注文請書とは?書き方、注文書との違い、印紙税、電子化など

  • 注文請書って結局なに?注文書と何が違うの?
  • 請書って必ず出さなきゃダメなの?
  • 書き方・何を書けばいいか分からない
  • 収入印紙っていくら貼るの?誰が貼る?
  • 建設業法的に注文書・請書だけで契約成立する?
  • 電子化したら印紙いらないって本当?
  • 元請から請書が来ない…どうすればいい?
  • 保管期間ってどれくらい?

上記の様な悩みを解決します。

注文請書は、施工管理が下請契約や材料発注のやり取りで日常的に目にする書類のひとつです。「とりあえず判子を押して返せばいい」と思われがちですが、建設業では建設業法・印紙税・電子契約が絡むので、実は会社の経理書類とは少し勝手が違います。今回は定義・注文書との違い・書き方といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「建設業法と請書の関係」「建設工事だけにある印紙税の軽減措置」「印紙代は元請・下請どっちが負担するか」「請書がもらえない時の対処」など、現場で実際にハマるポイントまで網羅的に整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

注文請書とは?

注文請書とは、結論「発注者が出した注文書に対して、受注者が”その注文を確かに引き受けます”と承諾の意思を示すために発行する書類」のことです。読み方は「ちゅうもんうけしょ」で、現場では「請書(うけしょ)」と略して呼ぶことが多いです。

流れとしては、発注者が「この工事をお願いします」という注文書(発注書)を出し、それを受けた受注者が「承知しました」と注文請書を返す、という対になっています。注文書が”申込み”、注文請書が”承諾”で、この2枚がそろって初めて「双方が合意した」という事実が書面で残ります。

建設業の現場だと、元請から下請への工事発注、あるいは専門工事業者から材料メーカー・リース会社への発注などで登場します。「注文書 兼 請書」のように1枚の用紙の上下で発注欄と請書欄が分かれていて、下半分を切り取って返送する、という様式もよく使われます。

そもそも民法上、契約は口頭の合意だけでも成立します(諾成契約)。なので「請書がないと契約が無効」というわけではありません。ただ、口約束だけだと「言った・言わない」のトラブルになるので、証拠として書面を交わすのが商慣習になっている、という整理です。

僕の感覚だと、新人のうちは「請書って経理がやる事務書類でしょ?」と思いがちなんですが、建設業では後述する建設業法が絡むので、施工管理側も中身を理解しておかないと痛い目を見ます。特に下請に出す側になった時、「請書をもらってない=法律違反になりかねない」という場面があるので、現場の人間こそ押さえておくべき書類だと思っています。

注文請書と注文書(発注書)の違い

注文請書と注文書は、結論「誰が・どっち向きに出すか」が逆の書類です。混同されやすいですが、役割は明確に違います。

比較項目 注文書(発注書) 注文請書
発行する人 発注者(注文する側) 受注者(注文を受ける側)
向き 発注者 → 受注者 受注者 → 発注者
意味 申込み(お願いします) 承諾(引き受けます)
タイミング 先に発行 注文書を受けて後に発行
印紙税 原則不要(※) 請負契約なら課税対象

「発注書」と「注文書」は呼び方が違うだけで同じ書類です。同じく「発注請書」と「注文請書」も同じものを指します。会社や業界で呼び方が分かれているだけなので、ここは深く悩まなくて大丈夫です。

注意したいのが印紙税で、注文書は原則として印紙が不要なのに対し、注文請書は請負契約に該当すると印紙が必要になります。同じ取引の対になる書類なのに、片方だけ印紙が要る。ここが「なんで請書だけ?」と引っかかるポイントなので、後の印紙の章で詳しく解説します。

ちなみに、発注の段階で「発注者が出した注文書に、受注者が署名・押印して1枚返す」運用にしている会社もあります。その場合は注文書が請書を兼ねる形になり、別途請書を作らないこともあります。

僕としては、注文書と請書の違いは「矢印の向き」で覚えるのが一番ラクだと感じます。発注者から下に降りるのが注文書、受注者から上に返すのが請書。この向きさえ間違えなければ、どっちにどの会社名を書くか、押印するのは誰か、で迷うことはなくなります。

