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フライアッシュセメントとは?特徴、種類、用途、メリットなど

  • フライアッシュセメントってなに?
  • ポルトランドセメントと何が違う?
  • A種・B種・C種ってどう使い分ける?
  • 高炉セメントとどっちが良いの?
  • どんな構造物で使われている?
  • 施工で気をつけることは?

上記の様な悩みを解決します。

フライアッシュセメントとは、結論「ポルトランドセメントにフライアッシュ(石炭灰)を混合した混合セメント」のことです。火力発電所で石炭を燃やしたときに出る灰を廃棄物として捨てるのではなく、セメントの一部として再利用したセメントで、JIS R 5213で規定されている由緒正しい混合セメント。マスコンクリート・ダム・港湾など、温度ひび割れや塩害が課題になる構造物で重宝されます。「廃棄物利用=環境配慮型セメント」としての位置付けもあり、最近改めて注目されている材料なんですね。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

フライアッシュセメントとは?

フライアッシュセメントとは、結論「ポルトランドセメントにフライアッシュ(石炭灰)を混合した混合セメント」のことです。

JIS R 5213「フライアッシュセメント」で規定されており、ポルトランドセメント+フライアッシュを粉砕・混合して製造します。

フライアッシュとは何か

そもそもフライアッシュ(fly ash)は、

  • 石炭火力発電所のボイラーで石炭を燃焼
  • 燃え残った微細な灰が排ガスと一緒に煙突方向へ流れる
  • 電気集塵機で捕集

という流れで集められた石炭灰のこと。粒径は1〜100μm程度の微細な球状粒子で、主成分はSiO2(シリカ)・Al2O3(アルミナ)です。

JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」でI種〜IV種の品質区分が規定されており、コンクリート用混和材として使えるのはこの規格を満たすものだけです。

ポゾラン反応とは

フライアッシュ自身は水と混ぜても固まりません(水硬性なし)。しかし、水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)と反応してケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)を作ります。これがポゾラン反応

セメントが水和すると水酸化カルシウムが副生成物として出てくるので、フライアッシュはこれを「ポゾラン反応の餌」として消費し、追加の水和物を作って強度に貢献します。水酸化カルシウムを減らすことで、酸・塩への抵抗性も高まるという副次効果も。

このポゾラン反応がフライアッシュセメントの肝です。

セメントの基本はこちら。

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特徴のまとめ

ポルトランドセメントと比較した特徴を一覧にすると、

項目 ポルトランドセメント フライアッシュセメント
主原料 石灰石、粘土、ケイ砂 ポルトランドセメント+フライアッシュ
初期強度 高い やや低い
長期強度 標準 高い
水和熱 高い 低い
流動性(ワーカビリティ) 普通 高い(球状粒子で滑りが良い)
ASR抑制(アルカリ骨材反応) 効果なし 効果あり
CO2排出量 多い 少ない
価格 やや高い やや安い

初期強度はやや低いが、長期強度・耐久性で有利」というのが大筋の特徴です。

フライアッシュセメントの種類

JIS R 5213では、フライアッシュの混合比率に応じてA種・B種・C種の3区分があります。

A種・B種・C種の違い

区分 フライアッシュ混合率 用途の中心
A種 5%超 〜 10%以下 一般構造物
B種 10%超 〜 20%以下 中規模マスコン、港湾
C種 20%超 〜 30%以下 大規模マスコン、ダム

数字が大きいほどフライアッシュ混合率が高く、水和熱はより低く、初期強度はより低く、長期強度はより高くなります。

流通状況

実は、A種は国内でほぼ流通していないのが実情です。市場で見かけるのはほぼB種で、C種は特注扱いという棲み分け。「フライアッシュセメント」と言えば、現場では暗黙のうちにB種を指すことが多いです。

高炉セメントとの違い

混合セメントとして並んで語られるのが高炉セメントです。比較しておきましょう。

項目 フライアッシュセメント 高炉セメント
混合材 フライアッシュ(石炭灰) 高炉スラグ微粉末
水和熱 低い 中程度
初期強度 低い やや低い
長期強度 高い 高い
海水抵抗性 やや有利 有利
ASR抑制 あり あり
CO2排出量 少ない 少ない
流通量 限定的 国内最大の混合セメント

国内でのシェアは高炉セメント>フライアッシュセメントで、高炉セメントが圧倒的に流通しています。フライアッシュは石炭灰の供給に依存するため、地域的な供給制約があるのが理由の一つ。

