- 推進工法ってどんな工法?
- なぜ市街地で多用されるの?
- シールド工法と何が違うの?
- 何mまで一気に押し込める?
- 道路を掘らずに本当に管路を作れる?
- 上水・下水・電力どれにも使える?
上記の様な悩みを解決します。
推進工法は、市街地の下水道・電力管路・通信管路で標準的に使われる「非開削」工法です。「道路を掘らずに地下管路を作れる」という強烈なメリットで、市街地の交通規制・近隣影響を最小化する重要技術です。施工管理者として経済性と限界を理解しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
推進工法とは?
推進工法とは、結論「地中に推進管(コンクリート管・鋼管等)を油圧ジャッキで押し込みながら掘進する非開削管路工法」のことです。
英語では「Pipe Jacking Method」または「Trenchless Method」。
推進工法の基本仕様
- 既製管(工場製作のコンクリート管・鋼管)を地中に押し込む
- 発進立坑から到達立坑までを一気に推進
- 口径φ300〜φ3,000mmまで対応
- 距離数十m〜1km級
- 道路を掘削しないので交通規制が最小
- 推進機の選定で地盤・含水比に対応
「製品管をジャッキで地中に押し込む工法」というシンプルな構成で、市街地の地下管路工事の主役です。
シールド工法との比較はこちら。

非開削の経済性
施工管理者として最も理解しておきたいのが、「なぜ市街地で推進工法が選ばれるか」の経済性です。
開削工法 vs 推進工法のコスト比較(市街地)
| 項目 | 開削工法 | 推進工法 |
|---|---|---|
| 道路掘削 | 必要 | 不要 |
| 仮復旧 | 必要(連日) | 立坑のみ |
| 本復旧 | 必要(全延長) | 立坑のみ |
| 交通規制 | 連日全面or片側 | 立坑のみ |
| 警備員 | 多人数 | 立坑数名 |
| 近隣騒音 | 連日連続 | 立坑のみ |
| 工期 | 延長×進捗 | 短期 |
コスト構造の決定的な違い
例えばφ500mmの下水道管を100m敷設する場合:
- 開削工法:道路掘削+舗装復旧+交通規制で1m当たり10〜20万円
- 推進工法:立坑2基+推進+管材費で1m当たり15〜25万円
一見、推進工法の方が高く見えますが、市街地(特に幹線道路)では開削の交通規制コスト+夜間工事割増で1m当たり30〜50万円になることも多く、推進工法が結果的に安くなるケースが多いのです。
さらに「道路を掘らない」ことで近隣・通行者への影響が激減するので、目に見えないクレーム対応コストも抑えられます。
口径と工法の選定
推進工法は口径と先端方式で工法が分かれます。
口径別の主な工法
| 口径 | 工法 | 主な用途 |
|---|---|---|
| φ300〜φ700mm | 小口径管推進工法 | 下水道取付管、小規模管路 |
| φ800〜φ1,500mm | 中口径推進工法 | 下水道幹線、共同溝 |
| φ1,500〜φ3,000mm | 大口径推進工法 | 大型下水道、雨水幹線 |
先端の推進機の種類
| 推進機 | 特徴 | 適性地盤 |
|---|---|---|
| 泥水式推進機 | 泥水で切羽支持+排土 | 砂質土・玉石まじり |
| 泥土圧式推進機 | 泥土圧で切羽支持 | 粘性土・砂質土 |
| オーガ式推進機 | スクリューで掘削 | 小口径限定 |
| 圧入式推進機 | ただ圧入のみ | 軟弱粘土・特殊用途 |
選定の実務感覚
- 下水道φ300〜φ700の取付管 → 小口径泥土圧式
- 下水道φ800〜φ1,500の幹線 → 中口径泥水式 or 泥土圧式
- 大規模雨水幹線 → 大口径泥水式
下水道工事ではφ500前後の中規模が圧倒的多数で、泥土圧式の中口径推進工法が主役です。
立坑と推進機
推進工法の現場構成を整理します。
主要構成
- 発進立坑:推進機・ジャッキを設置する起点
- 到達立坑:推進機を回収する終点
- 推進管:既製コンクリート管・鋼管
- 元押しジャッキ:立坑内の主要押込装置
- 中間ジャッキ:長距離推進時の補助
- 泥水処理プラント(泥水式の場合)
立坑の標準仕様
- 発進立坑:4m×4m〜6m×6m(推進機サイズ+作業空間)
- 到達立坑:3m×3m〜4m×4m
- 深さ:管底深さ+0.5m(作業空間)
- 土留め:シートパイル or ライナープレート
立坑施工はシートパイルが一般的。

長距離推進の限界と対策
施工管理者として知っておきたいのが、「推進距離には限界がある」ということです。
推進距離の限界要因
- 管と土の摩擦力が距離に比例して増加
- ある距離を超えるとジャッキ容量を超えて推進不能
- 管の継手部の応力が限界に達して破損
推進距離の目安
| 口径 | 標準距離 | 限界距離 |
|---|---|---|
| φ300〜500mm | 60〜80m | 100〜150m |
| φ700〜1,000mm | 80〜120m | 200m級 |
| φ1,200〜2,000mm | 100〜200m | 500m級 |
長距離推進の対策
- 中間ジャッキの追加:管の中間に補助ジャッキを設置して、摩擦負担を分散
- 滑材注入:管と土の隙間に粘性の高い滑材を注入し、摩擦低減
- 大口径化:管径を大きくして、ジャッキ容量を増やす
1km級の長距離推進では、これらの対策をすべて組み合わせます。それでも限界があるので、長距離トンネルはシールド工法の領域です。
シールド工法との使い分けはこちら。

推進工法に関する情報まとめ
- 推進工法とは:既製管をジャッキで地中に押し込む非開削管路工法
- 市街地での経済性:道路掘削不要、交通規制最小、結果的に開削より安いケース多い
- 口径別工法:小口径(φ300〜700)/中口径(φ800〜1,500)/大口径(〜φ3,000)
- 推進機:泥水式(砂礫対応)/泥土圧式(粘土対応)/オーガ式(小口径)/圧入式
- 立坑:発進立坑4×4〜6×6m、到達立坑3×3〜4×4m、シートパイル土留め
- 推進距離の限界:φ500で60〜150m、φ1,000で80〜200m、それ以上はシールド工法へ
- 長距離対策:中間ジャッキ/滑材注入/大口径化
推進工法は「地味な地下管路工事」と思考停止しがちですが、市街地の交通インフラ・近隣環境を守る重要技術です。施工計画の段階で「開削か推進か」「推進距離の限界をクリアできるか」を検証できると、コストと社会的影響の両面で最適解を提案できますね。
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