見積書から請求書まで|建設工事の書類の流れ

注文請書は、工事の最初から最後まで続く一連の書類フローの中の一部です。請書だけを単独で見るより、全体の流れの中で位置を理解した方が腹落ちします。

建設工事の標準的な書類の流れは次の通りです。

工程 発注者が出す書類 受注者が出す書類
① 見積依頼 見積依頼書
② 見積 見積書
③ 発注 注文書(発注書) 注文請書
④ 契約 工事請負契約書(※)
⑤ 施工・完了 受領書 納品書・工事完了報告書
⑥ 検査・検収 検収書
⑦ 支払 領収書 請求書

(※) ④の工事請負契約書は、③の注文書・注文請書で代えるケースもあります(後述)。

つまり注文請書は「③発注」のタイミングで、受注者が見積内容に合意して工事を引き受ける、という意思表示の役割を担っています。見積で金額を詰めて、注文書で正式発注して、請書で承諾して、ここで契約が固まる、という流れです。

現場目線で言うと、書類が前後したり飛ばされたりすることも正直あります。「先に着工して、請書は後追いで処理」みたいな運用です。ただ、これは後でトラブルになりやすいので、本来は着工前に請書まで交わしておくのが筋です。

工事完了に関わる書類は工事完了届の解説が参考になります。

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僕の感覚だと、この書類の流れを頭に入れておくと、経理や事務から「請書まだですか?」と言われた時に、今どの工程にいて何が足りないのかがすぐ分かります。逆にこの流れが曖昧なまま現場を回していると、検収・支払の段階で「契約書面がそろってない」と気付いて慌てることになります。書類は工事の進捗とセットで動く、と捉えておくのがおすすめです。

建設業法と注文請書|注文書・請書方式での契約締結

ここが、経理サイト・会計ソフト系の記事ではほぼ触れられていない、建設業ならではの最重要ポイントです。結論から言うと、建設業の請負契約には建設業法というルールがかかるので、一般的な商取引の請書とは要件が違います。

建設業法第19条|契約は書面が義務

建設業法第19条では、建設工事の請負契約を結ぶときは、契約の内容を書面に記載して、署名または記名押印のうえ相互に交付しなければならない、と定められています。一般の売買契約は口頭でもOKですが、建設工事の請負契約は書面化が法律上の義務になっている、という点が大きな違いです。

書面に記載すべき事項は法律で決められていて、主なものは次のような項目です。法改正のたびに項目が追加されてきた経緯があり、現在はかなり多くの事項が求められます。

  • 工事内容
  • 請負代金の額
  • 工事の着手時期と完成時期
  • 工事を施工しない日や時間帯の定め(働き方改革で追加)
  • 請負代金の支払の時期と方法
  • 設計変更・工期変更が生じた場合の取扱い
  • 天災など不可抗力による損害の負担
  • 価格変動に基づく請負代金・工事内容の変更
  • 第三者に損害が生じた場合の賠償金の負担
  • 各当事者の履行遅滞・債務不履行の場合の遅延利息や違約金

(出典:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」、建設業法第19条)

注文書・注文請書だけでも契約は成立する?

「じゃあ立派な工事請負契約書を毎回作らないとダメなの?」と思いますよね。ここで効いてくるのが、注文書・注文請書方式という締結方法です。

国土交通省の通達(建設省経建発第132号)では、一定の条件を満たせば、分厚い契約書を作らなくても「注文書」と「注文請書」を交わすことで建設工事の請負契約を締結できる、と認められています。継続的に取引する相手と、毎回フルの契約書を作るのは現実的じゃないので、この簡便な方式が用意されている、というわけです。

ただし条件があり、ざっくり次の3点を満たす必要があります。

  • 注文書・請書の個別記載欄に、工事内容・請負代金額・着手/完成時期・代金の支払時期と方法など(法第19条第1項第1号〜第4号)を記載する
  • それ以外の細かい事項(不可抗力・設計変更・賠償など)は、あらかじめ基本契約書を結ぶか、基本契約約款を注文書・請書に添付・引用する
  • 注文書・請書のそれぞれに、相手方の署名または記名押印をして相互に交付する
締結方式 内容 向いている場面
工事請負契約書 1工事ごとにフルの契約書を作成 元請・施主との元請契約、単発の大型工事
基本契約書+注文書・請書 共通条件を基本契約書で1回結び、個別は注文書・請書 継続的に発注する協力会社との取引
基本契約約款+注文書・請書 約款を添付・引用し、個別は注文書・請書 同上(約款を都度添付する運用)