高炉セメントの記事はこちら。

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フライアッシュセメントの用途

実際にどんな構造物で使われているかを整理しておきます。

マスコンクリート

ダム・大型基礎・大型擁壁など、大量のコンクリートを一度に打設する構造物で重宝されます。

  • 水和熱が低い:温度ひび割れを抑える
  • 長期強度が高い:時間経過で強度が伸びる
  • 流動性が高い:高密度な打設に向く

マスコンクリートでは温度ひび割れが最大の品質課題で、フライアッシュセメントの低水和熱特性が直接活かされます。

マスコンクリートの基本はこちら。

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ダム本体

国内のコンクリートダム本体では、中庸熱ポルトランドセメント+フライアッシュの組合せが標準。フライアッシュ混入率15〜30%程度で、温度応力ひび割れを徹底的に抑える運用です。

港湾・海洋構造物

塩害環境では、塩化物イオンの侵入抵抗が重要になります。フライアッシュセメントは、

  • 緻密化:ポゾラン反応で組織が緻密になり、塩化物の透過を抑える
  • 水酸化カルシウム消費:水酸化カルシウムが減ることで、化学劣化に強くなる

ことから、港湾構造物の基礎・上部工で採用されます。

道路舗装・路盤材

道路舗装の路盤改良剤としても使用されることがあります。低水和熱・低価格を活かして、大規模舗装で重宝されます。

道路舗装関連はこちら。

アルカリ骨材反応(ASR)対策

ASR(アルカリシリカ反応)は、骨材中のシリカとセメントのアルカリが反応して、コンクリートが膨張・ひび割れする現象。フライアッシュはアルカリと反応してASRを抑制するため、ASR反応性のある骨材を使う地域でフライアッシュセメントが選ばれます。

施工管理上の注意点

フライアッシュセメントを使う現場で、現場監督が押さえるべき注意点を整理します。

初期強度の発現が遅い

フライアッシュセメントは初期強度の発現が遅いため、

  • 型枠脱型時期が遅くなる:通常より2〜3日延びる
  • 養生期間が長くなる:標準養生で材齢7日強度が一般セメントの80〜85%程度
  • 低温時期は特に注意:5℃以下では強度発現がさらに遅延

工程計画段階で、型枠転用回数や次工程の開始時期を見直す必要があります。

養生期間の延長

フライアッシュセメントは長期強度を発揮するために十分な水和水が必要です。

  • 湿潤養生期間:標準は7日。フライアッシュB種は10日以上推奨
  • 乾燥防止:散水養生、養生マット、シート養生を徹底
  • 低温時の保温養生:マスコンでは温度差ひび割れを抑えるため、保温養生も併用

養生をサボると長期強度が出ず、フライアッシュセメントを採用した意味がなくなります。

コンクリート配合設計

フライアッシュセメントを使う配合設計では、

  • 水セメント比は同じか、やや高めでもOK:ワーカビリティが高いため
  • 単位水量を5〜10%減らせる:流動性向上で減水可能
  • 空気量はやや高め:耐凍害性確保のため4〜6%

の調整が一般的。コンクリート技士やプラント担当と協議して配合を決めます。

水セメント比の話はこちら。

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表面の色味が変わる

フライアッシュは色がやや黒〜灰色なので、コンクリート表面が暗めの色になることがあります。打ち放し仕上げで色合いが気になる場合は、サンプル打ちで色味を確認してから本打ちに進むのが安全です。

ASR対策で使う場合の注意

ASR抑制を目的に使う場合、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」の付属書Cで、

  • B種フライアッシュセメント以上
  • またはアルカリ総量3.0kg/m³以下

の規定に適合するように配合します。試験成績表で確認します。

打設工程の基本はこちらでも触れています。

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フライアッシュセメントに関する情報まとめ

  • フライアッシュセメントとは:ポルトランドセメント+フライアッシュ(石炭灰)の混合セメント
  • JIS規格:JIS R 5213
  • A種:FA混合率5〜10%、流通少
  • B種:10〜20%、流通の中心
  • C種:20〜30%、ダム・大規模マスコン用
  • 特徴:低水和熱・高長期強度・高耐久性・ASR抑制・低CO2
  • 初期強度:低い(材齢7日で一般セメントの80〜85%)
  • 長期強度:高い(材齢90日以降で逆転)
  • 代表用途:ダム、マスコン、港湾、道路舗装、ASR対策
  • 養生期間:湿潤養生10日以上が推奨
  • 高炉セメントとの違い:高炉スラグ微粉末を使うのが高炉セメント

以上がフライアッシュセメントに関する情報のまとめです。

フライアッシュセメントは「ポルトランドより遅咲きで、後から伸びる優等生」みたいなイメージで、初期強度の遅さに驚かないこと、長期強度や耐久性のメリットを引き出すために養生をサボらないことが現場の運用ポイントですね。最近のサスティナブル建築の流れで、CO2排出の少ない混合セメントが見直されているので、これから採用機会も増えてくるかなと思います。施主・設計者と協議するときの引き出しとして、フライアッシュ・高炉セメントの選択肢があることを把握しておくと話が早いです。

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