- 鉄筋加工図ってなに?
- 配筋図とどう違うの?
- 何のためにわざわざ作るの?
- 誰が作って、誰が承認するの?
- 加工帳とどう関係してる?
- 施工管理として何をチェックすればいい?
上記の様な悩みを解決します。
鉄筋加工図とは、結論「鉄筋1本1本の長さ・曲げ寸法・フック形状・本数を、加工場で曲げ加工するために明示した図面」のことです。設計図に載っている配筋図は「躯体のどこにどんな鉄筋を入れるか」を示しているだけで、鉄筋1本1本の正確な寸法までは描かれていません。これを鉄筋工が現場で組み立てやすい形に分解して、加工場で曲げ加工するための明細としたのが鉄筋加工図。鉄筋工の親方が手書きで作っていた時代から、最近は3DスキャンやBIMから自動生成する時代へと変化していますが、施工管理として承認・チェックの仕事は変わらず重要です。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
鉄筋加工図とは?
鉄筋加工図とは、結論「配筋図に基づいて、鉄筋1本ごとの長さ・形状・本数を加工場で曲げ加工するために整理した図面」のことです。
英語で言うと「bar bending schedule」または「rebar shop drawing」。部位ごと(柱、梁、壁、スラブ、基礎)に整理して、鉄筋の形状を符号番号で示し、寸法・本数の一覧表をまとめるのが基本構成。
設計図書には配筋図(柱・梁・壁・スラブの配筋断面図と特記)が含まれていますが、これは「どこに何を配置するか」を示しているだけ。鉄筋工が現場で組み立てるためには、
- 鉄筋1本ごとの実寸(定着長・継手込み)
- 曲げ加工の形状(90度フック、180度フック、ふかし、シングル、トリプル等)
- 加工場で何本作るか
という細かい情報が必要になります。それを整理した図面が鉄筋加工図、というわけです。
鉄筋加工図がない時代の苦労
昔は鉄筋工の親方が現場で図面を見ながら手書きで加工指示書を書いて、それを加工場に送る、というやり方が主流でした。
- 手書きで時間がかかる
- 計算ミスで部材不足・余剰が頻発
- 施工管理側も内容を読み解くのが大変
これがCAD・専用ソフトの普及で標準化され、最近ではBIMモデルから自動生成するケースも増えてきました。
鉄筋加工図と配筋図・施工図の違い
混同しやすい関連図面を整理します。
| 図面 | 内容 | 作成者 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 配筋図(構造図) | 部位の配筋断面図と特記 | 構造設計者 | 設計仕様の指示 |
| 施工図(鉄筋施工図) | 配筋図を施工しやすい形に整理 | 施工者(ゼネコン) | 現場組み立て指示 |
| 鉄筋加工図 | 鉄筋1本ごとの加工寸法・形状一覧 | 鉄筋工事業者 | 加工場での曲げ加工指示 |
| 加工帳(加工リスト) | 加工図の本数・寸法を集計した表 | 鉄筋工事業者 | 加工場発注書 |
配筋図 → 施工図 → 加工図 → 加工帳
設計から現場までの流れは、
- 構造設計者が配筋図を作成(設計図書の一部)
- ゼネコンの施工管理が鉄筋施工図を作成(あるいは鉄筋業者に作成させる)
- 鉄筋業者が鉄筋加工図を作成
- 加工場用に加工帳を作成
- 加工場で曲げ加工→現場へ搬入
という流れ。鉄筋加工図はこの流れの中で「現場と加工場をつなぐ」位置づけにあります。
なぜ何枚も作る?