ここを知らずに、ただ「工事内容と金額だけ書いた請書」をやり取りしていると、建設業法上の必要記載事項を満たしておらず、形式的に法違反になっている、というケースが実はよくあります。

建設業許可や元請・下請の関係についてはこちらも参考になります。

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僕としては、ここが施工管理が一番押さえておくべきポイントだと思っています。会計ソフト系の解説記事は「請書とは承諾書です」で終わっていて、建設業法に一言も触れていないものがほとんどです。でも実務では、下請に発注する立場になった時に「注文書・請書だけで済ませるなら、基本契約書か約款をセットで結んでおく」という段取りを知っているかどうかで、後の監査やトラブル対応の安心感が全然違ってきます。

注文請書の書き方と記載項目

注文請書には法律で決まった様式はありませんが、トラブルを防ぐために最低限入れておくべき項目があります。建設業の場合は、前章の建設業法の記載事項も意識して作るのがポイントです。

基本の記載項目

項目 内容
発行日 請書を発行した日(注文書の日付より前にしない)
宛先 発注者の正式な会社名+「御中」
件名(工事名) 工事・取引の名称
工事内容・明細 工種、数量、単価、仕様などを具体的に
金額 税抜・消費税額・税込を区分して記載
工期(納期) 着手時期・完成(納品)時期
支払条件 支払の時期と方法
受注者情報 自社の会社名・住所・電話・担当者名+社印

書くときの注意点

  • 発行日は注文書の日付と同日か後ろにする。請書が注文書より前の日付だと、流れに矛盾が出る
  • 金額は税抜・消費税・税込を分けて書く。区分しておくと印紙税の判定で有利になる場合がある(後述)
  • 工事内容は「一式」で逃げず、できるだけ具体的に。後の追加・変更の線引きが楽になる
  • 建設業法をにらむなら、着手/完成時期と支払の時期・方法まで請書に落とす
  • 細かい契約条件は基本契約約款に委ねる旨を一文入れておく

請書の発行日を注文書より前にしてしまうミスは地味によくあります。後追いで請書を作ると、つい当日の日付を入れたくなりますが、注文書が後の日付だと辻褄が合わなくなるので注意です。

工事の途中で内容や金額が変わったときは、変更契約書で対応する場面も出てきます。

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僕の感覚だと、請書の書き方で一番大事なのは「工事内容をどこまで具体的に書くか」です。ここをふんわり「○○工事一式」で済ませると、後から「これは見積に入ってた・入ってない」の押し問答になります。請書の段階で工種・範囲をはっきりさせておくと、結局は現場の追加交渉がやりやすくなる、というのが実感です。

注文請書の収入印紙(印紙税)

注文請書でみんながつまずくのが収入印紙です。結論、「建設工事の請負契約に当たる注文請書で、契約金額が1万円以上なら、収入印紙が必要」です。ここは建設業特有の軽減措置があるので、一般の表をそのまま使うと払い過ぎになります。

なぜ請書に印紙が必要なのか

注文請書が印紙税法上の「第2号文書(請負に関する契約書)」に当たるからです。注文書(申込み)は契約書ではないので原則不要ですが、請書は承諾=契約成立を示すので「契約書」と同じ扱いになり、課税対象になります。

ポイントは「請負か売買か」です。工事の施工をお願いする請負契約なら課税。すでに出来ている既製品をただ買う売買契約なら、原則は課税文書になりません。建設工事はほぼ請負なので、工事の請書は課税対象と考えておけば間違いないです。

建設工事の請負契約書は印紙税が軽減される

ここが超重要です。建設工事の請負に関する契約書(注文請書含む)は、租税特別措置法で印紙税が軽減されています。一般の経理サイトが載せている「本則税率」の表をそのまま使うと、本来より多く貼ってしまうことがあります。

契約金額 本則税率 建設工事の軽減税率
1万円未満 非課税 非課税
1万円〜100万円以下 200円 200円
100万円超〜200万円以下 400円 200円
200万円超〜300万円以下 1,000円 500円
300万円超〜500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超〜1億円以下 6万円 3万円
1億円超〜5億円以下 10万円 6万円

(出典:国税庁「No.7102 請負に関する契約書」「No.7108 建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」。軽減措置は令和9年3月31日まで作成分が対象)

