マスコンクリートとは?
マスコンクリートとは、結論「体積の大きいコンクリートのこと」です。
今の建設業界では様々なシーンでコンクリートが使用されています。木構造の基礎に使われるコンクリートや捨てコンクリートなどの比較的体積が少ないコンクリートもあれば、ダムや橋梁などの体積が大きなコンクリートもあります。
様々あるコンクリートの中で、ダムや橋梁などに使われる体積が大きなコンクリートが「マスコンクリート」です。
ただ単に体積の大きいコンクリートをマスコンクリートと呼んでいる訳ではありません。
他のコンクリートと違う点として「使用するセメントが違う」ということが挙げられます。
コンクリートは「水」「砂」「砂利」「セメント」でできている訳ですが、この中の「セメント」には多様な種類があり、使用するセメントの種類によって、完成するコンクリートの性質が変わります。マスコンクリートで使用されるセメントは下記です。
- 低熱ポルドラントセメント
- 中庸熱ポルドラントセメント
一般的に建築で使われるのは「普通ポルドポルドラントセメント」や「早強ポルドラントセメント」です。対して、マスコンクリートで使うセメントはどんな性質があるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
マスコンクリートで使うセメントの種類
低熱ポルドラントセメントと中庸熱ポルドラントセメントがマスコンクリートには使われます。
上記セメントの特徴は、簡単に言うと「固まるのに時間はかかるが、固まったら強度が高い」というものです。ここは科学の分野に入ってくるので簡単に説明します。
生コン(レディコン)の場合、どろっとした状態で現場に入ってきます。コンクリートの打設が完了した段階で、化学反応が起こって徐々に徐々に固まっていく訳です。
固まるまでの過程で水和熱が発生します。水和熱は化学反応が起こる際に発生する「熱」のことです。
低熱のポルドラントセメントと中庸熱のポルドラントセメントでは、水和熱を低く抑えています。つまり、化学反応が発生する際に生まれる熱量が少ないということです。
水和熱が低いということは、コンクリートの中の水分が飛ばないということであり、コンクリート内部の水分を保てればひび割れを防ぐことができます。ひび割れが少ないということは強度が高いということです。
マスコンクリートの施工事例
- 黒部ダム(日本)
- 三峡ダム(中国)
- フーバーダム(アメリカ)
- ラグナス川水力発電所(チリ)
- ハイドロエレクトリックダム(ノルウェー)