・NZ50、外周150mm以下/中間150mm以下)で張る必要があります。準耐力壁を数えているかどうかは図面の倍率表示だけでは読み取りにくいので、着工前に設計者へ一言確認しておくのが安全です。
図面・プレカット図で「どちらの仕様か」を確かめる手順
大工さんに指示を出す前に、次の順で確認しておくと取り違えを防げます。
- 構造図・壁量計算書の凡例で、面材耐力壁の倍率が「認定」か「告示」かを確認する(数字だけで判断しない)
- 4.0倍の壁は大壁か受材真壁かを確認する(認定の大壁ならCN65、告示の受材真壁ならN50・NZ50)
- プレカットの耐力壁図と構造図で、壁ごとの倍率と仕様が一致しているかを突き合わせる
- 準耐力壁を壁量に入れているかを設計者に確認し、入れているならその壁は告示仕様の大壁2.5倍で張る
- 確定した釘の種類・外周と中間のピッチ・木口からの距離を、壁ごとに指示書へ書き写す
この倍率が建物全体の壁量にどう効いてくるかは、壁量計算の手順にまとめています。筋かいと面材をどう組み合わせて壁量を確保するかを考えるなら、筋かいの種類と納まりもあわせて読むと判断しやすいです。
455mm幅の耐力壁という選択肢
狭い壁でも耐力を見込みたいときの選択肢として、ノダは455mm幅の耐力壁で構造評定を取得しています。資料では、面材高さ3,030mmで許容せん断耐力5.84kN/m(壁倍率2.9倍相当)、面材高さ2,400mmで7.01kN/m(壁倍率3.5倍相当)とされています。ただし、これは許容応力度設計法による構造計算に適用する数値として示されているので、採用するかどうかは構造設計者の判断になります。現場側は「455幅の壁に面材が入っている理由」を知っておき、図面どおりの高さと仕様で張られているかを確認できれば十分です。
僕の考えでは、ハイベストウッドの壁倍率は「何倍か」より「どの系統の何倍か」で覚えるのが正解です。系統が決まれば釘とピッチは自動的に決まるので、図面を受け取った時点で系統を確定させておけば、現場で迷う場面はほとんど無くなるはずです。
ハイベストウッドの施工要領と検査で見られるポイント
「目地は突き付けでいい?」「張ったあと雨に降られたら?」「モルタルの下地にしていい?」。施工の段階で出てくる疑問は、ほとんどがノダの施工要領に答えがあります。結論、守るべきは「釘の打ち方」「目地」「通気工法と透湿防水シート」「保管」の4つで、どれも張り始めてから気づくと手戻りが大きい項目です。
釘打ち機はエア圧とめり込みを調整する
まず釘の打ち方です。ノダは、釘打ち機で施工する場合は釘頭がめり込み過ぎないように、エア圧力の調整とめり込み調整をするよう求めています。めり込みの許容値は公式資料に数値で示されていないので、現場では「調整した状態で試し打ちをして、釘頭の入り方をそろえてから本打ちに入る」ことを指示の中心に置くのが現実的です。
釘の種類とピッチは、前の章で確定させた系統どおりに打ちます。認定の4.0倍と告示の4.3倍が同じ現場に混在している場合は、壁ごとに使う釘が変わるので、張る順番や持ち場を壁単位で分けて伝えると混乱が起きにくくなります。
目地は継ぎ手2〜3mm、階高の継ぎ手6mm
次に目地です。面材の継ぎ手の目地は2〜3mm程度、面材の階高の継ぎ手の目地は6mm程度の隙間を設けるよう指定されています。「継ぎ手は突き付けにしないで2〜3mm」「階高の継ぎ手は6mm程度」という2つの数字は、口頭でも伝わりやすい内容です。割付図を描く段階で、階高の継ぎ手がどの高さに来るかを決めておくと、現場での判断が要らなくなります。
通気工法の下地とし、張ったら直ちに透湿防水シート