たとえば請負金額800万円の工事請書なら、本則だと1万円ですが、軽減措置で5,000円で済みます。金額が上がるほど差が大きくなるので、知っているかどうかでけっこうな差が出ます。

なお、消費税額を金額欄に区分して書いてあると、その消費税分は「契約金額」に含めずに印紙税を判定できます。税抜・税込・消費税を分けて書く、という前章の話はここに効いてきます。

僕の感覚だと、この軽減措置は施工管理でも意外と知らない人が多いです。経理任せにしていると本則の額で貼られていることもあるので、高額な請書を扱う時は「これ建設工事だから軽減のはずですよ」と一言言えると、地味に会社のコスト削減に貢献できます。

印紙代は元請・下請どちらが負担する?

請書の印紙でもう一つ揉めやすいのが「印紙代、誰が払うの?」問題です。結論、「請書を作った側(受注者=下請側)が貼って負担するのが一般的」です。ただし現場のパワーバランスで現実は色々あります。

法律上は、契約書に印紙を貼る義務は作成者にあり、1通しか作らない場合はその作成者が納税義務を負います。注文請書は受注者が1通作って発注者に渡す形が多いので、結果として受注者が印紙代を負担するケースが多くなります。

ケース 印紙を負担しがちな人
請書を受注者が1通作成・交付 受注者(下請側)
同じ契約書を2通作り双方保管 双方が連帯(折半が多い)
取決めで折半・発注者負担 取決め通り

ここが現場で引っかかるポイントで、立場の弱い下請ほど「請書も作らされ、印紙代も持たされる」という構図になりがちです。金額が大きい工事だと印紙代も数万円になるので、馬鹿にできません。

対策としては、取引開始時に「印紙代の負担をどうするか」を発注者と決めておくことです。基本契約書の中で取り決めておくと、毎回揉めずに済みます。あとは、電子契約にしてしまえばそもそも印紙が不要になる(後述)ので、負担問題自体が消えます。

下請の立場を守るルールは建設業許可や下請関連の書類とも関わってきます。

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僕としては、印紙代は「金額の問題」というより「最初に決めておくかどうかの問題」だと感じます。後出しで「これ、そっち負担だよね?」となると角が立つので、取引の最初に握っておくのが平和です。そして根本的には、電子化で印紙そのものを無くすのが一番スッキリする、というのが正直なところです。

注文請書の電子化と電子契約

最近は注文請書を電子契約で交わす現場が増えています。結論、「電子データ(PDF等)でやり取りした請書には、収入印紙が不要」です。これが電子化の一番大きなメリットです。

なぜ電子化すると印紙がいらないのか

印紙税は「紙の文書(課税文書)を作成して交付する」ことに対してかかる税金だからです。PDFをメールやクラウドで送る行為は、紙の文書の「交付」に当たらないので、課税原因が発生しません。つまり請負契約の請書であっても、電子でやり取りする限り印紙は不要になります(国税庁の見解)。

ただし注意点があり、電子で送った後に「やっぱり紙でも欲しい」と現物を別途プリントして相手に渡すと、その紙が課税文書になり印紙が必要になります。電子で完結させるなら、紙の原本を作らない・渡さない、を徹底することです。

電子契約・電子保存の注意点

  • 電子で受け取った請書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存するのが原則(紙に印刷して保存だけ、はNG)
  • 建設業法でも電子契約は認められているが、相手方の承諾を得ることなどの要件がある
  • タイムスタンプ・改ざん防止などのシステム要件を満たす必要がある
  • 取引先がアナログだと、こちらが電子でも相手が紙を求めることがある

現場で電子化が進まない理由

便利なはずの電子契約も、建設業の現場では意外と定着が遅いです。理由は、協力会社や職人レベルだとIT環境がバラバラで、「うちはハンコと紙じゃないと無理」という会社がまだ多いからです。元請がシステムを入れても、下請がついてこられないと結局紙と併用になります。

建設業の書類電子化・DX全般はこちらが参考になります。

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僕の感覚だと、電子契約は「印紙代が浮く」「保管が楽」「探すのが速い」と良いことづくめなんですが、導入で失敗するのは大抵「自社だけ電子化して取引先を置いてけぼりにする」パターンです。協力会社の対応状況を見ながら、当面は電子と紙のハイブリッドで進めるのが現実的だと思っています。まず社内とIT対応できる取引先から電子化して、徐々に広げるのが定着のコツです。

