- BELSって何の略?何の制度?
- 星の数って何で決まるの?
- 5つ星と6つ星、最高は何段階?
- 2025年から義務化されたけど、BELSも義務なの?
- BELSと省エネ基準適合義務化は同じ?違う?
- BELSとZEH・ZEBの違いは?
- BELS取ると何が得なの?費用はいくら?
- 誰が評価するの?
- 施工管理として、BELS案件で何に気をつける?
- 設計でBELS取っても、現場の施工が悪いと性能は出ない?
上記の様な悩みを解決します。
BELSは、建物の省エネ性能を星の数で見える化する制度で、2025年の省エネ基準適合義務化と絡んで、いま建築の現場で急速に存在感が増しています。ただ、世の中の解説は省エネ計算代行会社や不動産の「取得メリット」目線が多く、実際に建物を作る施工管理からの視点がほとんどありません。今回はBELSの仕組み・星の基準・義務化との関係といった基本を押さえた上で、施工管理の視点から「現場でBELS性能を落とさないためのポイント」まで、実務で役立つ形で整理しました。
なるべく分かりやすい表現でまとめていくので、省エネ関連の制度に不慣れな方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
BELSとは?
BELS(ベルス)とは、結論「建物の省エネ性能を第三者機関が評価し、星の数で表示する制度」のことです。正式名称は建築物省エネルギー性能表示制度で、英語のBuilding-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの頭文字を取った略称です。
評価を行うのは、国土交通省のガイドラインに基づいて登録された第三者機関(住宅性能評価・表示協会などの登録機関)です。設計者や施工者が自己申告するのではなく、外部の機関が客観的に評価する点がポイントで、だからこそ表示に信頼性があります。
対象は幅広く、新築・既存を問わず、戸建住宅・共同住宅から、オフィス・商業施設・学校・病院などの非住宅まで、原則としてすべての建築物が評価を受けられます。評価の結果は「BELS評価書」と、星の数を示した省エネ性能ラベルで表示されます。
- 制度の性質:建物の省エネ性能を見える化する第三者評価制度
- 評価する人:国交省に登録された第三者評価機関
- 対象:新築・既存の住宅・非住宅すべて
- 表示:星の数(ラベル)と評価書
僕の感覚だと、BELSは施主にとっての「省エネの通信簿」だと説明すると伝わりやすいです。燃費のいい車に燃費表示があるように、建物にも省エネの成績を星で表す仕組みがある、という理解でまず十分です。施工管理としては、この星が「どうやって決まるか」を知っておくと、現場での自分の役割も見えてきます。
BELSの星の数とBEI(評価の仕組み)
BELSの星の数は、感覚ではなく「BEI」という数値で機械的に決まります。ここを押さえるとBELSの中身が分かります。
BEI(Building Energy Index)とは、その建物の設計上の一次エネルギー消費量を、国が定める基準値で割った値です。式にすると次の通りです。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量
BEIが小さいほど基準より省エネで、性能が高いことを意味します。BEIが1.0なら基準ちょうど、0.7なら基準より3割省エネ、という読み方です。この値に応じて星の数が決まります。
| 星の数 | 再エネ設備なしの住宅 | 再エネ設備ありの住宅・非住宅 |
|---|---|---|
| 6つ星 | ― | BEI ≦ 0.5 |
| 5つ星 | ― | 0.5 < BEI ≦ 0.6 |
| 4つ星 | BEI ≦ 0.7 | 0.6 < BEI ≦ 0.7 |
| 3つ星 | 0.7 < BEI ≦ 0.8 | 0.7 < BEI ≦ 0.8 |
| 2つ星 | 0.8 < BEI ≦ 0.9 | 0.8 < BEI ≦ 0.9 |
