- 鉄筋のサイコロってなに?
- どんな役割があるの?
- コンクリート製とプラスチック製の違いは?
- サイズはどう選べばいい?
- どれくらいの間隔で置くの?
- 配筋検査で何をチェックされる?
上記の様な悩みを解決します。
鉄筋のサイコロとは、結論「配筋した鉄筋と型枠(または捨てコン)の間に置いて、かぶり厚さを確保するためのモルタル製の小さな立方体」のことです。形がサイコロ状の立方体だから業界では単純に「サイコロ」と呼ばれていますが、正式名称は「モルタルスペーサー」または「コンクリートスペーサー」。プラスチック製の脚付スペーサーが登場するまでは、これが現場の主役でした。1個10〜30円程度の地味な部材ですが、これが正しく配置されているかどうかでRC躯体の耐久性・耐火性が左右される、超重要な脇役です。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
鉄筋のサイコロとは?
鉄筋のサイコロとは、結論「配筋した鉄筋と型枠(または捨てコン)の間に挟み込んで、コンクリートのかぶり厚さを正確に確保するための立方体形のスペーサー」のことです。
正式にはモルタルスペーサー(またはコンクリートスペーサー)と呼ばれます。形がサイコロ状(立方体)なので、業界では「サイコロ」の通称で定着。
材質はその名の通りモルタル(セメント+細骨材)。鉄筋を所定のかぶり厚さの位置に保持するために使います。
サイコロが必要な理由
RC構造物は鉄筋とコンクリートの一体構造ですが、
- 鉄筋は錆びやすい(コンクリートの保護がないとアルカリ性に守られず腐食)
- 耐火性能はコンクリートが提供(鉄筋が裸だと火災で軟化)
- 構造強度は十分なかぶりで発揮される
ため、鉄筋にはコンクリートで覆われる「かぶり厚さ」が建築基準法・JASS5(日本建築学会・鉄筋コンクリート工事標準仕様書)で規定されています。
サイコロは、このかぶり厚さを物理的に保つための部材。コンクリート打設中の振動や鉄筋の自重で、鉄筋が型枠に押し付けられたり沈んだりするのを防ぎます。
鉄筋のかぶり厚さの解説にかぶり基準の詳細があります。

サイコロが守るかぶり厚さの基準
JASS5では、部位別に最小かぶり厚さが定められています。
| 部位 | 最小かぶり厚さ |
|---|---|
| 基礎(捨てコンあり) | 60mm |
| 基礎(捨てコンなし) | 70mm |
| 柱・梁 | 30mm(屋内)/40mm(屋外)/50mm(土に接する) |
| 耐力壁 | 30mm(屋内)/40mm(屋外) |
| スラブ | 20mm(屋内)/30mm(屋外) |
「設計かぶり」=「最小かぶり」+10mmを目標にするのが施工標準。例えば最小30mmなら、施工目標は40mm、サイコロは40mm厚を選定、という流れです。
サイコロの種類
サイコロにはいくつか種類があり、用途で使い分けます。
①モルタルサイコロ(昔ながらのタイプ)
- 材質:モルタル
- 形状:立方体
- 特徴:コンクリートと馴染みが良い、アルカリ性で鉄筋への影響なし
- デメリット:重い、結束線で固定する必要あり
最もスタンダードなタイプで、柱・梁・壁・基礎で広く使用されます。
②プラスチックスペーサー(脚付スペーサー)
- 材質:プラスチック
- 形状:脚付き、星型、円形などバリエーション豊富
- 特徴:軽い、結束不要のはめ込み式、寸法精度が高い
- デメリット:紫外線劣化、表面に出ると見た目が悪い
最近はスラブ用・床下用ではプラスチックスペーサーが主流。施工性が良く、コストも安いので普及しています。
③ドーナツスペーサー
- 材質:プラスチックまたはモルタル
- 形状:ドーナツ状(円盤型)
- 特徴:型枠に当たる面積が小さい、垂直面(壁)に最適
- 用途:壁の配筋
壁配筋ではドーナツスペーサーが主流。型枠との接触面積が小さく、コンクリートの一体性を確保しやすい。
④鋼製スペーサー
- 材質:鉄筋を曲げ加工した脚付タイプ
- 特徴:強度大、大型部材で使用
- 用途:大梁、深い基礎
サイコロ vs スペーサーの呼び分け
業界用語としては、
- 「サイコロ」:モルタル製の立方体限定の通称
- 「スペーサー」:かぶり確保部材の総称(モルタル・プラスチック・鋼製すべて含む)
という使い分け。「サイコロ持ってきて」と言われたらモルタル製、「スペーサー手配しといて」と言われたら何種類か候補が出てくる、というニュアンスです。
サイコロのサイズ
サイズ(厚み)は確保したいかぶり厚さに応じて選定します。
標準サイズ
| 厚み | 主な用途 |
|---|---|
| 20mm | スラブ(屋内) |
| 25mm | スラブ(屋内、設計かぶり25mm) |
| 30mm | スラブ(屋外)、壁・柱・梁(屋内) |
| 40mm | 壁・柱・梁(屋外)、設計かぶり40mm用 |
| 50mm | 土に接する柱・梁、設計かぶり50mm用 |
| 60mm | 基礎(捨てコンあり) |
| 70mm | 基礎(捨てコンなし)、設計かぶり70mm用 |
色分けされているメーカーもあり、現場でサイズの取り違いを防ぐ工夫がされています。
サイズ選定の考え方
- 設計かぶり厚さ=サイコロのサイズが基本
- 設計図書(特に特記仕様書)でかぶり厚さを確認
- 部位ごとに違う場合は部位別に在庫を分ける
「間違えて違うサイズを置く」という凡ミスは、かぶり不足の最大の原因。色分け・サイズ別の置き場分けで防止します。
配置ピッチと方法
サイコロをどれくらいの間隔で置くか、配置の基本ルール。
部位別の標準ピッチ
| 部位 | 配置ピッチ |
|---|---|
| スラブ | 縦横900〜1200mm程度(1m²あたり1個目安) |
| 梁 | 縦1000mm程度、上下面に必要数 |
| 壁 | 縦横600〜900mm程度(1m²あたり1〜2個) |
| 柱 | 高さ方向500〜1000mmピッチ、各面 |
| 基礎 | 縦横900〜1200mm程度 |
これは現場標準で、構造図書や特記仕様書で別途指示があればそちらに従います。
配置の原則
- 鉄筋の交差部・主要な結束ポイントの近くに置く
- 端部・隅部は配置を密に
- 打設時の鉄筋荷重・ホースの当たりを想定して配置
結束方法
モルタルサイコロは、
- サイコロの中央に針金(結束線)が埋め込まれている
- その結束線で鉄筋に縛り付けて固定
プラスチックスペーサーは鉄筋にはめ込むだけで固定できる構造。
結束線の解説に結束作業の詳細があります。