注文請書がもらえない・来ないときの対処

これは現場でけっこう困るのに、どの解説記事も触れていない論点です。結論、「建設工事の契約は書面交付が法律上の義務なので、請書(または契約書面)が来ないのは本来あってはならない状態。きちんと求めていい」です。

よくあるのが、元請から口頭やLINEで「この工事お願い」と言われて着工したのに、注文書も請書も一向に来ない、というパターンです。下請の立場だと言い出しにくいですが、これは放置するとリスクしかありません。

書面がないと起きるリスク

  • 工事範囲・金額の認識がズレて、後で「そんな額で受けてない」と揉める
  • 追加工事をやったのに「それは契約に含まれてた」と言われ、タダ働きになる
  • 支払が遅れた・減らされた時に、請求の根拠が弱い
  • 元請が建設業法違反(書面不交付)の状態になっている

請書・契約書面を求めるときの進め方

  • まずは見積書の控えを必ず残す(金額・範囲の証拠になる)
  • 注文書・請書、または工事請負契約書の交付をやんわり依頼する
  • それも難しければ、メールで「○○工事を△△円で承りました」と内容を送って記録を残す
  • 追加・変更が出たら、その都度メールやチャットで合意内容を文字に残す

建設業法では、注文者(元請)に書面交付の義務がある、というのが大きな後ろ盾です。「法律で決まってるので一枚ください」と言える根拠があると、下請でも交渉しやすくなります。

僕としては、ここは下請の施工管理が一番泣きを見やすいところだと感じます。「請書がないまま着工」は現場あるあるですが、トラブった時に守ってくれるのは結局”書面”です。立派な契約書じゃなくていいので、せめてメールで「この工事をこの金額で受けました」という記録を残しておく。これだけで、後の揉め事での立場が全然違ってきます。言いにくくても、書面を求めるのは正当な権利だと割り切るのが大事です。

注文請書の保管期間と管理方法

注文請書は発行・受領して終わりではなく、一定期間の保管が義務付けられています。結論、「法人は原則7年、個人事業主は原則5年」を基本に押さえておけばOKです。

区分 保管期間
法人 原則7年(欠損金がある事業年度は最長10年)
個人事業主 原則5年(消費税の課税事業者は7年)
建設業法上の帳簿添付書類 別途の保存義務あり(営業所ごと)

注意したいのは、税務上の保管期間とは別に、建設業法でも契約書面などを帳簿の添付書類として保存する義務がある点です。建設業者は営業所ごとに帳簿を備えて、契約関係の書類を保存しなければなりません。税務だけ見て5年で捨てると、建設業法側の要件を落とすことがあるので注意です。

保管方法は紙でも電子でもOKですが、前述の通り電子で受け取ったものは電子帳簿保存法で電子保存が原則です。紙と電子が混在すると「どこに何があるか分からない」状態になりやすいので、保管ルールを決めておくのがおすすめです。

施工体制台帳など、現場の書類保管とあわせて管理すると整理しやすいです。

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僕の感覚だと、保管は「期間」より「探せるか」が実務では大事です。7年保管していても、いざ税務調査や監査で「あの工事の請書出して」と言われて出てこなければ意味がありません。工事名・年度・取引先で検索できる形にしておく、というのが結局は一番効きます。電子化の本当の価値はここにあると思っていて、検索性が段違いに上がります。

注文請書に関する情報まとめ

  • 定義:注文書(発注者の申込み)に対して、受注者が承諾を示すために発行する書類
  • 注文書との違い:発行する向きが逆。注文書は発注者→受注者、請書は受注者→発注者
  • 書類の流れ:見積依頼→見積→注文書・請書→契約→納品・完了→検収→請求の一連の中の「発注」工程
  • 建設業法:建設工事の請負契約は書面交付が義務(法19条)。注文書・請書方式で契約するなら基本契約書か約款をセットにする
  • 書き方:発行日・宛先・工事内容・金額(税区分)・工期・支払条件・受注者情報を記載
  • 収入印紙:請負契約なら1万円以上で課税。建設工事は軽減税率があり本則より安い
  • 印紙負担:作成者(受注者=下請側)が貼るのが一般的。最初に取り決めるか電子化で回避
  • 電子化:電子データでやり取りすれば印紙不要。ただし電子帳簿保存法で電子保存が原則
  • 請書が来ない時:書面交付は元請の義務。せめてメールで合意内容を残す
  • 保管期間:法人は原則7年、個人は原則5年。建設業法の帳簿添付義務も別途あり