| 1つ星 | 0.9 < BEI ≦ 1.0 | 0.9 < BEI ≦ 1.0 |
星は最大6段階で、太陽光発電などの再エネ設備がある建物は5つ星・6つ星まで狙えます。再エネなしの住宅は最高4つ星までという整理です。なお、BEIは設備のエネルギー効率を見る指標ですが、その前提として断熱性能(外皮性能、UA値)も基準を満たす必要があります。
熱貫流率(UA値の元になる指標)はこちらが詳しいです。

僕としては、星の数を見る時は「再エネありか、なしか」をセットで確認するのが実務的だと感じます。同じ4つ星でも、再エネなしで基準の3割減を達成した4つ星と、再エネありの4つ星では中身が違います。星の数字だけで比べず、BEIと再エネの有無まで見ると、その建物の本当の性能が読めます。
BELSと省エネ基準適合義務化(2025年)・ZEHの違い
ここが、いま一番混同されやすく、かつ施工管理として正確に理解しておくべきところです。「2025年から義務化された」「BELSも義務なの?」という混乱がよく起きます。
BELSは義務ではない
2025年4月から、原則としてすべての新築建築物(住宅・非住宅)に「省エネ基準適合」が義務付けられました。ただし、義務化されたのは省エネ基準への適合であって、BELSの取得ではありません。BELSはあくまで任意の表示制度で、取らなくても法律違反にはなりません。
さらに重要なのは、BELS評価書は建築確認における「省エネ適合性判定」の代替書類ではないという点です。義務である省エネ基準適合は、建築確認の手続きで別途確認されます。BELSはそれとは別の、任意の見える化の仕組みです。
BELSと義務化基準の関係
とはいえ両者は無関係ではありません。2025年から義務になった省エネ基準適合の水準は、BELSでいえばおおむね2つ星レベルに相当します。つまり、これからの新築は最低でも「BELS2つ星相当」の性能が前提になる、という位置づけです。
| 制度 | 位置づけ | 2025年時点 |
|---|---|---|
| 省エネ基準適合 | 法律上の義務 | 全新築で義務(BELS2つ星相当) |
| 誘導基準(ZEH水準) | 補助金等の上位目標 | BELS5つ星相当 |
| BELS | 任意の第三者表示制度 | 取得は任意、性能証明に活用 |
ZEH・ZEBとの違い
BELSと混同されやすいのがZEH(住宅)・ZEB(非住宅)です。BELSは省エネ性能(エネルギーの削減率)を星で表す制度、ZEH/ZEBは再エネを含めてエネルギー収支を実質ゼロに近づける建物の概念です。そのため、BELSで5つ星を取ってもZEHの要件を満たさないケースがあり、両者は完全な同義ではありません。
2025年の建築基準法・省エネ法改正の全体像はこちらが参考になります。

ZEHの詳細はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、この「義務なのはBELSではなく省エネ基準適合」という点は、現場で施主や関係者に説明する時に間違えやすいポイントです。「2025年からBELSが義務になった」と言うと不正確で、正しくは「省エネ基準適合が義務になり、BELSはそれを分かりやすく見える化する任意制度」です。ここを正確に押さえておくと、施主対応でも信頼されます。
BELS取得のメリットとデメリット
BELSは任意制度なので、「わざわざ取る意味あるの?」と思われがちですが、取得には実利的なメリットがあります。一方でコストもあるので、両面を押さえておきます。
メリット
- 補助金・優遇制度の申請要件になる(ZEH・ZEB補助金など)
- 長期固定金利ローン「フラット35S」の技術基準の適合資料に使える
- 省エネ性能が客観的に示され、資産価値・売却時の訴求力が上がる
- 施主への提案・競合との差別化の根拠資料になる
- 環境配慮の姿勢を示せ、企業のブランドやESGにつながる
デメリット
- 申請手数料・評価機関への費用がかかる
- 省エネ計算や書類準備に手間と時間がかかる
- 高い星を狙うと、断熱強化・高効率設備・再エネ設置などの追加コストが発生する