外装との関係も施工要領で決まっています。構造用ハイベストウッドは通気工法の下地として使うことが前提で、非通気工法のモルタル下地としては使用できません。さらに、張り終えたら外装仕上げ材の種類にかかわらず、直ちに壁全面に透湿防水シートを張るよう求められています。
工程の組み方で言えば、「面材張り」と「透湿防水シート張り」を別の日の別の作業として切り離さないことがポイントです。面材を張った面からシートまで進められる段取りにしておけば、張った面材を雨にさらしたまま置く時間を短くできます。あわせて、ノダの施工要領には「構造用ハイベストウッドはクロス下地ではありません。」とも書かれています。
現場保管は平置き・シート掛け
最後に保管です。直射日光と雨水を避けて風通しの良いところに置き、やむを得ず屋外に置く場合は必ずシートを掛けます。置き方は、70cm以下の間隔で角材を敷いて平置きにするのが指定です。搬入日と張る日が離れる場合は、置き場所と角材の手配まで搬入前に決めておくと、当日に慌てずに済みます。
大工さんへの指示書チェックリスト
ここまでの内容を、大工さんへの指示書にはそのまま次の形で書き写しておくと抜けが出にくいです。
- 釘の種類・外周と中間のピッチ・木口からの距離(壁ごとの系統どおり)
- 釘打ち機はエア圧とめり込みを調整し、釘頭がめり込み過ぎないようにする
- 継ぎ手の目地は2〜3mm程度、階高の継ぎ手は6mm程度空ける
- 外壁は通気工法とし、非通気のモルタル下地には使わない
- 張り終えたら直ちに壁全面に透湿防水シートを張る
- 現場保管は直射日光と雨水を避け、70cm以下の間隔の角材の上に平置き、屋外ならシート掛け
面材と透湿防水シートの外側をどう納めるかは、外壁の種類と下地の考え方で全体像をつかめます。面材を張ったあとの気密の確認方法は、気密測定の進め方が詳しいです。
検査の前に自分で見ておくところ
検査の前に自分で当たっておく項目は、ここまでのノダの施工要領と壁倍率の表をそのまま裏返したものです。具体的には、釘の種類が壁ごとの系統と合っているか、外周と中間のピッチが表のとおりか、木口からの距離が取れているか、釘頭がめり込み過ぎていないか、継ぎ手と階高の継ぎ手に目地が空いているか、といった点です。どれも張り終えたあとに目で確かめられる項目なので、壁ごとに数か所ずつ自分で当たっておくと、気になる箇所があっても手直しの段取りを先に組めます。
現場目線で言えば、釘の種類の確認は張り終えてからではなく、張り始めの最初の1面で済ませておくのが近道です。壁ごとの系統と、大工さんの手元にある釘の箱の表示が合っているかを、その1面で一度見ておけば、残りの面はピッチと目地の確認に集中できます。
ハイベストウッドの特徴(透湿・耐水・防腐防蟻)
「透湿性が高いって、合板と比べてどれくらい?」「シロアリは大丈夫?」という疑問に、ノダが公表している試験データで答えていきます。結論、ハイベストウッドの特徴は「透湿抵抗の低さ」「水に浸けても釘の接合力が落ちにくいこと」「タイプを選べば防腐防蟻の要求にも応えられること」の3つです。
まず透湿性です。ノダの資料では、他の面材と比べて透湿抵抗が低く、壁内の湿気をスムーズに排出して住宅の耐久性を高めると説明されています。比較値は次のとおりです。
| 面材 | 透湿抵抗(m2hmmHg/g) |
|---|---|
| HBW(構造用ハイベストウッド) | 2.0 |
| 構造用合板 広葉樹(ラワン)JAS特類 9mm | 11.8 |
| 構造用合板 針葉樹(ラーチ)JAS特類 9mm | 12.2 |
| 構造用パネル OSB 9.5mm JAS 4級 | 13.5 |
出典:ノダ 構造用ハイベストウッド製品ページ(JIS A1324「建築材料の透湿性試験方法」による)