配筋検査でのチェックポイント
サイコロは配筋検査の重要チェック項目です。
検査される項目
- 設計かぶりに合ったサイズが選ばれているか
- 必要なピッチで配置されているか
- 配置の偏り(隅部だけ集中、中央が手薄等)がないか
- 結束されて確実に固定されているか
- 打設前に脱落していないか
配筋検査での具体的な見方
- スラブ:1m²に1個以上のサイコロが見えるか
- 梁底:底筋から型枠までの隙間に確実に入っているか
- 壁:両面(型枠側)に均等に配置されているか
- 柱:四面すべてに配置されているか
- 基礎:底面・側面ともに必要数があるか
「サイコロが入っていない場所」があれば、配筋検査で不合格になります。配筋検査の解説に詳しい手順があります。

よくある不合格パターン
- 隅部にサイコロがない(中央にしか置いていない)
- 小口側にサイコロがない(型枠との隙間ゼロで鉄筋が露出)
- 結束が緩くてサイコロが落ちている
- 使うサイズを間違えている(設計40mm要求、現場30mmを使用)
- 打設時にサイコロが浮いて鉄筋から離れた
これらは見た目の派手さはないですが、かぶり不足は鉄筋腐食を10〜20年前倒しするので、躯体寿命に直結する不具合です。
施工管理のポイント
施工管理として押さえるべきポイント。
①サイズ管理
- 部位別にサイズを区別して在庫
- 色分けで取り違いを防止
- 特記仕様書でかぶり厚さを確認
②配置の指導
- 鉄筋工に部位別ピッチを明示
- 配筋計画図にサイコロ配置を記載
- 見落としがちな端部・隅部の配置を強調
③配筋検査の徹底
- 目視と測定で配置・サイズを確認
- 隠れる前(打設直前)にもう一度チェック
- 写真記録を残す
④打設時の管理
- コンクリートホースの当たりでサイコロが外れていないか監視
- バイブレーターで鉄筋が動いてサイコロが浮いていないか確認
- 打設後の鉄筋出も浮きがないか観察
⑤特殊条件への対応
- 塩害環境(沿岸部):かぶり厚さを通常より10〜20mm増加、サイコロも厚いものを選定
- 耐火建築物:耐火性能を満たすかぶり厚さを確保
- 意匠優先(打ち放しコンクリート):表面に出にくいプラスチックスペーサーを使用
鉄筋のサイコロに関する情報まとめ
- 鉄筋のサイコロとは:かぶり厚さを確保するためのモルタル製スペーサー
- 正式名称:モルタルスペーサー、コンクリートスペーサー
- 役割:鉄筋と型枠の隙間を保ち、設計かぶり厚さを確実に確保
- 種類:モルタルサイコロ、プラスチックスペーサー(脚付・ドーナツ)、鋼製スペーサー
- サイズ:20〜70mm。設計かぶり厚さに応じて選定
- 配置ピッチ:スラブ900〜1200mm、壁600〜900mm、梁・柱・基礎は1000mm前後
- 検査:配筋検査で配置・サイズ・結束を確認
- 管理ポイント:サイズ取り違い防止、端部・隅部の配置、打設中の脱落監視
以上が鉄筋のサイコロに関する情報のまとめです。
サイコロは1個30円の小さな部材ですが、配置を間違えると数十年後の鉄筋腐食・かぶり剥落につながり、躯体寿命を10〜20年単位で縮めます。最近はプラスチックスペーサーへの置き換えも進んでいて、特にスラブと壁では脚付き・ドーナツ型が主流。「部位ごとに使い分けて、配筋検査で全数チェック」が品質の最低条件です。鉄筋工さんと施工管理が同じ感覚で「ここは入っていない」と気付ける目線を共有しておくと、引き渡し後のクレームが減ります。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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