星は高いほど良いとは限らず、目的次第です。義務対応だけなら基準適合(2つ星相当)で足り、補助金や資産価値を強く狙うならZEH水準(5つ星)を目指す、という判断になります。
僕としては、BELSは「目的から逆算して星の目標を決める」のが正解だと感じます。とりあえず高い星を狙うとコストばかりかさみます。この建物で補助金を使うのか、売却時の訴求に使うのか、義務対応だけでいいのか。目的が決まれば必要な星が決まり、そこから設計・施工の作り込みが決まります。星ありきではなく目的ありきで考えるのが、費用対効果を外さないコツです。
BELSの申請の流れと費用
BELSを取得する際の大まかな流れと費用感を押さえておきます。設計段階から動くのが基本です。
申請の流れ
- 登録された評価機関を選ぶ
- 事前相談・見積もりを取る
- 省エネ計算書・設計図書など申請書類を作成する(専門業者に依頼するのが一般的)
- 評価機関に申請し、審査を受ける
- 評価結果の通知を経て、BELS評価書とラベルが発行される
省エネ計算は専門性が高いため、省エネ計算の代行業者に依頼するケースが多いです。必要書類は、申請書・設計図書(配置図・平面図・立面図・断面図など)・省エネ計算書・設備リストなどが中心になります。
費用の目安
| 建物 | 費用相場 |
|---|---|
| 住宅 | 数万円〜数十万円程度 |
| 非住宅 | 数十万円〜数百万円程度 |
これに加えて、省エネ計算の代行費用(数万円〜数十万円)が別途かかることがあります。審査には数週間から1か月程度、書類準備を含めると数週間〜数か月みておくと安全です。
個人的には、BELSは「設計が固まってから慌てて取る」と手戻りが増えます。設計の初期段階で目標の星を決めておかないと、途中で断熱や設備の仕様を上げる必要が出て、意匠・設備・構造のどこかで調整が発生します。取ると決めたら、なるべく早い段階で省エネ計算を回して、目標性能に届くかを確認しておくのが、工程とコストを乱さないやり方です。
施工管理視点:現場でBELS性能を落とさないポイント
ここが、他の解説記事ではまず触れられない、施工管理として一番大事な論点です。BELSは設計段階で星が決まる制度に見えますが、実際には現場の施工品質が伴わないと、設計上の性能は絵に描いた餅になります。
設計値と実物のギャップに注意する
BELSのBEIや外皮性能は、設計図書に書かれた断熱材や設備の仕様を前提に計算されています。現場でそれと違うものを使ったり、施工が雑だったりすると、実際の建物は設計上の性能を発揮しません。施工管理が守るべきポイントは次の通りです。
- 断熱材は設計指定の種類・厚さを守る(安易な代替・欠損は性能低下に直結)
- 断熱の連続性を確保する(隙間・熱橋を作らない)
- 設備(給湯器・空調・照明など)は設計で計算に使った型番・効率のものを据える
- 気密性能が要求される場合は、気密測定で確認する
- 再エネ設備(太陽光など)は設計容量通りに設置する
断熱の連続性に関わる気密の考え方はこちらが参考になります。

竣工時の整合確認
BELS評価は設計内容に対して行われますが、竣工した建物が設計図書通りかを担保するのは施工管理の仕事です。設備の型番違い、断熱材のグレードダウン、施工不良による断熱欠損などがあると、評価上の性能と実態が食い違います。竣工検査で「設計=実物」になっているかを確認しておくことが、後のトラブルを防ぎます。
現場目線で言えば、BELSの星は「設計者が取る」ものに見えて、実は現場が守るものだと感じます。どれだけ設計で高性能に計算しても、現場で断熱材を薄いものに変えたり、設備の型番を勝手に安いものにしたりすれば、その建物は星の性能を持ちません。特に2025年の義務化以降は、省エネ性能が確認審査で問われるので、施工管理が「設計値通りに作る」意識を持つことの重要性が一段上がっています。図面に書かれた断熱・設備の仕様は、コストダウンで勝手に触ってはいけない領域だと心得ておくのが大事です。
BELSに関する情報まとめ