次に耐水性と強さです。釘頭貫通試験では、HBWは24時間水に浸漬しても釘を接合する力が低下しなかったとされています。また、耐力面材として重要なせん断強さは構造用合板の約2倍とされています。ノダはこの試験結果について、万一、施工中に水漏れが生じても釘一本一本を保持する力は低下しないことが分かる、と説明しています。
防腐防蟻については、木材や他の木質材料に比べて腐朽菌に侵されにくく、シロアリによる食害も少ないと説明されています。耐蟻性試験の重量減少率は次のとおりです。
- PATタイプ9mm:合格(日本木材保存協会の規格試験で、3.0%未満が合格)
- JIS Mタイプ9mm:4.0%
- 構造用合板 広葉樹特類9mm:11.9%
- OSB 9.5mm JAS4級:45.4%
PATタイプ以外の数値は、京都大学への依頼試験データとされています。長期優良住宅などで劣化対策等級3に対応させたい場合は、Pタイプを使って地面から1m以内の部分に防腐防蟻措置をするか、防腐防蟻処理済みのPATタイプ(JWPA認定品)を使うよう案内されています。資料では、PSPまたはPATを使い、外壁を通気工法として、地面から1m以内の高さ部分に防腐・防蟻に有効な薬剤処理が行われている場合に等級3になる、という条件も示されています。
透湿抵抗の低さが壁内結露の話とどうつながるかは、結露の仕組みと対策で順を追って整理しています。
正直なところ、透湿抵抗2.0と合板の11.8〜12.2という差は、比較表の中でもかなり目立つ数字です。ただ、この性能は通気工法と透湿防水シートとセットで初めて活きるものなので、前の章の施工要領と一緒に覚えておくのがおすすめです。
ハイベストウッドとダイライト・モイス・構造用合板の違い
「ダイライトやモイスと比べて何が違うの?」。面材選びの打ち合わせでは必ず出る質問です。結論、一番大きな違いは材質と防火の位置づけで、ハイベストウッドは木質繊維系、ダイライトとモイスは無機系の面材です。
| 面材 | 主な材質 | 防火の位置づけ | 透湿抵抗(m2hmmHg/g) |
|---|---|---|---|
| ハイベストウッド | 構造用MDF(木材チップを繊維状にして熱圧成型) | 公式資料に不燃・準不燃の記載なし | 2.0 |
| ダイライトMS | 火山性ガラス質複層板(JIS A 5440) | 準不燃材料(国土交通大臣認定) | ― |
| モイスTM | 消石灰・珪砂・バーミキュライトなどの天然素材 | 不燃材料(国土交通大臣認定) | ― |
| 構造用合板(JAS特類9mm) | ― | ― | ラワン11.8/ラーチ12.2 |
出典:ノダ、大建工業、モイス公式サイト(2026年10月確認)。透湿抵抗はノダ資料で比較されている面材のみ記載
ダイライトMSは大建工業の製品で、準不燃材料の大臣認定に加え、防火構造認定や準耐火構造認定も取得しているとされています。大建工業のページでは、ダイライトMSは告示材料ではなく、国土交通大臣の個別認定を取得していると説明されています。告示と認定の2系統を持つハイベストウッドとは、この点でも性格が違います。詳しくはダイライトの特徴と使いどころで解説しています。
モイスは、2022年3月に三菱商事から双日建材へ事業が継承されています。古いカタログや資料を見るときは、販売元の表記が変わっている点に気をつけてください。モイスTMの材質や不燃認定の詳細はモイスの解説記事にまとめています。
価格については、各社とも公表資料で同じ条件の比較ができないため、この記事では高い・安いを断定しません。採用を検討するときは、同じ壁量・同じ外装仕様で見積もりを並べて比べるのが確実です。
実務だと、面材選びは「防火の要求がその壁にあるか」を先に確定し、そのうえで透湿性・防蟻・入手性を比べる順番にすると、打ち合わせがぶれにくいと感じます。
ハイベストウッドのデメリットと向く現場・向かない現場
