壁ふかしとは?意味、目的、寸法、ふかし壁との違い、注意点など

  • 壁ふかしって現場でよく聞くけど、結局どういう意味?
  • 何のためにわざわざ壁をふかすの?
  • ふかす寸法ってどうやって決めてるの?
  • 「ふかし壁」と何が違うの?
  • 乾式二重壁とごっちゃになってて分からない
  • 図面に書いてある「20ふかし」みたいな表記の見方は?
  • 電気屋・設備屋との取り合いで揉めないコツは?

上記の様な悩みを解決します。

壁ふかしは、施工管理をしていると図面でも現場でも当たり前のように飛び交う言葉ですが、意味を正面から説明されることは意外と少ないです。設計の意匠上の理由で出てくることもあれば、配管や配線を通すために現場都合で出てくることもあり、そのどちらを指しているかで話が噛み合わなくなる場面もあります。今回は壁ふかしの意味と目的を押さえた上で、現役の施工管理目線で「寸法の決まり方」「ふかし壁・二重壁との言葉の使い分け」「電気・設備との取り合いで気をつける点」まで、現場で通じるレベルで整理しました。施工方法そのものの詳しい手順は別記事に譲り、ここでは「言葉と判断」に絞って解説します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

壁ふかしとは?

壁ふかしとは、結論「もともとの壁面(躯体面や既存の下地面)より、仕上げ面を手前に出すこと」です。

「ふかす」というのは建築の現場用語で、所定の位置より前に出す、あるいは所定の寸法より厚くする、という意味で使われます。漢字を当てると「付加す」に近いニュアンスで、要は本来の面に何かを足して前に持ってくる行為を指します。壁ふかしなら、コンクリートの躯体面やもともとの間仕切り面の手前に、木下地や軽量鉄骨(LGS)で下地を組み、その上にボードを張って仕上げ面を前に出す、というのが基本の姿です。

壁の下地に使われる材料そのものについては、こちらが参考になります。

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現場目線で言えば、壁ふかしは「意匠のためのふかし」と「納まり・設備のためのふかし」の二つの顔を持っています。設計者が空間を綺麗に見せるために意図的に指示するケースと、配管や配線を壁の中に隠すために現場側の判断で必要になるケースです。同じ「壁をふかす」でも、打ち合わせで誰がどちらの意味で言っているかを取り違えると、寸法の詰め方も費用の持ち方も変わってきます。まずはこの二面性を頭に入れておくと、以降の話が整理しやすいです。

なぜ壁をふかすのか(目的)

壁をふかす理由は、大きく分けて「隠すため」と「見せるため」の二つに集約されます。

現場でふかしが必要になる代表的な目的を挙げると、次のようになります。

  • 配管・配線を壁内に通すため(給排水管、電気配管、空調ドレンなど)
  • 出っ張った梁型・柱型・PS(パイプスペース)を平らな壁面に見せるため
  • 間接照明やロールスクリーン、カーテンボックスを仕込むため
  • 段差や既存壁の不陸を吸収して、まっすぐな仕上げ面をつくるため
  • 収納やニッチ、カウンターになる奥行きを生み出すため

このうち施工管理の実務で一番よく効いてくるのが、最初の「配管・配線を通すため」です。躯体壁のすぐ前に給排水や電気配管を立ち上げたいとき、そのままでは配管が壁から飛び出してしまうので、配管が収まるぶんだけ壁をふかして中に隠します。設備配管を壁を貫通させて通す場合の考え方は、こちらの記事が関連します。

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個人的には、意匠のふかしより設備のふかしのほうが現場ではシビアだと感じます。意匠のふかしは数ミリの見え方の勝負ですが、設備のふかしは「この配管径だと何ミリふかさないと物理的に入らない」という動かせない制約があるからです。目的が意匠なのか設備なのかで、後述する寸法の決め方も変わってきます。

壁ふかしの寸法の決め方

壁ふかしの寸法は、結論「中に入れたいものの厚み+逃げ(余裕代)」で決まります。

意匠目的のふかしなら、設計者が見え方から寸法を決めます。窓の上端と天井のラインを揃えたい、梁型を消したい、といった意図に合わせて、20mm、30mmといった単位でふかし寸法が図面に指示されます。図面で「20ふかし」とあれば、その面を20mm手前に出すという意味です。一方、設備目的のふかしは、通す配管の外径に施工上の逃げを足して決めるのが基本で、最小でも65mm程度、太い配管が絡むと100mmを超えることもあります。

寸法を詰めるときに現場で押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 配管径だけでなく、継手(エルボ・ソケット)の膨らみぶんも見込む
  • 保温材を巻く配管は、保温厚を加えた外形で寸法を取る
  • 下地材(木下地・LGS)の厚み自体もふかし寸法に含まれる
  • 仕上げボードの厚み(9.5mmや12.5mm)を最後に足して仕上げ面を出す

実務だと、この「逃げをどこまで見るか」で大工さんや設備屋さんと相談になることが多いです。ふかしを小さくしすぎると配管が下地に当たって入らず、大きくしすぎると部屋が狭くなって設計者から指摘が入ります。プラスターボードなど仕上げ材の厚みまで含めて最終の壁厚を計算しておくと、詰めがきれいになります。