以上が注文請書に関する情報のまとめです。

注文請書は「ただの事務書類」と思われがちですが、建設業では建設業法・印紙税・電子契約が絡む、意外と奥の深い書類です。注文書との違いを押さえて、建設業法の書面義務と注文書・請書方式を理解し、印紙は建設工事の軽減税率で正しく貼る。そして下請の立場なら、請書がもらえない時こそ書面を求める。このあたりを押さえておくと、現場でも経理とのやり取りでも、書類で損をすることがなくなります。困った時はこの記事に戻ってきてもらえれば、必要な論点はひと通り確認できるはずです。

注文請書に関するよくある質問

Q1:注文請書は必ず発行しなければいけませんか?

民法上は契約は口頭でも成立するので、請書そのものに絶対の発行義務はありません。ただし建設工事の請負契約は、建設業法第19条で書面の作成・相互交付が義務付けられています。注文書・注文請書を交わす方式はこの書面義務を満たす手段のひとつなので、建設業では「請書を含む契約書面は基本的に交わすもの」と考えておくのが安全です。口頭やチャットだけで着工するのは、後のトラブルリスクが高いです。

Q2:注文書と注文請書、どちらに収入印紙を貼りますか?

注文請書のほうです。注文書は「申込み」で契約書ではないため原則として印紙は不要ですが、注文請書は「承諾=契約成立」を示すので、請負契約に該当すると印紙税の課税対象(第2号文書)になります。同じ取引の対になる書類なのに片方だけ課税されるのは、この「申込みか契約か」の違いによるものです。建設工事の請負なら、金額1万円以上で印紙が必要になります。

Q3:建設工事の注文請書は印紙が安くなるって本当ですか?

本当です。建設工事の請負に関する契約書(注文請書を含む)は、租税特別措置法で印紙税が軽減されています。たとえば契約金額500万円超〜1,000万円以下なら、本則1万円のところ軽減で5,000円です。一般の経理サイトに載っている本則税率の表をそのまま使うと払い過ぎることがあるので、建設工事は軽減税率の表で確認してください。軽減措置は令和9年3月31日までに作成される文書が対象です。

Q4:電子化した注文請書に印紙は必要ですか?

不要です。印紙税は紙の課税文書を作成・交付することにかかる税金なので、PDFなどの電子データをメールやクラウドで送る場合は課税原因が発生しません。請負契約の請書でも、電子でやり取りする限り印紙はいりません。ただし、電子で送った後に紙の原本を別途プリントして相手に渡すと、その紙に印紙が必要になります。電子で完結させるなら紙の原本を作らないことがポイントです。

Q5:注文書と請書だけで、工事請負契約書は作らなくていいですか?

条件を満たせば可能です。国土交通省の通達で、注文書・請書方式による契約締結が認められています。ただし、注文書・請書の個別欄に工事内容・代金額・工期・支払条件などを記載し、それ以外の細かい条件は基本契約書を結ぶか基本契約約款を添付・引用すること、双方が署名押印して相互に交付すること、が必要です。工事内容と金額だけ書いた請書をやり取りしているだけだと、建設業法の必要記載事項を満たさず形式的に違反になることがあるので注意です。

Q6:元請から注文書も請書も来ないまま着工してしまいました。どうすれば?

まず見積書の控えなど、金額と工事範囲が分かる証拠を残してください。そのうえで、注文書・請書または工事請負契約書の交付を依頼します。建設業法では注文者(元請)に書面交付の義務があるので、「法律で決まっているので一枚ください」と言える後ろ盾があります。それも難しい場合は、せめてメールで「○○工事を△△円で承りました」と内容を送り、合意の記録を残しておきましょう。追加・変更が出たら都度、文字で残すのが鉄則です。

Q7:注文請書の保管期間はどれくらいですか?

税務上は法人で原則7年、個人事業主で原則5年(消費税の課税事業者は7年)です。さらに建設業者の場合、建設業法でも契約書面を帳簿の添付書類として営業所ごとに保存する義務があります。税務の期間だけ見て早めに処分すると、建設業法側の保存義務を落とすことがあるので注意してください。電子で受け取った請書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存するのが原則です。

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