「防火地域でも使える?」「結局どんな現場なら選んでいいの?」。採用の判断で一番気をつけたいのが防火の扱いです。結論、ハイベストウッドは公式資料に不燃・準不燃の記載が無いので、防火の要求がある外壁では、面材単体ではなく外装材や石膏ボードなどとの組み合わせで性能を成立させる考え方になります。
ノダの情報発信でも、構造用ハイベストウッドにプラスターボードや金属サイディングを組み合わせることで、耐震性だけでなく防火性能も兼ね備えた住宅が実現する、という説明がされています。言い換えると、防火性能は壁全体の構成で考える材料だということです。敷地が防火地域・準防火地域かどうか、外壁にどんな防火性能が求められるかは、面材を決める前に確認しておく必要があります。
もうひとつの制約が外装の工法です。前の章のとおり、HBWは通気工法の下地として使うことが前提で、非通気工法のモルタル下地には使えません。モルタル直塗りの外壁を予定している現場では、そもそも選択肢から外れます。シロアリ対策については材料自体の抵抗力もありますが、等級や地域の要求に応じてP・PATのどちらを選ぶかで対応するのが基本です。
向く現場・向かない現場を判断するときは、次の順で確認すると整理しやすいです。
- 敷地の防火指定と、外壁に求められる防火性能を最初に確認する
- 防火の要求がある場合は、外装材や石膏ボードとの組み合わせで成立するかを設計に確認する
- 外装が通気工法かを確認する(非通気のモルタル下地なら使わない)
- 劣化対策等級やシロアリの要求に応じて、Pタイプ(現場処理)かPATタイプ(工場処理)かを決める
- 透湿性を重視したい、通気工法で納める木造住宅なら有力な候補になる
面材だけで防火を取りたい場合の材料の選び方は、不燃ボードの種類と使い分けが判断材料になります。木造そのものの構造の考え方は木造の基本で押さえておくと、面材の位置づけが見えやすくなります。
自分としては、ハイベストウッドは「通気工法で納める木造で、透湿性を活かしたい現場」にはまる面材だと考えています。防火やモルタル下地の制約を先に確認しておけば、採用してから困る場面はかなり減らせます。
ハイベストウッドに関する情報まとめ
- ハイベストウッドとは:ノダが製造する、構造用として作られた高耐水・高耐久のMDF(JIS A5905)
- 種類・寸法・重さ:M・P・PATの3タイプ、全品厚さ9mm、幅908mmと998mm、重量は17.1〜21.2kg
- 壁倍率と釘:大臣認定の大壁4.0倍はCN65・外周100/中間200、告示の大壁4.3倍はN50・NZ50・外周75/中間150。準耐力壁にできるのは告示仕様の大壁2.5倍だけ
- 施工要領:釘頭のめり込み調整、目地2〜3mm・階高6mm、通気工法の下地、張ったら直ちに透湿防水シート
- 特徴:透湿抵抗2.0と合板より低く、水に24時間浸けても釘の接合力が低下せず、PATで防腐防蟻に対応
- 他面材との違い:ダイライトMSは準不燃、モイスTMは不燃の大臣認定を持つ無機系、HBWは木質繊維系
- デメリットと向く現場:防火は壁全体の構成で考え、非通気のモルタル下地には使わない
以上がハイベストウッドに関する情報のまとめです。
ハイベストウッドで現場が迷う原因は、材料そのものより「認定と告示の2系統がある」ことにあります。図面を受け取った時点で壁ごとの系統を確定し、釘の種類・ピッチ・木口からの距離・目地を指示書に書き写しておけば、上棟後の面材張りも検査も落ち着いて迎えられるはずです。
釘の種類から目地まで大工に指示できる力は社外でも通用する経験なので、今の自分の市場価値が気になる方は施工管理向け転職サービスの比較ものぞいてみてください。
ハイベストウッドに関するよくある質問
Q1:ハイベストウッドと構造用合板はどちらがいいですか?