「設計図そのまま使えばいい」と思いがちですが、
- 設計図は「設計意図を伝える」レベルで、施工に必要な詳細寸法までは描かれていない
- 施工図は「組み立ての段取り」を示す(型枠、配筋順序など)
- 加工図は「加工場での曲げ作業」を示す
- 加工帳は「何本必要かの集計」
それぞれ目的が違うので、別々に作る必要があるわけです。
鉄筋加工図の構成と書き方
実際の鉄筋加工図はどんな構成なのか整理します。
基本構成
- 見出し:物件名、工事区分、作成日、作成者
- 部位ごとの加工リスト:柱・梁・壁・スラブ・基礎を分けて記載
- 鉄筋形状図:符号番号と形状の対応表
- 寸法・本数一覧:各形状の鉄筋寸法と必要本数
- 総量集計:径別・規格別の総量
鉄筋形状の表記
代表的な形状記号は、
| 形状記号 | 形状 |
|---|---|
| (1) | 直線(フックなし) |
| (2) | 片端90度フック |
| (3) | 両端90度フック |
| (4) | 片端180度フック |
| (5) | 両端180度フック |
| (6) | 帯筋(フープ筋) |
| (7) | あばら筋(スターラップ) |
| (8) | スパイラル筋 |
形状ごとに符号と形状図を1つの一覧表にまとめて、本文では「形状(2)、本数50本、長さL=2500mm」のように指示します。
寸法表記
- L= 鉄筋全長
- h= 曲げ部の高さ
- D=鉄筋径(D10、D13、D16、D19、D22、D25、D29、D32等)
- 本数:何本加工するか
例:「柱C1主筋 D22 L=4500 形状(2) 本数=12本」
フックの寸法
JASS5ではフックの最小寸法が定められています。
| 鉄筋径 | 90度フックの曲げ内法直径 | 余長 |
|---|---|---|
| D10〜D16 | 3d(鉄筋径の3倍) | 8d以上 |
| D19〜D25 | 4d | 8d以上 |
| D29〜D32 | 5d | 8d以上 |
加工図ではフック部の余長と内法直径を明示するのが標準。
加工図の作成プロセス
実際に鉄筋加工図がどうやって作られるか、流れを整理します。
①配筋図の確認
- 構造設計者の配筋図を確認
- 特記仕様書で鉄筋仕様(鋼種、径、継手方式)を確認
- 不明点があれば設計者に質疑
②施工図への展開
ゼネコン側で鉄筋施工図を作成。配筋図に対して、
- 鉄筋の組み立て順序
- 継手位置の調整
- 開口部・スリーブ周りの配筋追加
を加える。
③鉄筋業者による加工図作成
- 鉄筋業者が施工図に基づいて加工図を作成
- CAD(専用ソフト)で図化
- 必要寸法・本数を集計
最近は鉄筋プロ・REBRO・BIMから自動生成するケースも増加。
④施工管理による承認
- 配筋図との整合性確認
- 形状・寸法・本数の妥当性確認
- 施工性の確認
⑤加工場への発注
- 加工帳と一緒に加工場へ送付
- 加工場で曲げ・切断加工
- 現場へ搬入
承認なしで加工に進むと、ミスがあったときの責任の所在が曖昧になります。承認プロセスは絶対に省略しない、というのが施工管理の鉄則。
施工管理として承認時にチェックすべきポイント
施工管理として鉄筋加工図を承認する際のチェックポイント。
①配筋図との整合性
- 径・本数・配置が配筋図と一致しているか
- 継手位置が構造設計通りか
- 開口部・スリーブ周りの追加配筋が反映されているか
②寸法の妥当性
- 鉄筋全長が部材寸法から逆算して妥当か
- 定着長さが規定を満たしているか
- 継手長さ(重ね継手の場合)が規定を満たしているか
定着長さは鉄筋径の40d以上が一般的(基準はJASS5で詳細)。
③形状の妥当性
- フック形状(90度・180度)が指示通りか
- フックの余長・内法直径が規定を満たしているか
- 特殊形状(帯筋、あばら筋)の納まり
④継手・定着方法
- 重ね継手か機械継手かガス圧接か
- 継手位置が応力の小さい位置か
- 同一断面での継手集中がないか
機械式継手の解説に詳しい内容があります。
⑤数量の妥当性
- 総数量が施工数量と整合しているか
- ロス(端材)が見込まれているか(通常5〜10%)
- 径別の合計トン数
⑥承認印・署名
- 承認者(施工管理)の署名
- 承認日付
- 承認版番号(リビジョン管理)
承認版がリビジョン管理されていないと、現場で古い版で組み立てる事故が発生します。
鉄筋加工図に関する情報まとめ
- 鉄筋加工図とは:鉄筋1本ごとの長さ・形状・本数を加工場での曲げ加工指示として整理した図面
- 配筋図との違い:配筋図は「どこに何を入れるか」、加工図は「鉄筋1本ごとの加工指示」
- 作成者:通常は鉄筋工事業者が作成、施工管理が承認
- 構成:見出し、部位別加工リスト、形状図、寸法・本数一覧、総量集計
- 形状記号:直線(1)、90度フック(2)(3)、180度フック(4)(5)、帯筋(6)、あばら筋(7)等
- 作成プロセス:配筋図→施工図→加工図→加工帳→加工場発注
- 承認チェック:配筋図との整合性、寸法妥当性、形状、継手・定着、数量、承認印
以上が鉄筋加工図に関する情報のまとめです。
鉄筋加工図は「設計と現場の間にある翻訳作業」で、ここの精度が後工程の配筋作業の効率と品質を決めます。施工管理として加工図を承認する際は、配筋図との整合性と寸法の妥当性を最優先でチェックするのがコツ。最近はBIM・鉄筋専用ソフトでミスは減ってきていますが、最終的な責任は施工管理にあるので、承認プロセスは省略しないのが鉄則です。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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