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壁ふかしとふかし壁・二重壁の違い

壁まわりには似た言葉が多いですが、指しているものは微妙に違います。

まず「壁ふかし」と「ふかし壁」は、ほぼ同じ現象を別の角度から呼んだものです。壁ふかしは「壁を手前に出す」という行為・納まりを指す言い方で、ふかし壁は「ふかした結果できあがった壁そのもの」を指す名詞的な言い方、という程度の違いです。会話では厳密に区別せず、どちらも同じ意味で使われることがほとんどなので、そこで悩む必要はありません。

一方で、乾式二重壁とは分けて考えたほうがいいです。両者の位置づけを整理すると、次のようになります。

  • 壁ふかし(ふかし壁):既存面・躯体面のすぐ前に、比較的薄く下地を組んで仕上げ面を出す。配管隠しや意匠が主目的
  • 乾式二重壁(GL工法・LGS二重壁など):躯体と縁を切って別の壁を立てる。遮音・断熱・結露対策が主目的で、ふかしより厚くなりやすい
  • 大壁・真壁:柱を見せるか隠すかという仕上げの分類で、ふかしとは別の軸の話

僕の感覚だと、ここは「目的で見分ける」のが一番早いです。数十ミリだけ前に出して配管や梁型を隠しているならふかし、遮音や断熱のためにしっかり別の壁を立てているなら二重壁、と捉えると現場の会話とズレません。真壁・大壁のような仕上げの分類と混同しやすいので、そこは切り分けておくと打ち合わせで迷わなくなります。

壁ふかしのメリット・デメリット

壁ふかしは便利な手法ですが、メリットとデメリットが表裏一体になっています。

メリットとデメリットを整理すると、次のとおりです。

  • メリット:配管・配線・梁型を隠して壁面をすっきり見せられる
  • メリット:間接照明やカーテンボックスを仕込んで空間演出ができる
  • メリット:奥行きを使ってニッチや飾り棚、カウンターをつくれる
  • デメリット:ふかした厚みぶん、部屋が物理的に狭くなる
  • デメリット:下地・ボード・手間が増えてコストが上がる
  • デメリット:後から配管を増やしたいとき、壁を壊す必要が出る

正直なところ、メリットとデメリットのどちらが勝つかは目的次第です。意匠のためのふかしは「狭くなる」というデメリットを承知の上で見え方を取りに行く判断ですし、設備のためのふかしは「そうしないと配管が収まらない」ので、そもそも選択の余地がないこともあります。施工管理としては、施主や設計者に対して「ふかすと何ミリ部屋が狭くなるか」を数字で共有しておくと、後から「思ったより狭い」というトラブルを防げます。

壁ふかしの注意点

壁ふかしで一番トラブルになりやすいのは、結論「他工種との取り合い」です。

ふかしは複数の職種が同じ壁の中に絡むため、段取りを間違えると手戻りが起きます。現場で気をつけておきたい点は、次のとおりです。

  • 電気屋・設備屋の配管ルートを、下地を組む前に確定させておく
  • ふかし内に点検が必要な機器がある場合は、点検口の位置を先に決める
  • コンセントやスイッチのボックスが、ふかし寸法に対して深すぎないか確認する
  • ふかし壁は躯体と縁が切れるため、重量物を掛けるなら下地補強を入れておく

現場目線で言えば、ふかしの失敗はたいてい「順番」で起きます。大工さんが下地を組んだ後に設備屋さんが「配管が入らない」と言い出す、ボードを張った後に電気のボックスが飛び出していることに気づく、といったパターンです。ふかしを含む壁は、下地を組む前の段階で電気・設備の納まりを一度そろえて確認しておくのが、結局は一番の近道になります。ふかしの具体的な施工手順や種類そのものについては、こちらで詳しくまとめています。

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壁ふかしに関する情報まとめ

  • 壁ふかしとは:もともとの壁面より仕上げ面を手前に出すこと
  • 目的:配管・配線・梁型を隠すため、または意匠で空間を綺麗に見せるため
  • 寸法:中に入れるものの厚み+逃げで決まる(意匠は数十ミリ、設備は65mm以上が目安)
  • ふかし壁との違い:ほぼ同義。行為が壁ふかし、結果がふかし壁
  • 二重壁との違い:遮音・断熱目的でしっかり立てるのが二重壁、薄く前に出すのがふかし
  • 注意点:電気・設備との取り合いを下地組み前にそろえること

以上が壁ふかしに関する情報のまとめです。

壁ふかしは、言葉だけ聞くと単純ですが、意匠の話なのか設備の話なのかで中身がまるで変わる、という点さえ押さえておけば現場で困ることは減ります。個人的には、打ち合わせで「このふかしは何を隠すためのふかしですか」と一言確認する癖をつけるだけで、寸法の詰めも費用の整理もぐっと楽になると感じています。下地や仕上げ材の知識と合わせて理解しておくと、ふかしまわりの納まりに強くなれるはずです。

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