一長一短です。透湿性を重視するならハイベストウッドが有利で、ノダの資料では透湿抵抗がHBW 2.0に対し、構造用合板(JAS特類9mm)はラワン11.8・ラーチ12.2とされています。せん断強さも構造用合板の約2倍とされています。一方で、HBWは通気工法の下地として使うことが前提で、非通気のモルタル下地には使えません。外装の工法と防火の要求を先に確認したうえで選んでください。
Q2:ハイベストウッドの壁倍率はいくつですか?
大臣認定仕様と告示仕様で分けて考えます。大臣認定仕様は、木造軸組工法の直張り大壁で4.0倍(CN65・木口から12mm以上・外周100mm以下/中間200mm以下)と2.5倍、枠組壁工法で3.0倍です。告示仕様は、木造軸組工法の直張り大壁で4.3倍(N50・NZ50・外周75mm以下/中間150mm以下)、受材真壁で4.0倍、枠組壁工法で4.8倍などがあります。どちらの仕様かは図面で必ず確認してください。
Q3:ハイベストウッドは防火地域で使えますか?
ノダの公式資料には、ハイベストウッドが不燃材料・準不燃材料であるという記載はありません。ノダはプラスターボードや金属サイディングとの組み合わせで防火性能も兼ね備えた住宅が実現すると説明しているので、防火の要求がある外壁では、壁全体の構成で性能を成立させる考え方になります。敷地の防火指定を最初に確認し、成立するかを設計者に確認してから採用してください。
Q4:釘がめり込むと本当に壁倍率は落ちますか?
ノダは、釘打ち機で施工する場合に釘頭がめり込み過ぎないよう、エア圧力の調整とめり込み調整をするよう求めています。壁倍率は指定の釘を指定のピッチで正しく打った前提の値なので、めり込み過ぎた状態は仕様どおりの施工とは言えません。めり込みの許容値は公式資料に数値で示されていないため、試し打ちで釘頭の入り方をそろえてから本打ちに入るのが確実です。
Q5:ハイベストウッドはシロアリに強いですか?
ノダの資料では、木材や他の木質材料に比べてシロアリによる食害が少ないとされ、耐蟻性試験の重量減少率はJIS Mタイプ9mmで4.0%(構造用合板 広葉樹特類9mmは11.9%)です。より確実に対策したい場合は、工場で防腐防蟻処理を済ませたPATタイプがあり、日本木材保存協会の規格試験で合格(3.0%未満)とされています。劣化対策等級3を取りたい場合は、Pタイプに地面から1m以内の防腐防蟻措置をするか、PATタイプを使います。
Q6:4.0倍と4.3倍はどちらを使えばいいですか?
どちらを使うかは構造設計で決まるもので、現場が選ぶものではありません。現場で大事なのは、図面の倍率がどちらの系統かを確かめて、その系統の釘とピッチで打つことです。大壁の4.0倍は大臣認定仕様でCN65・外周100mm以下/中間200mm以下、4.3倍は告示仕様でN50・NZ50・外周75mm以下/中間150mm以下です。また、準耐力壁として使えるのは告示仕様の大壁2.5倍だけで、大臣認定仕様は準耐力壁になりません。
Q7:面材の目地はどれくらい空けますか?
ノダの施工要領では、面材の継ぎ手の目地は2〜3mm程度、階高の継ぎ手の目地は6mm程度の隙間を設けるよう指定されています。「継ぎ手は2〜3mm、階高の継ぎ手は6mm程度」と数字で大工さんに伝えておくと確実です。
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