- 定義:建物の省エネ性能を第三者機関が評価し、星の数で表示する制度
- 評価の仕組み:BEI(設計一次エネルギー÷基準値)で星が決まり、小さいほど高性能
- 星の段階:最大6つ星、再エネありは5〜6つ星、再エネなし住宅は最高4つ星
- 2025年義務化との違い:義務は「省エネ基準適合」で、BELS取得は任意(基準適合≒2つ星相当)
- 建築確認との関係:BELS評価書は省エネ適合性判定の代替にはならない
- ZEHとの違い:BELSは省エネ削減率の表示、ZEHは再エネ含む収支ゼロの概念
- メリット:補助金・フラット35S・資産価値・差別化・ESG
- 費用:住宅は数万〜数十万円、非住宅は数十万〜数百万円+省エネ計算代行費
- 施工管理の要点:設計指定の断熱材・設備を守り、断熱欠損を作らず、竣工時に設計と実物を整合させる
以上がBELSに関する情報のまとめです。
BELSは、建物の省エネ性能を星で見える化する任意制度で、2025年の省エネ基準適合義務化と絡んで重要性が高まっています。義務なのはBELSではなく省エネ基準適合であること、星はBEIで決まること、そして何より、設計で決めた性能は現場の施工品質が伴って初めて実現することを押さえておくのが大事です。施工管理として「設計値通りに作る」意識を持てば、BELSの星は絵に描いた餅ではなく、本物の性能として建物に宿ります。
BELSに関するよくある質問
Q1:2025年からBELSは義務になったのですか?
いいえ、義務になったのは「省エネ基準適合」で、BELSの取得は任意のままです。2025年4月から原則すべての新築に省エネ基準適合が義務付けられましたが、これは建築確認の手続きで確認される法律上の義務です。BELSはそれとは別の任意の第三者表示制度で、取らなくても違反にはなりません。ただし、義務化された省エネ基準適合の水準はBELSでいう2つ星相当なので、これからの新築は最低限その性能が前提になります。
Q2:BELSの星の数は何で決まりますか?
BEI(設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量)という数値で決まります。BEIが小さいほど基準より省エネで、星の数が多くなります。星は最大6段階で、太陽光発電などの再エネ設備がある建物は5つ星・6つ星まで狙え、再エネなしの住宅は最高4つ星までです。なお、BEIは設備のエネルギー効率の指標ですが、その前提として断熱性能(外皮性能・UA値)も基準を満たす必要があります。
Q3:BELSとZEHは何が違いますか?
BELSは省エネ性能(エネルギー削減率)を星の数で表示する制度、ZEHは再生可能エネルギーを含めて年間のエネルギー収支を実質ゼロに近づける住宅の概念です。BELSは「見える化のものさし」、ZEHは「目指す建物の姿」と考えると分かりやすいです。両者は関連しますが同義ではなく、BELSで5つ星を取ってもZEHの要件(再エネ導入など)を満たさないケースがあります。
Q4:BELSの取得にはいくらかかりますか?
建物の規模・用途・複雑さによって変わりますが、目安は住宅で数万円〜数十万円程度、非住宅で数十万円〜数百万円程度です。これに加えて、省エネ計算の代行費用(数万円〜数十万円)が別途かかることがあります。審査期間は数週間〜1か月程度で、書類準備を含めると数週間〜数か月みておくと安全です。設計の初期段階から動くと手戻りが減ります。
Q5:設計でBELSの星を取れば、現場は普通に作ればいいですか?
いいえ、現場の施工品質が伴わないと設計上の性能は出ません。BELSのBEIや外皮性能は、設計指定の断熱材や設備を前提に計算されています。現場で断熱材を薄いものに変えたり、設備の型番を勝手に安いものにしたり、断熱に欠損を作ったりすると、実際の建物は星の性能を持ちません。施工管理は、設計指定の仕様を守り、断熱の連続性を確保し、竣工時に設計と実物が一致しているかを確認することが求められます。
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